最高のチームは、偶然に生まれるものではありません。メンバーそれぞれの努力と、考えの行き届いたリーダーシップがあってこそ、メンバーがまるでパズルのピースのようにぴったりとフィットしたチームができるのです。では、「できる」チームを作るために必要な要素とは、具体的には何なのでしょう?

もちろん、チームを構成するメンバーそれぞれが、スキルを身につけている必要はありますが、それだけでなく、チームの中で活躍できる協調力も必要です。でも、それだけでは、できるチームを作るには不十分です。

できるチームのメンバーには、お互いの能力を高め合い、一枚岩の関係を構築する能力が不可欠なのです。

それでは、科学的研究に基づき、できるチームに共通する6つの特徴について説明していきましょう。

メンバーのEQが高い

できるチームというのは、実務のスキルが備わっているだけでなく、EQと呼ばれる心の知能指数も高いものです。実際、メンバーそれぞれの知能指数(IQ)よりもEQのほうが重要だ、とする研究結果も複数あります。各人の対人関係に関する意識が高いと、グループ全体の仕事の質も向上するというのです。

例えば、ペンシルベニア州ピッツバーグにある米カーネギーメロン大学のAnita Woolley准教授の率いる研究チームが行った研究では、グループ全体の知能指数と、それに個々のメンバーが及ぼす影響を測定しました。

Woolley准教授は、699人の被験者を2~5人からなるグループに分け、パズルを解く、ブレインストーミングを行う、文字をタイプする、交渉を行うといった一連のタスクに取り組ませました。タスクが終わると、その出来栄えを評価して、「グループ全体の知能指数」をはじき出しました。

その結果、グループの中でもっともIQが高い人の数字も、メンバーのIQの平均値も、グループ全体で見た知能指数には影響を及ぼさないことが判明しました。グループ全体の知能指数にとって一番重要な要素は、「社会的感受性」(ほかの人の心情を理解する能力)だったのです。Wooley准教授は、被験者それぞれの社会的感受性を、人の目の部分の写真を見てもらい、写真に映った人がどんな気持ちでいるのかを当ててもらう方式で測定しました。

というわけで、チームワークが必要な場面では、単なる知性よりも社会的感受性がモノを言うようです。つまり、チーム内の協力を促すためには、各メンバーのEQがどれだけ高いかを見極める必要があるのですね。

内向的な人と外交的な人の割合がちょうど良い

内向性と外向性のバランスも、チームの働きに影響を与えることがあります(このトピックは最近、たびたび話題にりますね)。

外交的な人のほうが行動的かつ野心的で、チームプレーヤーとして優れている、と思っている人は多いはずです。世の中の流れとしては、外向性/内向性に関係なく、その人の強みに価値を見いだす方向に移りつつあるように見えますが、やはり外交的な人のほうが、ほかのメンバーとも打ち解けやすい感じがするため、今でも有能なチームメンバーだと思われがちです。

しかし実際には、外向的な人が期待ほどの成果を挙げていないケースがあることが、複数の研究により示されています。このように期待を裏切る結果に終わると、外向的な人の「チーム内での地位」は低下します。逆に、内向的な人が集団内で予想外の力を発揮すれば、地位が向上していきます。

言い換えると、外向的な人はコミュニケーションが上手なので、期待感を高めてしまいますが、逆に、内向的な人の働きに対する期待は控えめになりがち、ということです。これはどちらかが優れているわけではなく、さまざまな性格の人を揃えることで、双方の特色を踏まえてうまくバランスを取るのに役立つという話です。

チームを作る際には、それぞれの性格によってメンバーに期待される能力が異なってくるものです。とはいえ、実際に仕事を始めると、どれだけの働きをしたかによって、各メンバーの立場は変わってくるはずです。

内向的な人と外向的な人を揃えれば、各メンバーのチームへの貢献が見えてきたところで生じる士気の低下にも対応できるでしょう。

チームの誰もが全体の目標を共有し、理解している

チームの可能性を最大限に引き出すには、メンバーが共通の目標を掲げ、同じ意識を持つことが大切です。軍の戦術部隊に関する一連の研究によれば、団体行動の効率性は、隊員がやるべきタスクに関する共通理解をどう実行に移すかによって変わってくるといいます。

この共通理解は、研究者から「共有メンタルモデル」と呼ばれています。チームの各メンバーが、「タスクを完了するためには何が必要で、ほかのメンバーはどう行動するか」を予測するために重要なものです。

より具体的なイメージを描くため、ここでは緊急対応チームを例に挙げて考えてみましょう。こうしたチームのメンバーは普通、協調行動が必要なときに、「こうしてほしい」といった要求を口に出したりはしません。けれども、それぞれがきちんとやるべき行動を選んでいます。こうした行動が可能なのは、ほかのメンバーがやろうとしていることと、タスクに必要な要素をきちんと予測できているからです。

こうしたチームの動きは、まるで見事な振り付けを見ているようです。そう思えるのも、チームのメンバー誰もが、必要とされる成果を共有し、理解しているからです。

チーム内に共有メンタルモデルを作りたければ、それぞれの役割と期待される事柄をはっきりと設定すると良いでしょう。また、あなたがチームのリーダーではなく、構成メンバーである場合は、自分の目標や意図を明確に理解し、伝えてください。そうすることで、それぞれの役割が全体の中でどう役立っているか、メンバーも理解しやすくなるはずです。また、ほかのメンバーの働きに対する理解を深めて敬意を持ってもらうのにも役立つでしょう。

いつもユーモアを忘れない

ユーモアがチームの出来不出来を左右する要素だというのは、ちょっと意外かもしれません。でも、ユーモアには信頼関係や親密さを生み出す効果があり、これがメンバー間のやりとりを活発化するのに役立ちます。

ペルー・カトリック大学のEric Romero氏と、ニューハンプシャー大学のAnthony Pescosolido氏が行った研究によると、できるチーム内のやりとりにおいて、いくつかの面でユーモアがプラスの効果をもたらしうることがわかっています。具体的には、効果的な意思疎通、共通目標の形成、全体の生産性向上、感情のコントロールなどに有効なのです。

ユーモアを、共同作業や管理のツールとして考えるのは、冷淡で人間味に欠ける考えに思えるかもしれません。でも、時には肩の力を抜くと、あらゆる人にとってメリットがあるということなのです。

常に先を読んだコミュニケーションを心がける

コミュニケーションの重要性は言うまでもありませんが、本当に大事なのは、「先を読んだ」コミュニケーションです。具体的には、次のような4項目にまとめられます:

  • 各メンバーは自主的に情報を提供する。
  • 各メンバーは自主的にチームを支え、助ける。
  • ほかのメンバーに対して助言や提案を積極的に提供し、能動的にチーム運営に参加する。
  • 最新の状況を逐次報告し、ほかのメンバーにも現状に関する意識を高めてもらう。

これは共有メンタルモデルと似ていて、実際に関連もあるのですが、重要性が高いので、別に項目を設ける価値はあると判断しました。何より、メンタルモデルを共有するには先を読んだコミュニケーションが不可欠なのです。

強力なリーダーシップがある

メンバー全員が上記の条件に当てはまっていたとしても、チームには強力なリーダーシップが必要です。リーダーの役割は、模範を示したりメンバーをやる気にさせたりするだけではありません。メンバーに効果的なフィードバックを与え、これまで説明してきたソフトスキル(対人的な交渉・指導・意思疎通などをうまく行える能力)を育むよう促すことも必要です。あなたがリーダーの立場でないとしても、上司に対して建設的な批判を行い、さらに強いチームを作る後押しをすることは可能なはずです。

リーダーの役割は、ますます重要になるばかりです。自分のチームに適した人材を招き入れコミュニケーションを促し、メンバーが体験を共有できるよう気を配らなくてはなりません。

最後に、できるチームとは、どんな状況でも「できる」ものです。良い時も悪い時も、チームは団結を保ちます。成果が出ればこれを祝い、失敗した時には自分たちの悪かった点を再調整する、そのやり方を知っているのです。

ともあれ、できるチームすべてのベースには、この記事でご紹介した6つの特徴があります。あなたがリーダーの立場であれ、チームの一員であれ、仲間にフィードバックを提供し、より良いチーム作りに向けて努力していきましょう。

The 6 characteristics of a highly effective team|Sandglaz Blog

Alina Vrabie(原文/訳:長谷睦/ガリレオ)

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