企業では当たり前のことが、行政機関では全くできていないことがあります。例えば、税金を効率的に使う「コスト意識」や、「市民満足度」といったことです。
米国の最南部にあるフロリダ州デイド群は、250万人が住んでいる州でも最大の人口を持つ行政区。この街では、市長のCarlos Gimenez氏による強力なリーダーシップのもと、IBMと提携して市民が暮らしやすく透明性の高い行政をつくることを目的とした「スマートシティ・イニシアチブ」が始まりました。提携が発表されてから2年が経ち、目に見えた成果が現れているようです。ウェブメディア「Mugendai(無限大)」によると、ポイントは、行政機関同士が持っているものの、活用していない情報を共有することでした。
例えば古い水道管からの漏水が見つかると、水道局へのみならず他の部局へも通知され、道路補修など他の工事のスケジュールと調整が図られます。無駄な水の消費は20%減り、工事回数は最小化され、年間100万ドル(約1億円)を他の住民サービスへ振り向けることができました。また、モバイルアプリを通じてリアルタイムに公共交通機関や道路の混雑状況を市民へ開示したり、バスや鉄道の乗客数、混雑のパターンを解析したりすることで、大規模な交通インフラを新設・増設することなく、渋滞発生を抑え、市民の満足度を向上させました。
成果があったのはコストだけではありません。治安の向上にも影響を与えたのです。
治安の維持・向上には優秀な警察組織が欠かせません。マイアミ・デイド郡では犯罪が起きると、手がかりが少数であっても、関連しそうな事項をシステムが洗い出し、高度な鑑識や捜査に結びつけ、また、他の司法組織とも積極的に情報が共有されます。その結果、人員を増やすことなく、郡警察は検挙率を73%にまで高めることができました。
この取り組みは、世界中の都市に応用できるものです。まさに未来都市の姿ではないでしょうか。プロジェクトの詳細については以下のリンクへアクセスしてみてください。
地方自治体におけるビッグデータ&アナリティクス活用の最前線|Mugendai(無限大)
(ライフハッカー[日本版]編集部)
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