誰かに何かのスキルを教えるなら、まず自分がすべてを網羅するまで学習しなくては、と考えるのはもっともなことです。しかし、常に学び続けている人が最良の教師という場合もあります。米軍特殊部隊のMike Kenny中佐によると、人に何かを教える能力が役立つのは教師だけではありません。あるアイデアを正確に理解した上で咀嚼して他人に伝えることができれば、そのアイデアを自分でも吸収することができます。さらに、それができればリーダーとチームプレーヤーどちらの立場であっても、より優秀な人材になることができるのです。

私たちは、まず最初にメンバーに「さあ、諸君の最初の仕事は、教師かインストラクターになることだ」と伝えます。

私たちの本業は非日常の戦争です。私たちの仕事の中で、空爆が重要な部分であることは事実ですが、特殊任務についても理解してもらう必要があります。つまり、誰か別の人に仕事を任せることになるのです。

それは、人に教えたり、情報を伝達したりする能力を持たねばならないということを意味します。相手は対等な交渉力を持つパートナーですから、外交的な影響を与える必要があります。彼らは私が命令をくだせる部下ではありません。ですから、彼らを説得して味方に引き入れなければならず、彼らを説得する能力を持たねばならないのです。

もしあなたが人に教えることができなかったり、代理を頼むことができなかったり、何でもかんでも自分が行わないと気が済まなかったりするなら、あなたは特殊部隊メンバーとして、無能とまでは言わないにしろ、それほど役に立つ人材ではありません。

必ずしも大学で教えるほどのスキルが必要というわけではありませんが、専門スキルによっては、向学心のある生徒を見つけるのが難しいこともあるかと思います。

いずれにせよ、何かを人に教えようとするなら、まず最初の取り組みとしてインターネットで発信することがよい選択肢のひとつとなるでしょう。少なくとも自分自身に教えることならいつでもできるはずです。重要なことは、常に他人に教えるつもりになって、スキルの習得に励むことです。

Eric Ravenscraft(原文/訳:コニャック

Photo by Rex Pe.