最近は仕事に関して技術的なスキルが重要視されがちですが、根気、度胸、忍耐力のような個人的な資質も、キャリアやその後の人生に大きく影響します。自分を成長させるために技術的なスキルを身につけるのと同じように、個人的な資質も伸ばすことができる方法があります。
根気

最初から社会的に評価されるような目標を達成できる人はほとんどいません。しかし根気があれば、失敗した後も繰り返しチャレンジすることができます。根気強さは、どんな仕事においても問題を解決するために必要な資質です。Calvin Coolidgeさんは、根気がなぜそんなにも重要なのかを次のように説明しています。
問題解決に必要な素養として根気強さに代わるものは、この世にはありません。才能も根気強さには敵いません。才能はあるのに成功できない人がしばしば見受けられますが、たとえ天才であっても根気強い人には勝てません。実際に報われない天才もよくいます。また、教育も根気強さには勝てません。世の中には教育を受けた無職の人であふれています。
根気強さに決断力が加われば無敵です。「継続は力なり」という格言もありますが、継続はこれまでも人類の問題を解決してきましたし、これからも解決していくことでしょう。
もっと根気強くあり続けたいと思うなら、遠い未来には目を向けないことです。くじけそうな時は、その瞬間だけに意識を集中させます。そうすれば、その日の終わりには、ほんの少しでも前進している(少なくとも後退を止めている)ことを実感できるでしょう。計画通りにいかずに心が折れそうになったら、一時的な目標や計画を立てましょう。継続するために、少しでも前進していることが目に見えるようにします。そういう時は少しでも難しいことをやめましょう。
新しいことを学んでいる時に、「自分はダメ人間だ...」と思うと何もできなくなります。たとえ、その時はうまくできていなくても、続けていれば、最終的には極めることができるということを思い出してください。何かに挑戦している時は、誰もがこのような障害にぶつかるものです。
度胸

度胸とは、恐怖心があっても行動を起こす能力のことです。それにより、恐怖心によって無気力にならずに行動を起こしたり、後で恐怖に打ち勝つこともできます。でも、度胸をつけるために、あえて衝動的になる必要はありません。
たとえば「クビになりたくないから、上司を怒らせたくない」など、恐怖心というものは何かしら理由があって存在しています。したがって、そういう時に度胸を持つことができるかは、自分が行動を起こすことに価値があると考えているかどうかによって決まります。「でも、私は自分のアイデアに価値があると信じてるから、上司に提案するし、その責任も取る」といった具合です。
作家であり「Breather」の共同創業者であるJulien Smithさんの電子書籍『The Flinch』には、度胸をつける練習方法が載っています。たとえば、Smithさんは冷たいシャワーを浴びるのを勧めています(健康にもいいと書いてありました)。シャワーを浴び始める時は冷たく感じますが、1〜2分後にはそれを終わらせるというのがポイントです。冷たいシャワーを浴びてから20〜30秒後に温かいシャワーに切り替えて、徐々に身体が温かくなるのはすごく気持ちがいいものです。
度胸をつけるために、必ずしも冷たいシャワーに飛び込む必要はありませんが、この例は快適なぬるま湯のような状態(コンフォートゾーン)を打ち破る時に、度胸が身につくことを示しています。
忍耐力

あらゆるものが高速で変化をし、ともすると衝動的で混沌とした感情にのまれがちな今の時代に、冷静で落ち着いていることができれば、かなり状況は違ってきます。忍耐力や我慢強さは、理性的な思考を鍛えます。たとえばカスタマーサポートやサービス業で働いていたり、やっかいな同僚と仕事をしている場合などに、我慢強く耐えることで、ほかの同僚と一線を画した対応ができるので、人を幸せにすることができます。
今度、急にイラッとした時は、怒りに負けないようにしましょう。これまでも怒りを発散したところで、気分が良くはならなかったことを思い出してください。不平不満を言う時も、遠回しにネチネチと表現したり突然ブチ切れたりすることがあります。どちらも同じようなことですが、あなたが感情をコントロールすることができれば、周りの人たちもそこまでストレスを感じずに済むはずです。
同様に、今度、衝動的にジャンクなお菓子が食べたくなったり、仕事のクオリティが下がるのを承知で手を抜きたくなったら、すぐにそれをやるのはやめておきましょう。買い物の場合は、セールや割引の誘惑に負けて衝動買いをしないということです。自分を甘やかしそうになったら一旦立ち止まり、熟慮して決断する練習をしましょう。
また、仕事はできるだけ1つのことだけに集中をしてマルチタスクをしないようにしたり、いろいろなタイプの瞑想を試してみると、忍耐力が鍛えられます。時間をかけて忍耐力を鍛えることはできますが、忍耐力がつくまでの間、自分の気を紛らわすこともできます。何かを待っている時は、のんびりと結果が出るのを待つ方が、それまでのプロセスをより楽しめる、ということを思い出しましょう。
社交性

人は、あなたが何をしたかを覚えていないかもしれませんが、あなたにどんな気分にさせられたかは覚えています。気配り、礼儀、タイミングなど、すべてが社交性に当たります。人は、一緒にいて気分の良い人と働きたがるものです。社交性があると仕事がやりやすくなり、一緒に働くのが楽しくなり、それは会社やチームの財産になります。『権力(パワー)に翻弄されないための48の法則』の著者ロバート・グリーンさんは、「社交性と引き換えに知性を磨くと、熟練するための進歩が遅れる」とズバリ指摘しています。
コーヒーミーティングや商談の場、職場や知らない人とのミーティングなど、実生活の中で社交性を磨くことはできます。エチケットの権威として知られるEmily Postさんの本や専門家のサイトなどで、エチケットについて学ぶこともできます(たとえば「約束を丁重に取り消す方法」など)。
社交性のなさが気がかりだったり、うまく立ち回れていないと感じる場合について、作家のRamit Sethiさんは、会話に入りやすくするように、会話のきっかけや世間話を準備しておくことを勧めています。頭が萎縮してしまう時間を与えないようにするのです。
社交性を保には常に練習と研鑽が必要です。自分はうまくできないと思うこともあるかもしれません。それは自然なことです。仕事で落ち込んでいる時は、大事なイベントの前に社交性を上げる練習が必要かもしれない、ということを覚えておいてください。
このように、個人的な資質を伸ばすのは、一見するととても簡単なように聞こえますが、道のりはなかなか険しいものです。それこそ、絶え間ない練習を続ける「根気」が必要です。何から始めればいいのかわからない時は、上記の中から自分に1番足りないと思う資質を選んで、練習してみてはいかがでしょうか。
Herbert Lui(原文/訳:的野裕子)
Photos by ymgerman, watchara, Army Medicine, David Goehring, Jakub Hlavaty, and Ed Schipul.