桜も満開となり、新しい季節の到来です。とはいえ、年度末のあれやこれやでパソコン画面の文字と、にらめっこし続けて、まさにデジタル漬けになった「目」に蓄積した疲労を引きずっている人も多いのではないでしょうか?

東洋医学の考えでは、これから盛り伸びゆく力に満ちた春という季節は、体の奥にためていたエネルギーを全身へと行き渡らせるために「肝」という臓器の力をフル稼働していくことになります。そして肝に負担がかかったときに影響が出やすいのが目です。

今回は、春の時期に蓄積した目の疲れをリフレッシュするセルフケア術をお伝えします!

まずはパソコン環境をチェック!

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目のケアをする前にまず試してみてほしいのは、パソコンの位置をチェックすること。ちょっとしたことですが、首や肩のコリと目の疲れは連動しています。1日の作業の大半をパソコンの前で過ごす方は、まずその環境を見直してみましょう。

オフィス内のデスク環境が均一でも、人の体型はそれぞれ。同じ机の位置、パソコンの位置でも背の高い人はパソコンの位置が低くなって猫背になってしまい、首に負担がかかるような姿勢が多くなりますし、背が低い人は肩が上がって首がすくむような姿勢に。

立ち上がって腕をストンと落とした時は、首と肩の位置は自然な状態になりますよね。

背が高い人はパソコンの下に電話帳のような厚みのあるものを挟んで高さをあげたり、逆に背が低い人ならお尻の下にクッションを入れて座高をあげたり、工夫して首や肩がナチュラルに解放される位置に置けるように、適切な高さを見つけてみましょう。

ベストポジションが見つかったら、椅子にはしっかり腹筋を立ててL字型で座り、お腹の力が抜けない姿勢でいるのがベスト。その位置をキープするだけで、ジワジワと腹筋も鍛えられていくという一石二鳥の効果もありますよ。

手軽に目をゆるませる、おしぼりの当て方

目が疲れている時は、自然と心地よく感じる目のツボを押したりしているもの。喫茶店に入った時に出てくる温かいおしぼりを思わず目に当ててホーッと一息...というのは、誰でも1度はやったことがあるのではないでしょうか?

この本能的な行動が実は適切で、適度な温かさのホットタオルを目に当てることで眼精疲労はかなり回復されます。タオルで暖めた部分が冷めていく経過とともに目の周囲の緊張がゆるんでいきますので、この温めてから冷ます過程を数回繰り返すとより効果的です。

また、もう1つ温めると効果的な場所が「こめかみ」。実は、こめかみの下には「蝶形骨(ちょうけいこつ)」という骨があります。蝶形骨は片側のこめかみから目の奥を通って反対側の目の奥、こめかみまで、ひと続きになっている蝶々の形のような骨。

また、こめかみは蝶形骨の周囲に頭蓋を形成するいくつもの骨が集う交差点のような場所でもあります。つまり、こめかみをゆるめると目の奥がゆるみますし、周囲の骨たちの緊張も解けてくる、という効率の良いポイントなのです。

ただし注意が必要なのは、こめかみのエリアは非常に繊細であるということ。そのため、気持ちが良いからとグイグイとしたマッサージを行うことは厳禁です。ホットタオルをじんわり当てるだけなら、穏やかにこめかみをゆるめることができます。ハンドタオルを水につけ、絞ってレンジ(500ワット)で約30秒チンするだけで、手軽にホットタオルを作れますので、ぜひ試してみてくださいね。

※ズキズキと目の奥が痛む時や偏頭痛などの時は、血流が上がることで痛みが増すこともありますので、温めることは避けてください。

知っておきたい! 視線と脊椎の関係

パソコンの画面を見続けていると、当然目の周りが重く、だるくなってきて、そのまま首や肩までコリが連鎖してしまいますよね。実は「視覚」と「脊椎」の動きは連動しています。視線が行く先に、脊椎が付いて行こうとするのです。

近距離でパソコンの画面を凝視することは、ある意味小さな独房で壁を見続けているようなもの。目線だけでなく脊椎の動きにも制限をして、小さく縮こまって動きを止めてしまうのです。

高いビルに登って地平線を見渡したり、広〜い野原で寝転んで高い空を見上げたりした時に、ふっと疲れが取れたり、心まで軽くなったような体験はありませんか? 視線が広く、遠くになったことで脊椎も一緒にゆるんでいるからなのです。

そして、脊椎がゆるむことと連動して呼吸が深くなり、自律神経系も副交感優位になる、というポジティブな連鎖により、心も身体もゆるんだ状態になることができます。

1分でできる、目の疲れをゆるませるサバンナ瞑想

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休憩時間ごとにビルの屋上から街を眺めたり、草原で呼吸できたら良いですが、そんな環境は滅多にありませんよね。でも、「視線と脊椎」の関係を使ってオフィスでもできる方法があります! それが「1分でできる、目の疲れをゆるませるサバンナ瞑想」です。次のような手順で、目を閉じたまま、眼球だけを動かして視線を移動させていきます。目は動かしても首は動かさないようにしてくださいね。

1.まず、ゆったりと椅子に腰掛けます。首を上下左右に軽く動かし、可動域を確認します。

2.目を閉じて、一息ごとに全身の力を抜くように、ゆっくりと深呼吸を数回繰り返しましょう。瞑想中も力まずに、呼吸を継続してくださいね。

3.目を閉じたまま、目の前にサバンナの大草原をパノラマ画面でイメージします。何にもない草原に、木々やキリン、象などの動物がくつろいでいるのを遠くから眺めているようなイメージです。

4.引き続き目を閉じた状態で、まずめい一杯真左に視線を移しましょう。そこからゆっくりとパノラマ画面の風景を追いながら、右端まで視線を移していきます。どんな風景が見えますか? 呼吸もゆったりとしてくださいね。

5.真右の端まで視線が達したら、同じように遠くに木々や動物を眺めながら、左端へと再度視線を動かしていきます。ゆっくりサバンナの状態を観察してみましょう。この左右の動きを数回行ってみます。

6.左右の次は上下の動きです。目を閉じたまま遠くに見える風景から空へと視線を移し、できる限り上に移動させます。首は正面を向いたまま動かさず、目だけで行います。空を見上げた時見えるのは、太陽でしょうか? 雲でしょうか? それとも月かもしれませんね。

7.真上を見上げたら、今度はゆっくりと足元に視線を移します。大きな湖にさっき見た空の上の風景が映っているのを、のぞき込んでいくようなイメージです。真下までしっかり眼球を動かしていきましょう。この上下の動きも、数回行いましょう。

8.最後は真後ろです。もちろん首をひねって真後ろを見ることはできませんが、眼球を真後ろまで動かすようなつもりで、真後ろにどんな風景が広がっているか見てみましょう。右回り、左回り両方やってみましょう。

9.十分だと感じたら、視線を中央に戻し、ゆっくりと目を開けていきます。首を前後左右に動かして、変化を感じてみましょう。

いかがでしょうか? たとえば、瞑想の前にはフレッシュな草木の香りのアロマミストをシュッとひと吹きして、香りを楽しみながら行うと効果が倍増します。

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DIGITAL DETOX AROMA」のアロマミストは、頭をシャープにする作用があると言われているローズマリーと、体にエネルギーをみなぎらせるバジルのブレンド。お仕事の合間にリフレッシュして、より良いアイデアや作業効率を上げることを助けてくれる香りですので、ぜひ活用してみてください。

風景のイメージがしにくい方は、パソコンのデスクトップ画像をお気に入りの美しい景色に設定してみると、目を閉じた時に思い浮かべやすいかもしれませんよ。サバンナでなくても、見晴らしの良い風景ならOKです!

もちろん、休憩時間やオフの時にはなるべく見晴らしの良い景色を見たり、たくさん草木の香りを嗅ぐなどして、リアルに体感するのが一番ですので、ぜひそんなデジタル・デトックスな時間を設けてくださいね。

小松ゆり子

パーソナル・セラピスト。音楽、カルチャー、リラクゼーションを融合する「relacle」「CHILL SPACE」スーパーバイジング・ディレクター。南青山のプライベート・アトリエ「corpo e alma」を中心にセラピー・セッションやセミナー活動を行う。東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「VITAL touch therapy」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行っている。

約12万人以上を動員する音楽フェスティバルSUMMER SONICで10年連続セラピーブースを展開する他、新宿のシェアオフィス「HAPON」でのオフィスリラクゼーション、アパレルブランド「かぐれ」でのセラピーや講座など他業種とのコラボレーションも多数。現代人が都会でバランスを保ちながら生き抜く知恵やプリミティブな五感を取り戻す方法をさまざまな角度からナビゲートする。