国内外のイノベーション事例を取り上げるウェブメディア「Mugendai(無限大)」が、去る5月19日に札幌市内のホテルにて行われたカンファレンスの様子をレポートしています。「IBMリーダーズ・フォーラム2014 Spring 北海道」には、主催である日本アイ・ビー・エム株式会社の代表取締役社長であるマーティン・イェッター氏をはじめ、多くの来場者が訪れ、講演やパネル・ディスカッションに耳を傾けたのだそう。

イェッター氏は挨拶で、コンサルティング・サービスを無償で提供する社会貢献プログラム「スマーター・シティーズ・チャレンジ」を手がけた最初の都市が札幌であったことをまず紹介。歴史上大きな転換の要因に、18世紀は蒸気、19世紀は電力、そして21世紀はテクノロジーを挙げます。

同様に、転換の要因としてもITやテクノロジーを求める声は強いようです。その後に行われたパネル・ディスカッションでは、北海道札幌市に本店を置く北洋銀行の取締役頭取である石井純二氏が、北海道を発展させるITの可能性について言及しています。

石井氏は、「北海道の構造的な課題は、第1に、人口減少・少子高齢化による、生産年齢人口の減少とマーケットの縮小であり、第2に、第二次産業が9%ぐらいで全国平均の半分しかないことから、経済の瞬発力が弱い、雇用の吸収力が弱いこと、第3に、事務所数の減少だ。こうした課題に対しては、小さいパイをどう増やすか、ではなく、パイのあるところにどんどん進出していくという姿勢で、定住人口から交流人口へ向けてインバウンドを増やすほか、特にアジアに対する北海道ブランド力の強化や、福祉、居宅型の高齢者住宅なども含めて推進したい」と新しいマーケットに向かっていくことの重要性を強調した。

さらに石井氏は、札幌市と稚内市がコンパクトシティ構想に前向きに検討していることを挙げ、「中心街の土地の有効活用や、除雪などの面でビッグデータの活用が期待できる。さらに、企業において一番大切なのはスピードであり、どれだけ質の高い必要な情報が瞬時に入ってくるかということが、これから重要となってくる。また、北海道には優良なものづくり企業が存在するため、銀行では、これまでの融資中心から、出資、販路の開拓といったサポートを増やす方向転換を目指している」と銀行の立場から語った。

道内最大の資金量・預金量を誇る北洋銀行だけあり、これからの動向には注目と期待が集まりそうです。また北海道だけでなく、転換期をむかえる地方自治体が今後も増えていくことは容易に想像できることです。その際に、ITやテクノロジーはどのように活用されるのか。どのような成功モデルを残すことができるのか。模索はまだ、続いていきそうです。カンファレンスのレポート全文は、下記リンクより。

スマートな時代へ――テクノロジーが導く新たな価値の創出 「IBMリーダーズ・フォーラム2014 Spring 北海道」レポート | Mugendai(無限大)

(ライフハッカー[日本版]編集部)

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