ポモドーロ・テクニックは、短時間の集中作業を繰り返すことで、仕事を成し遂げるテクニックです。
定期的に休憩もとれて、常に集中できる状態を保てます。
やり方もとっても簡単。特に、クリエイティブな仕事をしている人にはとても役立つツールです。
今回は、ポモドーロ・テクニックの詳しいやり方をご紹介します。何年か前にこのテクニックの簡単な概要を紹介しました。米LH読者が選ぶ生産性テクニックBEST5にも選ばれています。しかし、あまり詳しい解説はしていませんでした。今回は少し詳しく紹介します。
ポモドーロ・テクニックとは何か?
ポモドーロ・テクニックは90年代の初めに、開発者で起業家、かつ作家のフランチェスコ・シリロ氏によって発明されました。
「ポモドーロ」という名前は、学生時代に愛用していたトマト型のキッチンタイマーにちなんでつけられたそうです。
方法論はシンプル。大きなタスクが目の前にあるとき、タスクを短い時間単位に分割して取り組み、間に短い休憩をはさむだけ。
脳を短時間に集中させる訓練にもなり、続けていけば、注意力や集中力も強化されます。
ポモドーロは反復的なシステムです。
短いダッシュを繰り返し、高い生産性をキープします。また、規則的に休憩をとることで、モチベーションと創造性を保ちます。
ポモドーロ・テクニックの実践

ポモドーロ・テクニックはおそらく取り組むのがもっとも簡単なメソッドのひとつです。
必要なのはタイマーだけ。専用アプリも、マニュアルも、特別な道具も不要です。もちろん、シリロ氏の本『The Pomodoro Technique』は参考になりますが、シリロ氏自身、メソッドの中心部分を無料で公開しています。
ポモドーロ・テクニックの具体的手順は以下の通りです。
- 達成しようとするタスクを選ぶ
- キッチンタイマーで25分を設定する
- タイマーが鳴るまでタスクに集中する
- 少し休憩する(5分程度でOK)
- ステップ2~4を4回繰り返したら、少し長めに休憩する
長い休憩は、通常15~30分です。
次の25分のセッションに備えて、しっかりリフレッシュしてください。1日にこのセットを数回繰り返します。
それでかなりのことが達成できるはず。コーヒーブレイクもしっかりとれます。
ポモドーロは分割できない最小単位です。
ポモドーロの途中で急用が入り、タスクが中断されたら、そのポモドーロはそこで終わりです(用件が済んでから新しいポモドーロを開始する)。もしくは、ポモドーロが終わるまで用件を先延ばしします。
シリロ氏は、用件を先延ばすための「伝達、交渉、折り返し」戦略を提案しています。
- 用件を持ってきた相手に、自分は今手が離せないのだと伝える。
- 用件に取り組む時間を交渉し、約束する。
- すぐにスケジュールに書き込む。
- ポモドーロが終わり、準備ができたら、折り返しの電話をかける。
もちろん、すべての用件がこれで済むわけではありません。どうしても対応が必要な用件だってあるでしょう。
しかし、大抵の場合は、同僚に「今は手が離せないので、10分後に折り返していいですか?」と尋ねても問題にはなりません。そうすることで、自分のリズムを乱さずに、1日のタスクをうまくコントロールできます。
ポモドーロ・テクニックの始め方

基本的に、タイマーさえあれば始められます。
スマートフォンのタイマーアプリでもOKです。もちろん、キッチンタイマーも使えます。シリロ氏は昔ながらのキッチンタイマーを愛用しています。
「今から仕事をするのだと自分に言い聞かせるため」だそうです。以下に、いくつかのお勧めツールを紹介します。
『Marinara Timer』(Web)は、以前にも紹介したウェブアプリです。タイマーの効果音も選べて、仕事時間や休憩時間の長さも自由に設定できます。とても柔軟性があり、インストールも不要です。
『Tomighty』(Win/Mac/Linux)は、クロスプラットフォームのデスクトップタイマーです。ポモドーロのルールが初期設定されているので、そのまますぐに使えます。また、仕事時間や休憩時間の長さも変更できます。
『Eggscellent(旧Pomodorable)』(OS X)は、ポモドーロタイマーとToDoアプリのコンビネーションです。タイマーの残り時間や、次に取り組むタスクを、わかりやすいビジュアルで教えてくれます。OS Xのリマインダーアプリともうまく連携。タスクの予実管理機能も備えています。
『Simple Pomodoro』(Android)は、ミニマルな外観の、オープンソースの無料タイマーです。ワンタップでタイマーを開始、アラームが鳴ったら休憩します。時間はあまり細かく設定できませんが、休憩に入るタイミングと、タスクに戻るタイミングを通知してくれます。また、1日にいくつのポモドーロを達成したかも確認できます。Googleタスクとも連携します。
『Focus Timer』(iOS)はかつて『PomodoroPro』と呼ばれていた、iPhone、iPad向けの多機能なタイマーアプリです。仕事時間や休憩時間をカスタマイズできて、完了タスクの履歴や統計を見れるほか、タイマーの残り時間もビジュアルでわかりやすく表示します。さらに、モチベーションを保つためのレーティングシステムも備えています。効果音もカスタマイズできて、携帯がロック状態になってもタイマーのカチカチ音を鳴らせます。
以上がオススメのポモドーロアプリです。シリロ氏のようにトマト型のキッチンタイマーが欲しい人は、Amazonで安いものを購入しましょう。あるいは、シリロ氏のサイトから、トマト型タイマーと書籍のセットが購入できます。書籍はKindle版やePub版もあります。
ポモドーロ・テクニックはどんな人向いている?
ポモドーロ・テクニックは、開発者、デザイナーなど、クリエイティブな職業の人からよく支持されています。
基本的に、他者から評価を受けるプロダクトを作っている人たちです。次回作を執筆中の作家から、大作に取り組んでいるゲームプログラマまで、ポモドーロの助けを借りて仕事を成し遂げている人が大勢います。
そして最後にひとつ。ポモドーロはあくまで生産性システムです。あなたを束縛するルールではありません。
仕事の波に乗っている時にタイマーが鳴ったとしても、必ずしも作業を中断する必要はありません。タイマーを一時停止して、仕事を続けてください。区切りがついてから休憩をとればOKです。ポモドーロの目的は自分をフローやゾーンに導くことです。もちろん、休憩を定期的にとることも目的の1つです。
また、ポモドーロはメソッドのひとつに過ぎません。
あなたには合っていない可能性もあります。仕事を無理やりメソッドに合わせる必要などありません。ポモドーロが自分の役に立つと思えば、使ってください。役に立たないなら、無理に合わせることはありません。
Alan Henry(原文/訳:伊藤貴之)
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