リーダーシップや起業家育成、コーチングを専門とするコンサルティング企業「Lead From Within」の創設者兼代表取締役社長であるLolly Daskal氏が、これから起業をしようと考えている人へ、「あまり聞くことがなくても、知っておくべき起業の心得」を紹介してくれました。
Inc.:会社を退職し、自分で事業を立ち上げることを今この瞬間に夢見ている人は、たくさんいらっしゃることでしょう。「自分でビジネスを始め、自分で道を切り開いていく」というアメリカンドリームは、時代を問わず自分自身の力を信じる人たちを魅了するものです。
もちろんルーティンワークから離れ、自分自身がボスになるのはとてもやりがいがありますし、独立後、個人としてもプロとしても仕事の満足感を得ている人たちが多くいるのも事実です。しかし、どのような活動においても、夢や幻想を抱くより、現実と向き合うことの方が重要です。とりわけ起業に関していえば、現実は複雑でとても厳しいのです。
負の側面があることを覚えておいてください
残念ながら、起業したり新たな事業を立ち上げたりした場合、それらの90%は数年以内に廃業しています。AmazonやZapposの成功は人々に勇気を与えますが、現実はそう上手くいきません。
情熱だけでは務まりません
「情熱に勝るものはない」。この言葉を私たちは何度も聞いていますし、ある程度は当たっています。しかし長い目で見たら、成功するには情熱的であるよりも忍耐力を持ち、我慢することが非常に大事なのです。
事業を成長させるには何年もハードワークをこなさなければなりません
「起業家精神は労働時間を減らし、自由時間を増やすこと」と思っている人はたくさんいらっしゃると思います。しかし実際の起業家精神は「長年にわたって一日一日、慎重かつ誠実にビジネスを構築させていくこと」なのです。事業に成功する秘訣があるとしたらハードワーク、これだけです。もっと正確に言うと「とても過酷なハードワーク」です。ビジネスを始めることは確かに自分の勲章になりますが、今まで以上に働く覚悟を持たなけれなければいけません。
起業家としての人生は孤独なものです
独立することはとても魅力的ですが、それと同時に孤独でストレスの多い仕事です。雇われの身で働いている場合は、信頼できる同僚間のネットワークがあり、そこでフィードバック、責任の共有、あるいは親しい人と就業時につながることができますが、ほとんどの起業家の人生において、孤独は切っても切り離せないものです。
他人を率いるためには、自分自身をマネジメントしなくてはなりません
よくあるイメージとして「起業家精神とはアイデアを持つこと」とよく言われていますが、事業に成功している人たちは、たとえ従業員が1人だけでも、強力なリーダーシップが備わっています。そして有能なリーダーは、セルフマネジメントの仕方を心得ているのです。
もしかしたらお金持ちになれないかもしれません
「起業は大金持ちになる近道」と誤解されている人も少なからずいらっしゃると思います。確かに報酬は多いですが、ただ莫大な富を得るのが目的なら、事業立ち上げが最も良い方法とは思えません。
将来、自分の自信を揺るがす危機がやってくるかもしれません
起業家には一般的に強い信念を持った自信家が多くいますが、責任と一か八かの決断で、仕事そして自分自身に対する絶対的な自信が打ち砕かれる時が、誰しもに訪れるでしょう。希望を感じなくなったら、自信の喪失、暗い気持ち、そして深刻な状況を打破するために、がむしゃらに働かなくてはいけません。
絶対に自分をごまかさないでください
最後にこの言葉を送るのは、これが最も重要なことだと思うからです。「Fake it till you make it(できるようになるまで、できるふりをしなさい)」という有名な言葉がありますが、むしろ今の自分に嘘をつかない誠実さが重要だと私は信じています。成功する秘訣は欠点も含めて「あなた自身」でいることです。
起業家は誰にでもなれるわけではありません。でもそれで良いのです。
しかし起業家の精神を持つ人は、チャンスを探すというより、自分で作りながら人生を歩んでいきます。彼らはこれから自分の思っている能力以上の難題も乗り越えていきますし、たった一つの失敗を致命的なものとしては受け取りません。
What Nobody Tells You About Being an Entrepreneur | Inc.com
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Lolly Daskal(訳:Conyac)
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