Popular science:まったく新しい3Dプリンターが登場し、試作品作成が一層速くなる時が近づいているかもしれません。何時間もかかっていた3Dプリントが数分で終わるようになるかもしれないのです。
米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者らは、この新たなプロセスを専門誌で説明し、「Continuous Liquid Interface Production」の頭文字から「CLIP」と名づけました。彼らは、この方法を用いることで、3D印刷のもっとも面倒な2つの問題、作成に長時間かかること、そして表面が粗いことに対処できるとしています。CLIPでは複雑なオブジェクトでも、従来かかる時間の数分の1で滑らかにプリントでき、また使用できる材料の幅も広がったと主張しています。
CLIPと呼ばれる新しいプリント方法
液状樹脂を用いる現在の3D印刷法は、オブジェクトを一層ずつ時間をかけてゆっくりと形成していきます。層をプリントし、硬化させ、樹脂を補充し、また繰り返します。CLIPシステムでは、プロジェクターが連続的で非常に薄いオブジェクトの横断面図を、下から紫外線で写しだします。この光が、液状樹脂の底のすぐ上で、液体の層を硬化させます。その一方でプラットフォームが、形成されつつあるオブジェクトを樹脂から連続的に引き上げます。
CLIPプリンターの目玉となる特徴は、液体の底にある酸素と紫外線を透過する窓です。酸素は硬化プロセスを妨げるため、底部に薄い非硬化樹脂層(デッドゾーン)が効果的に、そして連続的に形成されます。しかし、この薄い層は赤血球数個分の厚さしかありません。このため紫外線は透過し、デッドゾーンのすぐ上にある低酸素樹脂を硬化させます。樹脂は底部に貼りつくことなく、また酸素があるためにプロセスが遅くなる表面で行われていないため、より速いプリンティングが可能となるのです。形成されたオブジェクトをプリンターが引き上げると、吸引に伴い底部に低酸素樹脂が供給されます。
また硬化プロセスを大幅に速めることで、3Dプリントはより滑らかになります。3Dオブジェクトの単一層が硬化するのを待つかわりに、CLIPは連続的にプリントし、射出成形品にも匹敵するオブジェクトを形成します。CLIPの製作者によると、もっとずっと細かい物(20ミクロン以下のオブジェクト)も作ることが可能であり、大半の3Dプリンターでは使用不可能なエラストマーや生体物質も使用できるようになる可能性があると言います。CLIPのプロセスは見た目が非常にクールなのもいいですね。製作者らは、映画「ターミネーター2」に登場する、あの象徴的な液体金属製のT-1000からヒントを得たとさえ語っています。
しかし、結局のところ、この新たなプロセスが他と異なるのはやはりそのスピードです。CLIPの製作者によると、従来の方法と比較すると25倍から100倍も速くオブジェクトを作れると言います。
研究者らは、Carbon3D社という新興企業でこの特許出願中のプロセスを活用し、年末までにCLIPプリンターの商用版を製造する予定だといいます。値段や仕様に関する情報はまだありませんが、Carbon3D社デバイスの初回の生産はおそらく、高品質の高速試作品作成のニーズが非常に大きい(そしてお金もあり余っている)新興企業や研究機関向けとなるでしょう。
NEW LIQUID-BASED 3D PRINTER TAKES MINUTES, NOT HOURS|Popular Science