多くの親にとって、朝の時間は戦場です。でも、筆者は気がつきました。朝のルーチンを確立してしまえば、もっとスムーズに1日を始めることができるのだと。子育てのストレスから解放される最大のコツは、いつも摩擦を起こすシチュエーションを1つ見つけ、それに対処する方法を見つけること。それだけで、その他のことは驚くほどスムーズに運ぶようになるのです。我が家の場合、それは朝でした。

我が家には2歳と1歳の子どもがいて、それぞれ別の保育園に通わせています。しかも、保育園までは家から30分もかかるので、出発前のドタバタは日常茶飯事だったのです。でも、少し時間をかけて、子どもたちの朝のルーチンを管理するようになったら一転、明るい光と幸せに満ちた1日をスタートできるようになりました。

これが本当にうまくいったので、ぜひみなさんの参考になればと思い、この記事を書いています。あなたの朝のカオスが収まり、ハッピーな1日のスタートにつながれば幸いです。

十分な睡眠時間

朝のルーチンについて語る前に、何よりも対処すべきことがあります。それは、睡眠時間。耳にタコかもしれませんが、睡眠は本当に重要なのです。

あなたの子どもは、十分な睡眠を取っていますか? こちらの表は、必要な睡眠時間を年齢別にまとめたものです。朝の出発時間は決まっているでしょうから、そこから逆算して、起こす時間、就寝時間を決めましょう。つまり、朝7時に起きる2歳児は、夜7時には寝なければならないのです。

寝る前の準備

十分な睡眠時間が取れているとして、次のステップは、できるだけ朝の負担を軽くすること。前の晩のうちに、これだけのことはやっておきましょう。

朝食の準備

当然だと思っていたのですが、多くの親がやっていないと聞いて、私には驚きでした。朝食の好みにもよりますが、前の晩に準備ができるのであれば、朝の時間は大幅に節約できます。

お弁当を詰める

子どもたちはお弁当が大好き。「pinterest」などのサイトで、シンプルなアイデアをたくさん見つけられます。ちなみに私のイチオシお弁当サイトは、「Weelicious」です。

服を選ぶ

前の晩のうちに子どもに選ばせるか、翌朝子どもがすぐに選べるよう、適当な服をいくつか用意しておきましょう。意志決定プロセスに子どもを巻き込むことで、朝のルーチンに主体的に取り組むようになります。

必需品専用の箱、フック、棚を用意する

毎朝のように、あれがないこれがないと探していませんか? それを避けるためにも、専用の場所を決めておくことが重要です。それは親も一緒。鍵や財布、携帯電話など、決めた場所に保管していますか?

子どもより先に起きる

これも常識かと思っていましたが、毎朝子どもに起こされる親も、意外と多いようです。子どもの起床時間より15分から30分前に、目覚ましをセットしましょう。そこでできた時間を、子どもたちの朝のルーチンを簡単にし、気持ち良く送り出すための準備に充てるのです。子どもが起きる前に、シャワーと着替え、出かける準備を済ませておくのが理想です。私の場合、コーヒーを楽しむという大切な時間も。

習慣によるメリットは、子どもだけのものではありません。大人も、子どもが起きる前に済ませておく「朝の儀式」を決めておくのがオススメです。

我が家では、子どもが起きる前に、その日持って行くものをすべて車に積んでしまいます。そうすることで、子どもたちを車に乗せながら財布を探したりすることはありません。親がいつも「携帯がない」「財布がない」と言っているようでは、子どもに事前準備を教えることなんてできませんよ。

子どもがまだ小さければ、言葉と一緒に絵を併用しましょう。朝のルーチン一覧表を作り、やらなければならないことをそこにすべてリストアップしておくのです。

  • 歯を磨く
  • 髪をとかす
  • 顔を洗う
  • 着替える
  • 朝ご飯を食べる
  • 靴を履く
  • カバン/お弁当箱を持つ
  • 家を出る

一覧表が準備できたら、ひとつひとつのステップについて語りかけながら、子どもと一緒に実行します。そうすれば、計画に狂いが生じたらすぐにわかりますし、ステップの順番を入れ替えることもできるでしょう。

朝のルーチンを通して、子どもがそれらのタスクに主体的に取り組むように仕向けましょう。すべてをやってあげるのはNG。ズボンを履かせてしまえばその日は確かに早く済みますが、後々苦労するのは明らかです。マリア・モンテッソーリは、著書『子どもの心―吸収する心』に、このように記しています。

自分で靴ひもを結べたり洋服の着脱をしたりできる子どもは、人としての尊厳を、その喜びと達成感に反映させます。それは、自立心から生じるものなのです。

「when... then」アプローチ

子育てに詳しいエイミー・マクレディ氏が「Positive Parenting Solution」で提唱している「when... then」アプローチもオススメです。

When-Thenルーチンは、歯磨きや着替えなど、子どもが嫌いな朝の準備でも、やる気を保たせるためのツールです。具体的には、嫌なことをすべて終わらせてから、朝食や遊び、テレビなどの楽しいことをさせるという方法です。

朝の時間に子どもが好んですることを1つ、見つけてください。それをチェックリストのその他の項目が終わったときのご褒美にするのです。たとえば、「お着替え、歯磨き、ベッドメークが終わったら朝ご飯にしようか」というふうに。

このアプローチは、かなりの効果を発揮します。特にすばらしいのが、子どもにその他の選択肢を与えていないところ。「してもしなくてもどっちでもいいよ」という態度を見せるようにしてください。朝食が欲しければルーチンを終わらせるでしょうし、そうしなければ、おなかがすくという自然の摂理が働きます。そして、次回からは同じ決断をしないようになるでしょう。

1つだけ注意すべきなのは、途中で折れないこと。さもないと、効果がなくなってしまいますよ。

冷静に、家族全員で

子どもは、親が急ぐあまり殺気立っていることに気づくと、あえて作業を遅らせて抵抗を試みます。上記のヒントをすべて実践していれば、もう急ぐ必要はないはずですが、時にはギリギリになってしまうこともあるでしょう。

疲れを感じたら、子どものレベルまで下がって、なぜ今協力してほしいのかを説明して、主体的に取り組んでもらうようにしましょう。

子は親を移す鏡なので、態度には気をつけて。朝から怒鳴り散らしたり、不満を表に出す(指さし、ため息など)のをやめて、穏やかな口調で話すようにしましょう。

不満がたまっているときのコツとしては、ささやくように話すこと。それによって、怒鳴ることなく穏やかな口調で子どもたちに接することができるようになります。

毎朝子どもたちを送り出すまでの作業は、家族全員のタスクです。1人だけでなく全員が参加できるようにしてください。

スペシャルな週末を

週末であっても、ルーチンからはあまり離れない方がいいでしょう。ルーチンを維持しながらでも、特別な週末を送ることは可能です。子どもの睡眠時間を十分に確保したうえで、朝をリラックスして過ごしましょう。いつものルーチンの前に、スペシャルな朝ご飯を作ったり、絵本を読んだり。週末の定番、ホットケーキを焼いたり、みんなでアニメを見るのもいいでしょう。

我が家では、土曜日の朝はファーマーズマーケットに出かけます。週に1度のこのスペシャルな朝は、2歳児も楽しみにしている様子。マーケットでどんなおいしいものが手に入るのだろうと夢見ながら、自分で洋服を選んでくるのです(たいていはレインコートと長靴)。

家族全員が、それぞれにスペシャルな週末を楽しみにしています。1歳児はブドウを、2歳児はハニースティックや焼き立てのお菓子を、大人はいれたてのエスプレッソを。それぞれに楽しみがあるおかげで、週末でもベッドから起き出して外出するモチベーションが湧いてきます。そして、家族一緒の時間を過ごすことができるのです。

これらのルーチンを確立することは最初は面倒に思えますが、実際にほとんどの朝がラクになった今となっては、努力をしたかいがあったと実感しています。せっかくの朝ですから、ストレスに満ちた戦場ではなく、穏やかで美しい1日の始まりにしたいものですね。人生において、それ以上の喜びはありません。

How to Establish a Morning Routine for Kids That Actually Works | A Fine Parent

Bryn Huntpalmer(原文/訳:堀込泰三)

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