厚生労働省が発表した資料(PDF)によると、大学新卒後に入社した会社を、3年以内に退職する社員はおよそ30%と言われています。そして、この数字は年々増加しています。

いまや、いくら大企業に就職しても一生安泰とはいえない時代です。社会情勢も環境も急速に変化する中で勝ち残っていくためには、常に「学び続ける」ことが必要になってきます。厳しい時代ですね...。研修が充実している会社であれば、学ぶ機会は会社から与えられることもありますが、会社に制度がない場合や自身で事業を起こした場合などは、自分でその機会を見つけるしかありません。

その機会のひとつとして紹介したいのが、オンラインで学べる大学です。4年前の2010年、経営コンサルタントである大前研一氏によって設立された、すべての講義をオンラインで学べる「BBT(ビジネス・ブレークスルー)大学」では、毎年数百人の学生たちが入学し、経営やウェブマーケティングなどさまざまな実践スキルを学んでいます。基本はスマホやタブレット、PCで講義の動画を視聴した後、課題を提出したり、オンラインキャンパスでディスカッションをしたりすることで、学習を進めていきます。所定の単位を修めれば、卒業時に通常の4年制大学と同じく「経営学の学士資格」を取得することもできます

140728bbtu_8.jpg学友とはオンラインキャンパスやFacebookなどでコミュニケーションをとる。

BBT大学には、高校卒業後にストレートで入学する人もいれば、社会人として働きながら学んでいる人も多くいるといいます。みんな学ぶことに「お金」と「時間」を投資している人たちであることは間違いありません。「イマドキの若者は...」とマイナスに言われることが多い中、おそらくその真逆にいるであろう"熱い"人たちに会ってみたくなりました。なぜ、BBT大学に入学しようと思ったのか? 何を学んでいるのか? どんなところがメリットなのか? 今春卒業したばかりの卒業生1人と、在学生2人にお話を聞いてみました。

今回お話を聞いた3人は、学ぼうと思った動機も、置かれた環境やバックグラウンドもそれぞれです。ただ、共通点として感じたのは、「主体性を持って自分で選択している」こと、そしてBBT大学で学んだことがきっかけで「考え方や生き方の幅が広がっている」ことでした。

在学中に25カ国を訪問、世界中に友達ができた:佐々木あやさん(23歳)の場合

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キラキラした大きな目が印象的な佐々木あやさんは、高校卒業後の2010年に一期生としてBBT大学へ入学。今春卒業したばかりです。「小さい頃から、人と違うことをしたいという思いが強かった」と話す佐々木さんが「経営」に興味を持ったのは、なんと小学生のとき。当時、オーストラリアのボンド大学による講義をオンラインで学んでいた父親の様子を、後ろでそっと見ていた佐々木さん。聞こえてきた内容に釘付けになりました。

佐々木:アート引越しセンターの社長が社名の由来を話していたのですが、電話帳で"あ"が一番初めに出てくるからだとおっしゃっていて、小学生にも理解できる内容だったんです。ビジネスってそういうアイデアで進んでいくんだなって、なんて楽しいんだろうと思いました。

父親の影響もあり、経済やマーケティングを学ぶ場所として、佐々木さんはBBT大学を選択。受験の面接では自らの強みを、中学生のときから熱心に取り組んできた「演劇」と「若さ」だと分析し、伝えました。

「演劇で経営に携わりたいという話をしました。きっと受験者はオジサンが多いんだろうと思ったので、自分は目立つだろうなんて変な自信はありましたね」と話す佐々木さんですが、実際に入学してみると、若い人が多くて驚いたそうです。「20代や30代前半の社会人の人が多かったんです。みんなカッコ良くて、東京で行われた入学式ではイケメンウォッチをしていました(笑)」。BBT大学での4年間を経て、佐々木さんは今春社会人として新たなスタートを切りました。

佐々木さんが思う、BBT大学の「ここ」がメリット

メリット1.世界中に仲間ができる

やる気に満ちあふれ、BBT大学に入学した佐々木さん。しかし、広島にある実家で学んでいるうち、孤独に襲われてしまいます。

佐々木:実家でずっとオンライン講義を受けていたのですが、普通の大学に入学した友達たちはコンパだ、サークルだってなんだか楽しそうにしていて。私は母親と、家に遊びに来る母の友人にしか会わない毎日でした。いたたまれなくなって外に出ても、行くところがなく、家の隣りの公園でブランコをこいでいました。昼間はまだ子どももいなくて、がらんとした公園で、ちゅんちゅんって鳥の鳴き声だけが聞こえて。たまに通る工事のおじさんからの憐れみの目が突き刺さって、本気で心が折れそうでした。

そんな佐々木さんを気遣って、社会人で同級生の友人が、出張のついでに広島まで会いにきてくれたそうです。そこで元気を取り戻した佐々木さんは、「人と会うことの重要性」に目覚め、地元で劇団を立ち上げて演劇を再開。それとともに、日本中にいる同級生に会いに行ったり、海外旅行を始めたりしました。幼い頃からお小遣いなどをコツコツ貯めたお金を使い、BBT大学在学中の4年間で訪れたのは、ヨーロッパ、アジア、西アフリカ、南米と実に25カ国。現地では、BBT大学に在学している同級生たちに会いました。「ヨーロッパで寿司職人をしている人もいたし、日系企業の海外拠点で働いている人もいました。彼らと触れ合い、多くの刺激をもらいました」

メリット2.海外旅行中でも講義が受けられる

ヨーロッパやアジアなど、旅行では毎回1カ月ほど滞在。ですが、その間も授業を受けなければ、単位を取得できません。通常なら休学しなくてはならない場面でも、BBT大学ならWi-Fi環境さえあれば受講できます。佐々木さんの場合、滞在中は「Googleカレンダー」で時間割りを管理し、iPadに講義の動画をダウンロード。それを再生速度の調整や資料の閲覧ができる専用アプリで再生しながら、ノートPCで『Evernote』や『FreeMind』を使用して講義メモをとったそう。

最初は紙のノートに手書きでメモをしていましたが、数が大量になるので海外で持ち歩くのは大変。Evernoteは海外での受講に非常に役に立ったのだとか。これが、あれこれ模索しながら佐々木さんが辿り着いた「ベストなスタイル」です。下記の動画で、当時のそのスタイルを実際の講義を例に再現してもらいました。佐々木さん曰く「特に英語の講義は2倍速くらいで聞き取れると、より現実的なコミュニケーションに近くなる」なのだとか。

メリット3.実践のマーケティングが学べる

数ある講義の中で佐々木さんが印象に残っているのは、マーケティングの講義です。5人のグループワークで、毎回『Skype』でつなぎながら旅行代理店のマーケティングを考えました。「どんなツアーを作ったら売れるか」など、みんなで考えて話し合うのが面白かったと言います。最終的なプランが完成したら、学内でプレゼン大会。残念ながら佐々木さんたちは敗れてしまいましたが、優勝グループは実際に旅行会社へのプレゼンを行ったそうです。

佐々木:私は個人の授業よりもみんなで進めるグループワークが楽しかったですね。同級生の発言に新しい発見があったり、面白い投稿をしたらたくさんコメントをもらえたりして、刺激を受けていました。

メリット4.社会人になってからも、大学での人脈がビジネスに活かせる

大学卒業後は、「演劇を取り入れた人材教育や企業研修を企画したい」という夢を持ち、佐々木さんは在学中にインターンで働いていた組織・人事コンサルティングと国内外の研修事業を手がける株式会社JIN-Gに入社。企業の教育現場に演劇を取り入れて、イノベーションを起こすことが目標とのこと。新しいビジネスを切り拓く際に頼りになるのが、大学で知り合った仲間たちです。

佐々木:今でも会社に同級生が来て、お互いの事業についてブレストをすることもあります。BBT大学のFacebookグループに相談を投稿したら、さまざまな職種や年代の人たちがアドバイスをくれます。私が今取り組んでいる人材教育や研修のこともみんなに知ってもらえるので、「こんなことやってよ」と仕事をいただいたり。入社前からたくさん名刺が集まっていましたし、仕事の初受注は同級生からでした。

最後に、佐々木さんは「これから大学で学ぼうかな」と考えている人に向けて、こんなメッセージをくれました。

佐々木:BBT大学がすべての人に合うとは思いませんが、もし少しでも引っかかりがあるなら、"Just Do It!"で行動あるのみだと思います。ただ、大学に何かを求めるような受け身の姿勢だと何もできないので、徹底的に自分は何がしたいのかを考えて決めるべきではないでしょうか。たとえば、自分の好きなことに近づけるとか、受けたい授業があるとか、動機は何でもいいと思いますが、自分の価値基準の中で一番近いものにBBT大学が当てはまるのであれば、個人的にはオススメしたいですね。

地方で出産・育児をしながら医院経営を学ぶ:白濱ちひろさん(38歳)の場合

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奈良県に住む白濱ちひろさんは2012年10月にBBT大学に入学し、もうすぐ2年目が修了するところ。きっかけは夫の両親が経営する透析クリニックを急遽引き継ぐことになったことでした。「まだ先のことだと思っていたので、驚きました」という白濱さんは、東京からまったく地縁のない奈良県に引っ越し、40人のスタッフを抱える医院経営を夫と一緒に担うことになりました。「これは経営を勉強しなければ!」と感じ、インターネットでさまざまな教育機関を調べてみたものの、地方で仕事をしながら学べる場所はほとんどありませんでした。そのときにオンラインで学べるBBT大学の存在を知りました。

「入学してみると、奈良の同級生も何人かいて、時々集まって"BBT奈良会"を開催しています」という白濱さん。定期的に勉強会や忘年会などを開いて十数人で集まり、有意義な大学生活を送っているのだとか。

白濱さんが思う、BBT大学の「ここ」がメリット

メリット1.妊娠・出産・育児をしながら学べる

白濱さんは在学中の2013年6月に2人目のお子さんを出産しました。「出産前の講義はいつまで受講されたんですか?」と聞いてみたところ、「計画出産だったので、出産当日の朝まで受講していました」という驚きの一言。しかも、出産して1週間後にはまた受講を再開したそうです。そんな白濱さんの一日は、朝4時に始まり、6時半までが勉強時間です。課題をこなしたり、講義を受講したりした後、子どもたちを起こして朝食。8時には勤務が始まります。18時まで働き、夜ご飯を食べたあとは子どもを寝かしつけながら一緒に寝るそうです。

「BBTの先生が授業で"例外を設けずに貫くこと"とおっしゃっていたので、毎日4時に起きることを守っています。習慣になればつらくないですね。疲れているから、前の晩が遅かったからなど、しなくてもいい理由を1つでも作ってしまうと、どんどんゆるんでいって習慣化できなくなってしまいますから」と白濱さん。

メリット2.小刻みに受講できる

白濱さんが医師と大学の勉強を両立できているのは、講義を小刻みに受講できることが大きいと言います。講義の時間は45分や60分などそれぞれ違いますが、録画のため途中で止めることができ、外来がない日の仕事の空き時間に少しだけ受講することも多いそうです。

白濱さんのお気に入りの講義は、Skypeで行う英会話。「フィリピン人の先生と25分間、英語で会話をするのですが、先生がとっても陽気で楽しく、仕事の合間に受けると息抜きになります」とのこと。このようにSkypeを使った対面の講義は、2週間先まで予約を入れられ、2時間前までキャンセルが可能なので、患者さんの急変などがあっても柔軟に対応できます。

メリット3.自分とは違う、幅広い分野の人たちと会える

白濱さんは医師を志す前は、大学で心理学の勉強をしていました。そこで心と体の密接な関係を知り、慢性疾患を抱える人たちの心のケアが必要だと感じたそうです。卒業後に内科医を目指し医大に進んだので、BBT大学とは別に2つの大学を経験しています。

いわゆる、リアルなキャンパスを持つ通常の大学と、BBT大学の違いはどんなところなのでしょうか?

白濱:リアルなキャンパスライフはもちろん楽しいので、若いうちにはそういう経験があってもいいと思います。一方で、大学はどうしても似たような人たちが集まる傾向があると感じます。BBT大学では、年齢も職種も価値観もまったく違う人たちが集まっているので、さまざまな人と関わることで、自分の視野が広がりました。また、生徒同士あるいは先生、さらにその知り合いと、人と人とがつながっていく風土があります。

BBT大学での講義は、医院経営にも直接結びついているそう。「ただ簿記や勘定についての勉強だけをしてもダメだとわかりました。インセンティブだけでは人のモチベーションは上がらないなど、働くことの本質を教わることが多いです。また、患者さんの気持ちをより考えられるようになりました」と白濱さん。それと同時に、BBT大学に入ったことがきっかけで、白濱さんは「女性の働き方」にも興味を持つようになりました。「子育てをしながら働くことや学ぶことは、特別なことではありません。女性がのびのび働ける環境づくりをしたいと考えています」と、今では自分の働き方や学び方が、二人の娘さんの、そして女性たちのロールモデルのひとつになることが目標です。

料理店の起業をきっかけに経営学士取得に挑戦:広永和幸さん(35歳)の場合

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広永和幸さんは札幌を拠点に、北海道と沖縄で飲食店4店舗を経営しています。高校卒業後から料理の修業を積み、その過程で出会った志を同じくするビジネスパートナーと共に29歳で独立起業しました。しかし、その直後、広永さんは大きな挫折を味わうことになります。免疫機能障害の病気が発覚したのです。難病認定されている病気で、脚の骨の複数箇所が壊死しはじめ、身体的負荷とともに悪化し、やがては歩行不可能の状態にまで陥るというものでした。

自身の大きな強みとしていた体力や身体能力、それらを失ったときに自分の存在価値はどうなるのか。アイデンティティを失いかけた広永さんはそんな時に、もともと好きでよく読んでいたという大前研一氏の著書で、BBT大学の存在を知りました。

「センセーショナルでしたね。料理の現場に欠かせない充分な身体能力がなくなる以上、経営など知的な貢献にシフトするしかないと感じていたこともあり、『道はある!』と勇気が湧いてきました。もともと読書は好きで、そこからの学びも役には立ちますが、もっと実践的な機会を欲していたんです」。広永さんは2010年春に入学し、現在は4年目。本業が忙しいこともあり、マイぺースに講義を受けています。「最大8年間在学できるので、本業とのバランスを考えながら、じっくり学びたいと考えています」

広永さんが思う、BBT大学の「ここ」がメリット

メリット1.講義内容をすぐに実践で試せる

料理だけでなく、商品開発、物流、マーケティング、財務、人事など、広永さんが自社において必要と考えるスキルは多岐にわたります。広永さんはBBT大学で学んだことを即実践で試せることが、非常に役に立っていると言います。また、過去の講義を振り返れるのも大きなメリットだとか。

広永:モバイル端末からでも学習できるため、スキマ時間などに学んだことを"すぐに"実行してみるということもあります。学びをしっかり自分の血肉とするのに、これは重要なポイントだと思います。講義内容を何度でも手軽に再確認できるのも嬉しいです。

メリット2.世界の動きを学長の目線で教わることができる

経営の講義とは別に、広永さんが役に立っていると感じているのは、学長である大前研一氏の「大前研一ライブ」という講義です。世界で起こっているニュースを毎週わかりやすく解説してくれるので、新鮮で信頼できる情報を入手できるのだそう。

広永:自然と世の中の流れが理解でき、ときに予測もできるようになっていきます。情報には「オモテ」と「ウラ」があり、それを知ることの大切さも痛感させられます。知識の積み上げに留まらず、議論を重ねて自己の思考力を鍛えていくスタイルなので、「教えてもらっている」という感覚にならず、自分の力で成長していることを実感できますね。

メリット3.卒業後に経営学士を取得できる

高校卒業後、諸事情により大学進学を選択肢に入れることができなかったという広永さん。それから10年以上経ち、「地方に住む高卒の自分が学士に挑戦できるなど、夢のようです。それに、常にビジネスの現場で実績を出している方たちが講師をなさっている点においても、"使える経営学"を学べる場だと思っています」と話します。

広永さんは足の人工関節の手術を終え、病気や身体の障害と上手に付き合いながら元気に過ごしています。自社の経営陣として、また大学生として、活発な日常を過ごしています。

広永:挫折もありましたが、現在の日々は充実しています。そうなれたきっかけは少しの勇気です。自分のような凡人でも、一歩一歩進み、社会の役に立つことを証明していきたいですね。その姿から、「俺でも、私でもできるのでは?」と、また他の誰かに思ってもらえるようになりたいです。BBT大学は、なんとなく自分の「天井」を決めてしまっている人、人生の一歩が踏み出せない人、自分で自分の人生を創り上げたいと思っている人におすすめしたいです。

140728bbtu_6.jpgインターネットとデバイスがあれば、どこでもキャンパスになる。

3人にお話を聞いてみると、ITの進化により、学びの場も多様化していることがわかりました。海外でも、出産前の病室でも、闘病しながらでも講義を受けられるオンライン大学のメリットは確かに大きいと感じます。一方で、どれだけ技術が進化しても、その学びの場を生かせるかどうかは自分次第なのだということも実感しました。今回登場していただいた3人の生き方に何か感じるものがあった方は、オンライン大学のような学びの場を活用することが、新たな道を切り開く一歩につながるかもしれません。

ビジネス・ブレークスルー大学(学長:大前研一) | ビジネス世界を生き抜く本物の力を身につけよう。

(文/尾越まり恵 写真/長谷川賢人)