考え方を、江戸時代からアップデートしよう。

自身が2年間約50カ国を旅した経験を記した著書『日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。』『僕らはまだ、世界を1ミリも知らない』などを持つ太田英基さん。1985年生まれの起業家です。用紙の裏面に広告を掲載することでコピー代を無料にした学生向けサービス「タダコピ」を大学在学中に創業したメンバーであり、現在はフィリピン英語留学の口コミサイト「School With」を展開、執筆や講演活動にも励みます。

フィリピンへ留学して英語をゼロから学んだ後、「世界のリアルを知る」ために世界一周。現地の人々や世界で働く若き日本人たちと交流した体験から、帰国後も主に若者世代へ向けて、「世界」を基準にして物事を考える大切さを発信し続けています。

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去る2014年10月24日、東京・渋谷の学生専用シェアスペース「Campus Plus@渋谷」に太田さんの姿がありました。この日、コーヒー事業などを手がけるネスレ日本が主催するStarter's Cafe NESCAFE「ワクワクはじまる。」コンテストに際し、現役学生約60名を前に、「プロジェクトとして旅をすることの面白さ」をテーマにしたトークイベントを行ったのです。

以下は太田さんが学生向けに話した内容ではありますが、「人生の行動範囲を広げたい」「可能性を大きくしたい」と考えている人ならば、年齢を問わず、動き出しくなるパワーに満ちていると感じます。

世界旅行でしかできない「3つの目的」を叶えに

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今日は、僕が本でも書いた「日本がヤバイのではなく、世界がオモシロイから」というエッセンスを含めて、みなさんに伝えていきたいと思います。

学生起業して「タダコピ」を5年やり、退社した後は2年くらい世界を旅していました。本を何冊か出していて、海外や旅が好きな人にはきっと役立つので読んでほしいと思います。最初はフィリピンに行って英語を勉強し、それから北米、中米、南米、北アフリカ、ヨーロッパ、北欧、アジアと巡ってきたんですが、「世界的に見て経済が盛り上っている国」を自分の目で見たいと思ったんですね。このスライドの、文字が赤くなっている国々です。それと、マチュピチュのような世界遺産は、世界一周なんてそうそうできないので、ルートに組み込みました。

僕が旅をした目的は3つありました。この手段を取れるのが「世界旅行しかない」と思って、決めたんです。

・世界中で一緒に仕事ができる友達をつくること

・仕事で使える英語レベルの底上げをすること

・世界のリアルを知ること

旅に出ることを決めて、僕にも何かできることはないかなと思って「サムライバックパッカープロジェクト」をやりました。ここで、世界旅行をしながら現地で働く日本人のことや、体験記を綴っていきました。僕が旅したのは2010年からの2年間ですが、その頃に「ケニアなう。バスで漏れそうになってる」なんてツイートをし続けていたのは、たぶん僕が初めてだと思うな(笑)。

僕は、もっと世界というフィールドと関わりを待ちたいと思っていた。でも、僕のまわりの若者は世界に興味がなかった、興味がないというか、向きあう必要がなかったんです。それに僕だって、できれば英語を一生使わず生きていこうと高校時代は考えていたくらい。だから、どうやったら海外と向かい合うきっかけができるのだろうと思ったら、野球でいうイチロー、サッカーでいうカズや中田英寿みたいに、ロールモデルが必要じゃないかなって。

でも、ほとんどの人が関わる「仕事」というフィールドでは、ロールモデルがまったく浮かばなかった。サッカー選手は出てきても、4年前では海外でビジネスをやっている日本人は思いつかなかったんですよ。だから、そういうビジネスマンを旅して発掘して、届けていこうというのがサムライバックパッカープロジェクトだったんですね。この体験は、『日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。』という本にも書いています。

「目的のある旅」の4つのメリット

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2年間で約50カ国、1000人くらいに会いました。やっぱり、いまいる場所から目に見えるものって限界があるから、その土地に行って、現地の人とコミュニケーションをとっていくことでしか見えないものがあるんです。それで価値観がゆさぶられていくのが大事です。景色を見ることもそうだし、友達と話し合うのもそう。人と会って話をして、得られる気づきがまるっきり異なって、面白いからいいんですね。

僕が会って面白かったのは、環境領域のコンサルティングをしている人で、アジアのごみ処理センターを中心に回り続けている人がいました。こんな風に、目的を持った旅をするのがオススメです。「自分のやりたいこと」を形にするための旅ですね。目的を持って旅をするのは、4つのメリットがあります。

1.旅の後に続いていく可能性

旅の延長で、キャリアや仕事、人生において、やりたいことがつなげられる。可能性が広がる。

2.人と出会いやすくなる

「誰かに会いたい」と常に思っているから、友達が紹介してくれたり、会う機会を大切にできたりする。

3.スポンサードを得られる可能性

僕の後輩にはレシピサイトの「クックパッド」にスポンサードをしてもらって、海外のレシピを集める旅に出ている人がいる。そのように資金や技術面などで支援を受けられる可能性がある。

4.自分以外の人にも情報を届けられる

知りたいこと、やりたいことをシェアできて、発信できる。自分でブログやFacebookを使って展開するのもいいけど、読者がいないと意味がない。だから、読者がすでにいるメディアで書かせてもらう機会をつかむというのもやりやすいと思います。僕は20~30代の人に、世界でがんばるビジネスマンに届けたいと思ってやっていましたので、宣伝会議のオンラインマガジン「アドタイ」などでコラムを書かせてもらえました。

※太田さんが旅する際に使った便利なウェブサービスは、こちらの別記事でまとめています。

頭の中の「日本地図」を「世界地図」に塗り変えよう

僕が世界の若者と会った中で、気づいたことを共有します。僕が最初に受けた大きなカルチャーショックは何かというと、3カ月フィリピンで勉強していた時に、広告会社で働いている23歳の若者たちと仲良くなって、一緒にスタバでコーヒーを飲んでいたんです。彼らはフィリピンでも一流の大学を出て、いい会社に勤めているらしかった。すると、彼らは転職の話をし始めた。年齢的にも早いなって思いつつ、驚いたのは「次はロンドンがいいかな。ビジネスならシンガポールがいいな。いや北京だ。東京も魅力的だ」という会話だったんです。「次にどこで働く?」というのが「会社」ではなく「どこの国、どこの都市」かを話し合っていた。みなさん学生であれば、いま就活していると思うんだけど、こういうことを頭に描きながらやっているかを考えてみると良いんじゃないでしょうか。

つまり、いまは「江戸時代ではなく、平成だ」ということです。江戸時代は関所があり、江戸に憧れがあってもなかなか行けるものではなかった。もう150年近く経って、江戸というか東京どころか、飛行機を使えばいつでもどこでも世界中の都市に、24時間もあれば行けるようになったんです。パスポートがあればOKで、インターネットで現地の情報も調べられて...時代がそうやってシフトしてきている。

だから、21世紀の働き方って、1億3千万の日本人ではなく、70億人の地球人を見ていくべきなんだろうなと。いまならそっちを見ていくことができる、恵まれた時代に生きていることを僕は伝えたいですね。言ってしまえば、ビジネスでいえば、僕たちの頭は豊臣秀吉で止まっているんですよ。まずは日本を制圧して、次は韓国、東南アジアで、その次は世界だ、みたいな。でもそうじゃないんですよね。いまいる場所の次に、北京やロンドンへ飛んだっていいんです。

頭の中にある「日本地図」を「世界地図」に塗り変えましょう。みなさんがやっている趣味や仕事を、日本だけでなく世界という地図に描いて、世界のどこでやると極められるのか、発展させられるのかを考えましょう。本当はいろんな選択肢があっていいんです。一流のエンジニアになりたければ、日本なら東工大に行ったり、ITベンチャーやNTTデータなどの大手IT企業に勤めることなのかもしれないけれど、シリコンバレーとかインドに出たっていい。能力や物理的な距離はあっても、最後にできるかできないかを決めるのは「アイデア」です。アイデアがない人間には絶対できない。アイデアをもって、チャレンジしていく人間になってほしいと思います。

それに旅っていうのは、将来、その土地でやりたいことができたときの「視察」にもなると思います、土地の人と交流して、知ること。移住したり、大学に行ったりしちゃうのもいい。そういう考え方のシフトが、21世紀をもっと楽しく生きていけるための方法なんじゃないかと思います。

The World is smaller than we think.However it's deep。

この言葉を、最後に送ります。

フィリピン留学の日本最大級口コミ情報サイト【School With】

Starter's Cafe NESCAFE「ワクワクはじまる。」コンテスト

(長谷川賢人)