『Fランク大学出のボクでもスマホで洋楽聞いてTOEIC905点、今や海外営業マン! 英語マスター法』(工藤政春著、主婦の友社)の著者は、タイトルからもわかるとおり、いわゆるエリートではないようです。
わたしは大学生だった当時、大学受験に失敗して、不本意ながらFランク大学の学生として過ごしておりました。(中略)しかしそれでは未来は開けません。そこで好きだった洋楽(POP、HipHop、R&B、EDM、Rockなど)の歌詞を知りたい、英語がしゃべれるようなりたいと思い、洋楽を教材に英語の勉強を始めました。(「はじめに......読者のみなさんへ」より)
そうして「洋楽英語マスター法」を身につけ、大学卒業時にはTOEIC830以上(現在は905点)を取得。現在は海外営業マンとして、日々英語を使って仕事しているのだそうです。
しかし、洋楽を聴くだけで、それほど簡単に英語がマスターできるのでしょうか? 2「洋楽を見て聞いて英語をマスターする手順、ここに初公開」をチェックしてみましょう。
1. 好きな洋楽を見つける
まず最初に大切なのは、「大好きだから、歌詞の意味を知りたい」と思えるような曲に出会うこと。ちなみに「どんなジャンルの音楽でもOK」だと著者が断言しているのは、「興味のある英語の大量インプット」が効果的だからです。
全米トップチャートのトップ10を毎週チェックしていれば、必ず大好きな曲、感動する曲、心を打たれる曲、元気な気分になれる曲に出会えるはず。そして、それらの歌詞名と曲名を検索し、YouTubeで試聴してからiTunesで購入すればいいということ。(24ページより)
2. 曲を手に入れ、スマホにダウンロード
好きな曲をiTunesで購入してすぐにスマホに入れるのは、いうまでもなく、すぐに聴ける環境をつくるため。英語学習の敵は「学習の抵抗感と継続性」なので、好きな曲を聴くことで抵抗感をなくせばいいということ。いつでもどこでも気軽に聴けるなら、学習を続けていきやすいわけです。
また、iTunesで曲を手に入れれば、曲をプレイしながらWeb上で歌詞を見ることができるため、たしかに便利かもしれません。(30ページより)
3. とりあえず聴く
学習が目的だとはいえ、初めはただ楽しんで聴けばいいそうです。ここでのポイントは、純粋に「なにを歌っているのだろう?」と思いながら聴くこと。好きな洋楽の歌詞や内容を知りたいと思えば、英語学習への取り組み方も変わって当然。興味のある英語を大量にインプットすることが重要だという考え方です。(30ページより)
4. 歌詞を手に入れる
次のステップは、歌詞カードを見て答え合わせをするように、「こういう内容だったのか」と理解しながら聴いてみること。楽曲の歌詞は簡単に検索できますし、「AZ Lyrics」や「Metro Lyrics」のような歌詞サイトもあるので便利。なお「Metro Lyrics」はアプリでもダウンロードが可能なので、より歌詞が読みやすい著者は説明しています。(31ページより)
5. 歌詞の意味を調べる。意味のわかる英語を聴く
洋楽を通じて英語を学ぶ場合、歌詞を見ながら意味を理解して聴くことはとても大切。「聞き流し」だけではリスニング能力アップにはつながらないため、流れてくる英語を文字でしっかり確認しながら聴くことが大切だということ。
すると次第に、歌詞の内容がイメージとして感じられるようになってくるといいます。そして歌詞の深い部分まで感じられるようになれば、大好きな曲をもっと好きになれるというメリットが。なお、この段階で日本語に訳す必要はないと著者は説明しています。(34ページより)
6. 歌う・復唱=音声ループ(Speech Chain)を回す
声に出すことの目的は、英語中枢をつくるための音声ループ(聴く → 理解 → 歌う → 聴く)を回すこと。耳 → 脳と意味のわかる音を聴いてきたら、次に口に出すことによって音をループさせ、再度、自分で発した音を耳 → 脳へループさせる。この繰り返しによって、「英語脳」をつくり上げていくというわけです。
語学の達人たちは、英語が聞こえてくると自然に復唱する習慣が身についているのだそうです。復唱することで英語を雑音から救い出し、言語中枢がつくられることを経験でわかっているということ。著者自身も、洋楽に合わせて歌ったりラップしたりし、歌詞を復唱することによって少しずつ聴き取る能力を上げていったのだといいます。(39ページより)
7. 正しい発音で歌う
人間の脳は、自分で正しく発音できない音を認識できない(聞き取れない)ので、声に出す時はなるべく正しい音で発音するように心がけることが重要。この積み重ねが、のちのち大きな差になっていくといいます。(40ページより)
8. ひたすら繰り返す。聴く → 理解する → 声に出す
この段階のポイントは、次のとおり。
聴く → 理解する → 声に出す → 聴く(耳) → 理解する(脳) → 声に出す(口)
つまり、上記1〜7を繰り返すということです。興味のある音を、耳 → 脳 → 口 → 耳...点とひたすらループさせていくことが、英語専用の言語中枢をつくるという考え方。好きな曲とどんどん出会い、曲をおぼえていくと、類似の単語に何度も出会うことに。そのため単語力が雪だるま式に増えていくというわけです。(40ページより)
補助トレーニングを行なう
上達の速度を高めたいのなら、英語マスター法以外に、寝る前の10~30分、または隙間時間を利用し、
1.発音2.日本語 → 英語へ、声に出しながら英作文する
3.単語を音でおぼえる
この3点の補助トレーニングをするといいと、著者は記しています。(41ページより)
以後の章では、マルーン5、ビヨンセ、リアーナ、ジェイ-Zなどお馴染みのアーティストの楽曲を例に挙げ、歌詞の意味などがわかりやすく解説されています。
英語力をつけたいという洋楽ファンは、手に取ってみてはいかがでしょうか。
(印南敦史)