人はスランプに陥っている時は何事も楽しむことができません。そして、自力でスランプから脱するのは容易なことではありません。
(Seuss 博士)
Inc.:1965年の野球シーズン中、メジャーリーグ選手であるウィリー・メイズは24打席0安打というスランプを経験しました。
毎試合、毎日、失敗ばかり、アウトばかりでした。もし彼がその時に野球をやめていたらどうなっていたでしょうか? ウィリーについては後ほどもっとお話しします。
野球選手ではありませんが、まさに今、私の親友の1人がスランプに陥っています。彼は企業家としても父親としても素晴らしい人物ですが、完全に行き詰っていました。私は先週彼と一緒にコーヒーを飲みながら話をしたのですが、彼の声からも絶望に打ちひしがれて希望を失っているのが伝わってきました。そして、彼が話していたエピソードは、すべて私にも身に覚えがあるものでした。
つまり、私は人生でたくさんのスランプを経験してきたのです。永久に続き、決して抜け出せないと思ったスランプもありましたが、私はいつもそういったスランプから脱却してきました。
これからご紹介する13個のシンプルな方法を実践すれば、あなたはもっとポジティブで前向きになり、どんなスランプからも抜け出すことができるようになるでしょう。
1.スランプであることを自覚する
スランプは人生におけるその他の問題や障害と何ら変わりません。今現在、自分の気持ちが沈んでいることを認め、何かしらの問題が存在することを認識することから始めましょう。
2.スランプを受け入れる
これが今の自分の気持ちの状態で、逃れることはできないのだと、受け入れましょう。そして自分自身に次のように話しかけてみましょう。
「こんなことが永久に続くはずはない」
「今は行き詰っているけれど、いずれ状況が良くなることは間違いない」
「かつてと同じように、今回のスランプもいずれは過ぎ去るはずだ」
3.諦めることに肯定的になる
常に悲劇の主人公みたいな人生を送っている人を知りませんか? そういう人たちは常に自分の人生のドラマを語りたがるようです。彼らは常に被害者意識にはまりこんでいます。彼らは痛みを感じながらも、結局のところ、そういう状態でいることが生きていく上で楽なのです。
もしあなたがスランプから脱したいのならば、自分から能動的に諦めなければなりません。同情を求めるのではなく、具体的な解決策を模索しましょう。
4.スランプについて人に話す
人生に行き詰まり、暗い所にはまりこんでしまうと、これほどひどい思いをしているのは自分だけだと思い始めてしまうものです。しかし、心を開いてほかの人々に話してしまえば、誰もが人生のさまざまな局面でスランプに陥ったことがあることに気づき始めます。
5.同情を引くのをやめる
気分が落ち込んでいたり、失敗したと感じたり、物事が決してうまくいかないだろうと思ったとき、あなたはどうしますか? 多くの人は愚痴を聞いてもらうための集まりを開きます。そして、いかに物事が不公平なのかを訴えます。人々から同情され、「あなたは正しい、辛く思うのは当然だ」と言ってもらいたいのです。
しかし、こんなことをしても悪い状況を長引かせる効果しかありません。このような精神状態では、何の解決策も模索できず、自分をかわいそうに思ってくれる人を探すだけになってしまいます。そんな不毛なことはやめて、スランプから脱却することに集中しましょう。
6.精神的にポジティブになれる物事に触れる
私が悩みを抱えている友人と話して、スランプから脱却させようとしているとき、彼は世界中で起こっている、数々の恐ろしい出来事について語り始めました。彼がたくさんのニュースを見ていることはわかりましたが、精神がネガティブな情報でいっぱいになっていることが、さらに事態を悪化させていることには気がついていないようでした。
私たちは自分の心の中に何を入れるべきかということについて、常に注意しなければなりません。ニュース、ネガティブな人々、暗い物事...こういったものは私たちの精神状態を悪化させ、創造力や深く物事を考える能力を阻害します。
気分を落ち込ませるものではなく、高揚させてくれるようなものに関心を向けましょう。
7.自分のエネルギーレベルを上げる
落ち込んでいるときは自分のエネルギーレベルを上げる必要があります。「筋肉を動かして思考を変えよ」という古い格言がありますが、確かにそのとおりです。散歩に出かけたり、短時間のエクササイズをしたり、腕立て伏せを数回するなど、身体に負荷をかけすぎない運動をして血流を良くしましょう。
8.スランプに感謝する
そのように考えられるかはあなた次第ですが、人生の出来事すべてが教訓になるのです。今回のスランプから自分は何が学べるか? このスランプは自分に何を伝えようとしているのか? 今の状況をどのように利用したら自分が変われるのだろうか?
難しいかもしれませんが、この経験と、スランプによってあなたが得られる教訓に感謝しましょう。
作家・村上春樹の言葉に次のようなものがあります。
そしてその砂嵐が終わったとき、どうやってそいつをくぐり抜けて生きのびることができたのか、君にはよく理解できないはずだ。いやほんとうにそいつが去ってしまったのかどうかもたしかじゃないはずだ。でもひとつだけはっきりしていることがある。その嵐から出てきた君は、そこに足を踏みいれたときの君じゃないっていうことだ。そう、それが砂嵐というものの意味なんだ。
(村上春樹著『海辺のカフカ/上巻』より)
9.ポジティブな人とだけつきあう
人はもっとも多くの時間を一緒に過ごしている5人の平均である。
(Jim Rohn)
あなたは時間のほとんどをネガティブな人々と一緒に過ごしていませんか? 自分が1番長く一緒にいる人とその人の態度をよく観察してみましょう。その人たちがあまりにネガティブなら、一緒に過ごす人を変えましょう。ポジティブであなたの気分を高揚させてくれる人を探しましょう。
最初は難しいかもしれません(自分の気分が最悪なときに本当に幸せな人の周りにいたがる人はいませんから)が、大変重要なことなのです。
10.自分の体に刺激を与える
時には自分のすべてを変える必要もありますが、体に刺激を与えるような大きな出来事1つでどうにかなることもあります。
多くの場合、スランプはマンネリ化が原因であり、たとえ事態が悪化していることに気づいていても、ぬるま湯に浸かっていることが快適になるにつれて、事態は徐々に悪化するのです。ですから、自分の体にショックを与えるために何か行動を起こす必要があるのです。
・あなたが夜型人間ならば、1週間早起きしてみましょう。
・あなたが超真面目人間ならば、数日間笑いを最優先してみましょう。
・ネットや携帯が手放せないネット依存状態なら、デジタルデトックスに挑戦してみましょう。
11.他人を助ける
自分の精神状態をがらりと変える最良の方法の1つは、ほかの人の助けになることです。おそらくこれは、本当にスランプから脱却し本来の自分を取り戻すための最も効果的で、あなた自身も満足できる方法だと思います。
プロダクトデザイナーのD. Keith Robinsonは次のように指摘しています。
よくあることなのですが、私はどこから取りかかれば良いかわからないときや、仕事が山のように溜まっている時は、まず最初に、何か手伝いが必要かほかの人に尋ねます。
私にとっては、これが考え得る限り最高のやる気が出て、生産性が上がるコツなのです。確かに自分がやるべき仕事があるのですから、これは若干直感的に納得できるものではありませんが、効果は絶大です。気づいたことなのですが、他の人が仕事を始める(もしくは終わらせる)手伝いをしたあとだと、私の気分がリフレッシュされて、自分自身の仕事に取りかかる気分になれるのです。
試してみてください。どんな時でも効果がありますよ。
プレッシャーを感じたり気分が落ち込んだりしたときは、とにかく誰かほかの人を助けてみましょう。
12.感謝の気持ちを持つ
スランプに陥ると、人生で良いことなんて何もないと思ってしまいがちです。しかし、私の経験からすると、これはまったく間違っています。
私の人生において何が起きていた時でも(ビジネス上の問題、病気になった、車で横入りされた、など)、感謝の気持ちを持てるものが何かしら常に存在していました。
生活の中で良いと思えることを1つ考えるだけでいいのです。それからリストに1つ、また1つと、良いことを追加します。そうすれば、本当は自分がいかに幸せなのかと気がつくでしょう。
13.行動を起こす
今が行動を起こす時です。スランプから脱却するためにどのステップを踏むかを決めて、本当に小さなことからでも始めましょう。大事なことは、何かをすることです。あなたの気分が良くなる何かをしましょう。
さあ、始めましょう。
そうそう、冒頭で話題にしたウィリー・メイズのことですが、彼が24打席ノーヒットのスランプに陥ったシーズンの後、彼はどうしたかということですが、彼はその後スランプから脱却して、ナ・リーグの最多本塁打の新記録を樹立し、MVPに選ばれました。 スランプになったことも、悪いことばかりではなかったのです。
「きみはいま、外の世界に出て行こうとしているのです! 君の登るべき山が待っています。さあ、出発しましょう!」Photo by Shutterstock.(Seuss 博士)