若いころは、世界は自分のもので、限りない可能性があるかのように感じられます。でも実際は、人生の選択には、さまざまなプレッシャーがつきもの。選択肢に迷ったとき、どうやって進むべき道を選んだらいいのでしょうか。

先日、15歳の女の子に、こんな手紙をもらいました。

高校生の私は、いろいろな人から、人生で何をしたいか、どんなキャリアを送りたいのかを聞かれます。でも、先生や親に、今のうちにやりたいことを見つけておけと言われると、とてつもないプレッシャーを感じてしまいます。私は若くて、失敗で人生を無駄にしたくない。自分が何が好きで、何に興味があるかは自覚してます。でも、その興味と関係のある職業について調べても、楽しそうに感じられないのです。理由はわからないのだけれど。

そう、やりたいことを見つけるのはとても大変なことなんです。この子が具体的に何をすべきかは、私にはわかりません。でも、自分の人生を振り返ってみたとき、伝えられることがあると思いました。4人の我が子たちにも、よく話していることです。(私には21歳/17歳/16歳/14歳の4人の子がいます。21歳の長男も、まだ人生に迷っているところです)

先のことはわからない

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例えば医者、弁護士、研究者、歌手になりたいという夢がある若者だって、実際に何が起こるかはわかりません。もし心から何かを確信しているとしたら、それはきっと騙されているのでしょう。人生は、計画通りにはいかないもの。自分の定めた目標通りの人生を送る人もいるけれど、自分がそうなれるかどうかは、誰にもわからないのです。予想もしなかったことが、自分を変え、チャンスを変え、世界を変えてしまう。たとえば、GoogleやAmazon、Twitterでの仕事なんてものは、私が10代のころには存在すらしていませんでした。今こうして書いている、「Zen Habit」のブロガーも同じです。

先のことがわからないなら、いったいどうしたらいいのでしょうか? それは、将来にこだわらないことです。今後どんなことが起ころうとも、今できることに精いっぱい取り組むことが大事。何かを作る、スキルを学ぶ、旅に出る、友達を作る。これらはすべて、人生の役に立つはずなのだから。

不安への対処法を身に付ける

人生でとても大事なスキルの1つが、ある程度の不安を受け入れることです。最高の人生を手に入れるのは難しいかもしれませんが、困難や不安を避けていては、そこにたどり着くことはできません。その場合、無難な人生を送るしかないでしょう。

学習は難しい。モノを作るのは難しい。本を書くのは難しい。結婚は難しい。ウルトラマラソンを完走するのは難しい。でも、これらのすべてが、素晴らしいことなのです。

多少の不安に慣れることができたら、もう怖いものはありません。ビジネスだって始められるでしょう。ビジネスを始めることは難しく、いつだって不安が付きまといます。だから、不安を恐れていては、とても始められることではありません。

では、不安を克服するにはどうしたらいいのでしょうか。それは、不安を伴う難しいことに、敢えて取り組むことです。最初は少しからで構いません。1日数分から始めて、数日たったら1分延ばすという具合でもいいのです。ブログでも瞑想でもいいので、毎日続けてみてください。不安を乗り越えられるようになったら、少しずつ自分への負荷を高めていけばいいのです(もちろん、妥当かつ安全な範囲で)。

不確実性への対処法を身に付ける

不安と同様、不確実性への対処も必要です。たとえば、ビジネスを始めるのは素晴らしいことですが、不確定要素を恐れていては、あきらめるしかありません。行く先々で何が起こるかなんて誰にもわかりません。だから、何が起こるかを知りたければ、素晴らしいプロジェクト、ビジネス、チャンスなどをあきらめる以外に方法がないのです。そこでもし、わからないことをよしとすることができたなら、もっと多くの可能性が広がるはずです。

不安と不確実性に対処できるようになったら、もう何でもできるはず。世界を旅する、節約生活をブログで発信する、本を書く、ビジネスを始める、外国に住んで英語を教える、プログラミングを学んで自分のソフトウェアを作る、ベンチャー企業に就職する、優秀な若手ライターとオンラインマガジンを立ち上げるなど、可能性は無限に広がります。そのどれもが素晴らしいことですが、不安と不確実性を受け入れなければ、始めることはできません。

雑念と先延ばしを克服する

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これまで書いたことも、雑念と先延ばしという普遍的な問題を乗り越えなければ意味がありません。不確実性と不安を受け入れることで、チャンスを得ることはできます。でも、SNSやテレビに時間を取られていては、そのチャンスを活かすことはできないでしょう。

実際、雑念と先延ばしは、不安を乗り越える手段でもあります。だから、不安を受け入れられるようにしておけば、それだけで大きくリードできていることになります。一方、先延ばしに打ち勝つ方法は、練習によって習得できるものです。

自分の心について知る

恐怖が自分を動かしていることに気付いていない人はたくさんいます。自分でも知らないうちに、雑念に負けてしまったり、禁じられていたことをやってしまったことの言い訳をしているのです。自分の頭の中を常に把握することはできないので、精神的習慣を変えることは容易ではありません。

でも、自分の心の動きを把握できれば、これらのことは乗り越えられます。私の場合、その方法は瞑想とブログです。瞑想をすることで、自分の心があちこちに飛び回る様子や、不安から逃げている様子、言い訳をしている様子がわかるようになります。ブログを書くことで、自分が日々していることと、そこから学んだことを振り返る機会になります。これらは自己成長にぴったりのツールなので、すべての若者にお勧めします。

お金を稼いで貯める

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お金そのものはそれほど重要だと思いませんが、お金を稼ぐことは難しいものです。誰かに雇ってもらったり、自分の商品/サービスを買ってもらうには、信用される必要があります。つまり、自分が信用に値する人間である理由を、自覚しなければならないのです。まずは、信用に値する人物になる。そして、人々にものを買ってもらったり雇ってもらうために、そのことを人々に伝える方法を学ばなければなりません。クッキーを売り歩く場合でも、Appleストアでアプリを売る場合でも、スーパーでレジを打つ場合でも、これは必要なことです。

そして、これは練習でどんどんうまくなります。

私は高校生のころ、銀行員として働いたり、フリーランスのスポーツライターをしたりしました。それらは私にとって、とても貴重な経験となっています。稼ぎが増え、非常用資金を貯めることができたら、稼ぎを投資に回して、成長させていくことができるでしょう。

小さいものでもいいので、何かを作り上げる

テレビやゲーム、SNS、ニュースを読むなど、あまり重要でないことに時間を費やしてしまっている人が多くいます。それを1年続けたところで、何も生み出すことができません。でも、毎日スケッチをしたり、ウェブアプリを書いたり、ブログやビデオチャンネルを開設して定期的にアップデートしたり、クッキービジネスを始めたりすれば、1年後には素晴らしい何かを得ることができるはずです。新しいスキルも得られるでしょう。自分の作り上げたものを指さしながら、「これ、俺が作ったんだ」と言える。この感覚は、誰もが味わえるものではありません。

小さいものから始めて、できるだけ毎日それに取り組む。それは、お金の投資とよく似たプロセスです。どちらも、いつかは大きな価値へと成長していくのです。

信頼される人物になり、評判を築く

あまり知らない若者を雇うときの最大の恐怖は、その若者が信頼できるかどうかです。

具体的には、遅刻、嘘、納期遅れ。何年もかけて評判を築いた人物の方がずっと信頼できるので、採用される可能性が高くなります。約束の時間を守ること、すべてのタスクに全力投球すること、誠実であること、ミスを認め、改善すること、納期を守るよう努力すること、そして好感をもたれるような人物であること。

これらを心がけていれば、評判が高まり、いずれ誰かに仕事を紹介してもらえるようになるでしょう。仕事や投資者を探すには、誰かに紹介してもらうのがベストな方法です。

常にチャンスに対応できる準備を

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ここまでのアドバイスを実践していれば、もう怖いものはないでしょう。ほかの人たちよりも、ずっと先を行っているはず。特に、冒頭の手紙をくれたような、ティーンエージャーであればなおさらです。あとは、目を開いていれば、チャンスはやってきます。仕事のチャンス、誰かと何かを作るチャンス、起業のアイデア、ビジネスにつながる新しい知識、自作の脚本を提出するチャンス。

このようなチャンスは、いつやってくるかわかりません。だから、それをいつでもつかめる準備をしておく必要があります。リスクを恐れないことが、若さの特権でもあります。チャンスが来なければ、自分で作るのです。

いろいろ書きましたが、これらのアドバイスの背景にあるのは、「現時点で先のことなんてわからない」というアイデアです。なぜなら、自分がどんな人物になるのか、何ができるようになるのか、何に情熱を持つようになるのか、誰と出会うのか、どんなチャンスが訪れるのか、世界がどうなるのかは、誰にもわからないのですから。でも、1つだけわかることがあります。それは、準備を整えておけば、やりたいことが何でもできるということ。

自分の心を知る、信頼される人物になる、モノを作る、先延ばしを克服する、不安や不確実性を受け入れる。

これらをすべて避けて、安全で退屈な日常を送るのも構いません。でも、今日からそれを始めれば、たくさんのチャンスが訪れるでしょう。どちらを選ぶかは、あなた次第なのです。

A Guide for Young People: What to Do With Your Life|Zen Habits

Leo Babauta(原文/訳:堀込泰三)

Image by alphaspirit (Shutterstock). Photos by Jeff Kubin (Flickr), Steven Depolo (Flickr), Scott Akerman (Flickr), and Nina Helmer (Flickr).