商社に入社して事務職として働きながら、メルマガなどで男女を問わず恋愛相談を続けていたところ、気がつけば恋愛相談のプロに...。その結果、現在では「恋愛作家」の肩書きを持つことになったという著者が、約10年のOL生活での経験を軸にしながら社内恋愛の戦略をまじめに追究した著作、それが『社内恋愛の教科書』(片瀬萩乃著、あさ出版)です。

「人を好きになる」という点においては、どんな恋愛も違いはありません。しかし、社内恋愛に限っては、他の恋愛と同じように行動するとうまくいかないことがよくあります。にもかかわらず、ほとんどの人が他の恋愛と同じように行動してしまうのは、なぜでしょうか?

それは、社内恋愛の「ルール」を知らないからです。

(「はじめに」より)

では、そのルールとは? 気になる方も多いだろうと思いますので、きょうは第3章「実践編1 彼女をもっと知るために」から、いくつかをピックアップしてみたいと思います。

相手がフリーかどうか、確かめるには

相手へのアプローチ法を考える前に、まず意識しておかなければならないのは、近づきたい女性に彼氏がいるかどうか。とはいえ、会社でプライベートなことを話したがらない女性は多いため、見極めはなかなか難しいものです。そこで著者は、「100%わかるとは限りませんが、目安と考えられるものを女性の視点から挙げてみましょう」と、次のポイントを紹介しています。

週末の話題に「誰と」がない

「週末、どこかに出かけた?」という話題になったとき、「友だちと遊園地に行ってきました」ではなく、「遊園地に行ってきました」と話す女性は恋人がいる可能性大。なぜなら、これは彼氏の話をしない人が会社の人に使う手だから。単に友だちと行った場合は「友だちと」とつける一方、恋人との場合は、あえて主語を明らかにしないというわけです。

定番のアクセサリーを身につけている

女性は、ファッションによってアクセサリーを変えることがあるもの。しかし、いつも同じアクセサリーをつけている女性は、それが恋人からのプレゼントであることが考えられるそうです。特にその可能性が高くなるのは、同じ指輪をしている女性だとか。

1次会が終わったあとで頻繁に携帯をチェックする

飲み会のとき頻繁に携帯をチェックしている場合は、恋人からの連絡を待っているかも。1次会が終わるころ、頻繁に携帯をチェックしたり隅に言ってコソコソ話している場合は、彼氏が迎えに来ている可能性も。

急に話題が豊富になる

たとえば、野球に興味がなかったはずなのに、急に野球の話題を口にしたり...。女性は恋人がいると、恋人の影が会話のあちこちに見え隠れするといいます。いわないだけで、秘密にしているわけではないので、行動をよく観察していれば気づけることは少なくないとか。(68ページより)

社内恋愛のアプローチは◯◯から

毎日のコミュニケーションが相手へのアプローチになる社内恋愛において、最初の重要なアプローチは「あいさつ」。朝会ったら「おはよう」という。すれ違ったときに「お疲れさまです」と声をかける。そんな当たり前のことが、重要なアプローチになると著者は主張しています。

なぜなら、あいさつもまともに交わしていない人から突然デートに誘われても、相手が喜んでOKするはずはないから。ものごとは、基礎という土台ができていてこそ応用がきくもの。相手が同じ社内にいて、しかしまだ話しかける糸口がつかめていない段階では、あいさつを毎日繰り返すことによって、関係の基礎をつくるべきだということです。

ちなみに、あいさつされた相手が困惑した表情を見せたとしても、それは気にしてはいけないといいます。そこでめげてしまったら前には進めないからこそ、なにがあっても毎日あいさつを続ける。そうすることで、声をかけられなかったときに相手は「きょうはどうしたんだろう?」と考えることになる。恋愛感情とまではいかなくとも、それは相手の心を動かした証拠。(72ページより)

彼女の「横のつながり」に気を配る

横のつながりを優先するのが女性。だからこそ、社内恋愛の行動で男性が気にかけなければならないのは、ターゲットの女性ではなく、むしろ彼女の周辺にいる女性だと著者は説いています。そして、まわりの女性社員に気づかれずに接近する際に大切なのは、「6:4」の割合でお気に入りの女性に近づくこと。6割がお気に入りの女性、4割がその他の女性という感じだそうです。

社内恋愛の場合、周囲に特定の人に対する好意を気づかれてしまう男性は、狙っている女性を特別視しすぎるもの。しかし「6:4」のバランスに基づいて"ついで感"をまわりに見せれば、「やりすぎではなく、それでいて存在感を示すこともできる」というわけです。(76ページより)

会話を一問一答で終わらせない

相手との関係が暖まっているかどうかの判断基準は、話しかけたときの「相手の反応」。一問一答式の会話では、アンケートに答えているのと同じで、距離が縮まっているとはいえません。そしていつも一問一答式の会話になってしまうなら、次の点をチェックしてみるといいそうです。

・自分だけが興味のある会話をしていないか?

→相手が会話についてこられない

・ネガティブな発言ばかりしていないか?

→「否定的な話は早く終わらせたい」と思わせてしまう

・同じ話題ばかり繰り返していないか?

→毎日天気の話をされても「そうですね」としかいえない

これについては、社内恋愛のみならず、ビジネストークにも応用できそうです。(80ページより)

本書の特徴は、女性としての立場から、男性のためのアプローチ術を紹介している点。男性には気づきにくいポイントが数多く紹介されているというわけで、社内恋愛の渦中にいる人には大きな助けになることでしょう。

(印南敦史)