パズドラ、ではありません。その名は、ポケドラ!

最近、「使えるガジェット」がお手頃な価格で手に入るようになってきました。これまでにもライフハッカーではSIMフリースマホ+MVNOサービスの節約術を数多く取り上げてきましたが、「ずいぶんスマホ本体も安くなったなぁ」と感じます。タブレットやノートパソコンも同様で、シーンに合わせて、複数のガジェットを使い分けている方もいるでしょう。

僕も、メインスマホのiPhone、遊びと検証機用のAndroid、仕事用のノートパソコン、モバイル用のノートパソコン、家でゴロゴロ使うためのiPadと、気づけば5台を運用中。さらに「ジップロックに入れるのもいいけど、夏に向けて防水仕様のタブレットがあってもいいな...」と、さらなる機種を日々ウォッチしている有り様です。

複数台持ちユーザーに起きがちな、2つの悩み

使用するガジェットがまちまちな日々を送る中で、最近、2つの悩みを感じることが増えてきました。

1.データがそれぞれの端末に分かれていて、共有する作業も地味に煩わしい

2.扱えるファイルが増えた&高画質化したことで、ガジェットのデータ残量が少なくなってしまう

つまり、たくさんのデータがそれぞれの端末に入っていて、いざ「あれが見たい」「これが欲しい」と思ったときに叶わない。しかも入れっぱなしだと容量を食うから、データの取捨選択も考えなければいけない。

これらの悩みを解決に導く良いアイテムがないかと探してみると、アイ・オー・データ機器から発売されている「ポケドラCloud(ポケドラクラウド・HLS-Cシリーズ)」に出合ったのです。

500GB、1TB、2TBの3タイプ。小型で、どこにでも馴染むデザイン

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ポケドラCloudをざっくり表すなら「簡単に設置できる自分用のデータサーバー」。スマホやタブレット、パソコンのデータを、インターネットを経由して保存・再生できるストレージです。最近はDropboxやGoogle ドライブといった各種クラウドサービスがありますが、使用イメージとしてはほぼ同じ。そのデータの起き場所が、目に見える自宅なのか、世界のどこかにあるのかの違いです。容量は500GB、1TB、2TBの3タイプから選べます。ちなみに容量が変わっても外装のサイズは同一です。

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三角柱の本体は、ファンレス仕様で駆動音もなく静かで、どこに置いても邪魔にならず、馴染みやすいデザインと言えるでしょう。高さはiPhone 6より若干小さいくらい。

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上から見ると、なんだかおにぎりに見えてきた...ということで、実際にコンビニで買ったおにぎりと比べてみましたが、大きさはほぼ同じくらい。iPhone 6の上におにぎりを置いてみれば、だいたいのサイズ感がわかるとご理解ください(おにぎりは、計測後においしくいただきました)。

初期設定は簡単。つなぐだけ&インストールするだけで使える

さて、上記の紹介動画、そして導入ガイドのシンプルさからもわかる通り、セットアップの簡単さはポケドラCloudの大きなメリット。

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まずは、ポケドラCloudにACアダプタを挿し、自宅のルーターとLANケーブルでつなぎます。

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次に、専用アプリ『Remote Link Files』(iOSAndroid)をインストール。ポケドラCloudに同梱されている「Remote Link設定シート」のQRコードをアプリで読み込み、管理者パスワードを決めれば、設定完了です

通信をするための設定はすべてポケドラCloudが自動で行ってくれます。使いはじめるまでにパソコンは不要ですし、5分程度で設定が済むのは、手軽で良いところですね。

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ファイルは複数/全選択アップロードが可能。アップロードすると、画像や動画が一覧で表示されます。フォルダの新規作成や名称変更もでき、ファイルの検索や並び替えにも対応しています。

もちろん、複数台のガジェットもつなげます。その際は、1台目のスマホやタブレットの『Remote Link Files』から、設定用のQRコードを表示して読み込むだけでOKです。

ポケドラCloud上のデータを直接メールやSNSにアップすることもできるので、Wi-Fi環境に入ったときに、とりあえずデータを移行してしまうのもアリ。適宜データを移していけば、スマホの容量も軽くなり、欲しいデータはいつでもインターネット経由で取り出せるようになります。前述の「スマホやタブレットを複数台使っているとよくある悩み」も、これでかなり解消できるというものです。

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保存できるデータの目安としては、上記の通り。最も軽量な500GBモデルでも、写真なら約13万枚、音楽なら約16万曲も保存できるそう。

パソコンからポケドラCloudへアクセスする場合はもう少し設定が必要ですが、こちらもマニュアルが用意されています。特に、Waindows/Mac用ツール『Remote Link PC Sync』を導入すれば、ファイル同期も可能になるので、使い勝手も向上します。

アップデートで、以前より速く、使いやすくなった

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実際に、iPhoneで撮影した1枚約1~2MBほどの写真を15枚ほど一気にアップロードしてみましたが、ほぼ3秒に1枚くらいのペースで、小気味よく進行していきました(環境によって差はあると思いますが、その時はアップロード速度が1.38Mbpsでした)。他のクラウドサービスと比べても「ぶっちぎりで速い!」とまではいきませんが、十分に許容できる速さではあると感じます。

ポケドラCloudは、2014年11月に発表されたガジェットで、以前には兄弟メディア「ギズモード・ジャパン」でも取り上げたことがあります。その際にも、初期設定の簡単さは変わらずでしたが、実はアップロードやファイルの表示スピードが物足りなかったり、アプリの使い勝手に少々クセがあったりと、いくらか「もう少し!」と言いたくなる点があったのも否めませんでした。

その後、メーカー側も対策を行い、本体のファームウェアやアプリをアップデートしたのだそう。そのおかげで全体的なスピード感がもアップしています。現在、各種ECサイトをはじめ、ウェブ上にポケドラCloudのさまざまレビューが上がっていますが、発売当初と現在では操作感が異なってくる部分もあるといえそうです。

クラウドサービスもある中で、あえてポケドラCloudを導入するメリット

データ共有に対して、まだ良い方法が見つかっていない人なら、ポケドラCloudはひとつの選択肢になるでしょう。一方で、すでに各種クラウドサービスを使いこなしている人からは「別に使わなくてもいいんじゃないの?」という声も聞こえてきそうですが、僕も「すべてのクラウドサービスを廃してポケドラCloudに移行すべき!」とまでは言い切れません。サイトUIや各種アプリとの連携機能においては、各種クラウドサービスに長があると感じますし、すでに便利に使い始めているものをやめるのには勇気が入りますから...。

ですが、あえてポケドラCloudを併用するのもオススメで、現在のクラウドサービスの使い方を見直すきっかけにもなるはずです。たとえば、以下のようなメリットが挙げられます。

1.月額費用がかからない(節約につながるかも)

通常、ポケドラCloudと同じく500GBから2TBほどのデータ容量をクラウドサービスで使おうとすると、有料課金制になるのが一般的です。ポケドラCloudはその点で「買い切り」のサービスといえるため、使い続ける上で料金が発生しません。たとえば、現在のクラウドサービスを無償版にダウングレードし、流動的に軽いデータをやりとりする場として使う。残しておきたいデータやたまに見返せればいいデータは、すべてポケドラCloudに移行する...とすれば、長い目で見て、節約にもつながるでしょう。

2.クラウドサービスの「バックアップ」としても使える

現在、ポケドラCloudは「Dropbox」と「フレッツ・あずけ~る」の2つのクラウドサービスと連携し、データ同期に対応しています。1つ目のメリットで挙げたように「データの引っ越し」をしてしまう手もありますが、むしろ重要なファイルだけ同期させておいて、クラウドサービスがダウンした時などのトラブルに備えておくという使い方もできます。ちなみに、ポケドラCloudを2台持っていると、それぞれを同期させられ、より強固なバックアップになります。

3.家族や友人間で共有しやすい

設定手順でも見たように、使いはじめるまでに難しい設定がいらないのが、ポケドラCloudの良いところ。QRコードの読み込みで設定が完了しますし、「あまり難しいことはわからないけれど、スマホは便利に使いたい」という家族の要望にも応えやすいはず。また、データを公開/共有したい人ごとに、フォルダを分けることも可能です。設定画面から「共有フォルダ」と「ユーザー」を作成することもでき、そのフォルダのみのアクセス権を付与するQRコードが作れます。

4.PCレスで音楽ファイルをストックしておくにもちょうどいい

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最近ではWi-Fi経由で直接スマホやタブレットにCDの曲を取り込める「CDレコ Wi-Fi」のような便利アイテムもあります。ただ、やはり取り込みっぱなしでは、すぐに端末の容量がパンクしてしまいます。そこで、容量不足を避けるために、音楽データの保存先としてポケドラCloudを利用するのです。

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CDを取り込むと、データベースに問い合わせ、自動で曲名やアートワークも表示してくれる

実は「CDレコ」のバージョンアップにより、ポケドラCloudにCDの曲を取り込むことも可能になりました。「CDレコ Wi-Fi」「ポケドラCloud」「専用アプリ『CDレコ』(iOSAndroid)をインストールしたスマホやタブレット」を同一のWi-Fiネットワークでつないだり、『CDレコ』の設定でデータの保存先にポケドラCloudを指定したりと、いくらかの準備は必要ですが、設定を一旦してしまえば、あとはラクラク。一度スマホやタブレットに保存しなくて済むだけでなく、PCも使わず手軽にCDの曲をデータ化しやすくなります。

毎日ぜったいに聞きたいものだけを持ち歩き、たまに聞きたい曲はポケドラCloudにストックしておくと、端末の容量を節約できていいでしょう。

ポケドラCloudに保存した楽曲のリモート視聴と注意点

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CDレコの紹介文をみると、どうやらポケドラCloudに保存した音楽データを『CDレコ』から試聴するには、同一Wi-Fiネットワーク内にいなければいけないようです。つまり、ポケドラCloudが置いてある場所でしか再生できないわけです。

しかし、試してみたところ、ポケドラCloudを操作するためのアプリ『Remote Link Files』から外出先でもリモート視聴できました! 急に体が欲しがった曲は、ポケドラCloudからストリーミングすればOKですね。通信容量はちょっと注意がいりそうですけれど。

また、1点だけ注意が必要なのは、現在、iOS版の『Remote Link Files』ではカメラロールへのアクセスのみができ、本体に保存した音楽ファイルのアップロードはできない仕様です。楽曲の再生やダウンロードはできるので、iOS端末の場合は、あらかじめパソコンやAndroid端末から楽曲データをポケドラCloudに移しておくか、上記の『CDレコ』を使う方法でポケドラCloudにアップロードすることになります(ここもいつか、スマートにできるようになるといいのですが...)。

Android端末は、仕様上対応しているファイルであれば、アップロード/ダウンロードに制限はありません。

「目に見えるクラウド」の、アナログな安心感

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往々にしてクラウドサービスの「便利さ」と「安心感」は相反するもの。数多く使うほど、自分の大事なデータが国内外のどこにあるのかわからない恐怖がつきまといます。また、多くのユーザーがいれば、それだけ悪意ある人々に狙われやすくもなりますし、パスワード漏洩事件などにも目を光らせていたいところです。その点で、ポケドラCloudは自宅の、目に見える場所に常にありますから、便利さは保ちつつも、いくらかの安心感を得られることでしょう。

もちろん、他のクラウドサービス同様に「スマホを紛失した!」といった事件には、やはり注意が必要です。でも、ポケドラCloudなら「ひとまず本体の電源を落とす」という手段を取れば、外部からのアクセスをシャットアウトできるのですね。これ、なんだかんだ、最後の手段として、有線でつながっているアナログだからこその頼もしいポイントかもしれません。

ポケドラCloudは直販サイト「アイオープラザ」をはじめ、各種ショップで取り扱っています。仕様などの詳細は下記よりどうぞ。

ポケドラCloud(HLS-Cシリーズ)|アイ・オー・データ機器

IO DATA HLS-C500 | IO DATA通販 アイオープラザ

(長谷川賢人)