Productivity Blog:まるでその仕事をするために生まれてきたかのように、プロフェッショナルに振る舞い、行動できる人がいます。

とはいえ、そういう人を見ると、ほとんどの人は不安を感じます。知識労働者として働くことは今日、そう簡単なことではありません。「知識労働者」という言葉は、ピーター・ドラッカーが1959年に上梓した著書『変貌する産業社会』で使われた言葉です。この言葉は、コンピューターの前で情報を入手し、それを処理して働く私たちのことを表しています。

知識労働者は、大量の情報を入手し、効率的に処理することが求められます。こうした高いレベルの期待に応えられる人材教育を大学は試みますが、多くの場合は失敗に終わります。マニュアルは存在せず、自らの体験を通して苦労しながら学ぶものです。

"プロフェッショナル"とは、なんだ

情報の効率的な収集、そして処理はひとつのアートとも言えます。このアートを実践する人はプロフェッショナルと呼ばれます。冷静さと落ち着きを保ちながら、締め切りを守る。これこそプロフェッショナルな態度です。

生産的かつ優秀で、無駄のない仕事をできる理由はなんでしょう。生産的ではない社員とプロフェッショナルとを分けるものは知識でしょうか。それとも、顧客や上司、同僚を喜ばせることのできる能力?

今回は、プロフェッショナルとそうでない人を分ける特徴について、探ってみました。

1.プロフェッショナルに共通する5つの思考パターン

2190日間にわたって、2481の企業と4515名の創業者に対して行われた研究結果(2012年に発表)によると、成功者とそうではない人には、認知能力に関して5つの違いがあることが明らかになりました

「認知のゆがみ」と言われる、自然に習慣化されている思考パターンによって、多くの仕事をこなし、組織に大きな価値をもたらすことができるのです。成功者に見られた5つの思考パターンとは以下のようなものです。

自分は特別だという意識

「自分はなにか大きなことを成し遂げる運命にある」という感覚です。こうした意識があると、強い目的意識を保ち、自分の判断を堅く信じ、失敗にも耐えることができます。その揺るぎない決意とビジョンは、周囲に支援者を増やします。傲慢さや過剰な自尊心とは別個のものです。

二分思考

目の前の対象が優れたものか、そうでないか、物事の白黒をはっきりさせる考え方をします。そうすることで、余計なものを除外し、価値があるとみなしたものに集中することができます。グレーな判断はないため、決断するのに疲れたり、自分を失うことがありません。よって、すばらしい結果が残せるようになります。

速すぎる、しかし的確な一般化

的確な結論を速く出す傾向にあります。限られた情報から、普遍的な結論を導くことができます。また、たいていの場合、その結論は正しいものです。多くの時間が節約できるため、前述した2つの思考パターンをさらに強化することがでいます。一瞬で的確な判断を下せるため、業界では「天才」とみなされます。

真っ白なキャンバス思考

真っ白なキャンバスのように思考できる。つまり、固定観念にとらわれないことを指します。誰かが「変化の余地がない不変のものである」とみなしたことでも、「それは簡単に変化しうるものである」と考えます。他人の認識による影響を受けません。他の人の考え方を縛っているものからも解き放たれているので、ゆえに他の人が考えつかなかったようなクリエイティブな解決策を見つけることができます。

シュンペーター主義

ヨーゼフ・シュンペーターは、20世紀初頭に影響力をもった経済学者です。シュンペーターが提唱した「クリエイティブな破壊」という考えは、経済成長のためには、その前にある経済の仕組みを破壊しなければならないというものです。

成功者は過去に成し遂げた仕事を壊すことを、当然で必要な仕事であると考えられます。恐れを感じずに仕事を壊す、そしてそれに伴う痛みにも耐えることができ、それによって、変化と成長を生み出せるのです。

2.すべてを管理できているという意識

自分が管理しているという意識は、不安やストレスの無い状態から生まれます。ストレスは信頼があれば生じません。信頼とは、自分自身の能力に対する信頼、担当の仕事をきちんとやってくれるだろうという同僚に対する信頼、GTDの提唱者であるデヴィッド・アレンの言葉を借りれば、あなたのシステムに対する信頼のことです。

物事がきちんと処理されるだろうという自信があり、すべての情報を把握する手段をもち、自分がすべてを管理していると感じられれば、ストレスを覚えることはありません。そうすれば、職場で常に冷静さを保つことができます。それによって、自分の能力も急速に高めることができ、周囲に一目置かれる存在となれるのです。

3.仕事のルーティンに忠実であること

まるで強迫性障害であるかのように、プロフェッショナルは、仕事のルーティンに忠実です。何年もかけて築いた習慣であり、それを忠実に実践します。そうしたルーティンの中には、仕事をより良く、早く、集中してこなすことを可能にするものもあります。また、周囲の人々とのコミュニケーションという点で、より良い効果を発揮するものもあります。たとえば、以下のようなルーティンです。

  • 仕事に関連する情報を必要以上に見て注意散漫にならないように、メールをチェックする回数を1日2回に制限する
  • ミーティングをできるだけ避ける。時間をあまりかけなくて済むコミュニケーション方法を模索する
  • 入ってくる全情報をまとめて、それを先に書いたような信頼をベースにした方法で処理する
  • 1つの仕事に集中し、注意がそがれないようにする
  • 失敗の原因を理解する。自分の失敗をみとめ、同じ失敗をしないように改善するという習慣は、身につけるのに時間はかかりますが重要です。実際的なメリット以上に、その効果は大きなものです。たとえば、そうした態度を身につけると、より人間としての魅力も増します
  • 信念もまた習慣であり、キャリアにおいて重要なものです。固い信念があれば、物事の困難さが増したときでも、決意は揺らぎません。また、周囲の人が不満をこぼしたり、事業から離れたときでも、大きなビジョンを持ち続けることができます。また、あなたの足を引っ張るような職場のちょっとした対立や嫌みも無視することができます
  • 他の人の好意に感謝し、それを表すようにすると、周囲の人もあなたの行動に対して感謝を示すようになります

あなたが身につける習慣次第で、よりプロフェッショナルなイメージを築くことができます。それによって、仕事の業績も上がり、同時に同僚や部下からの信頼も保ちながら、プロフェッショナルとしてのイメージを長期的に保つことができるようになります。

プロフェッショナルな態度とは、生まれつき人に備わっているものではなく、あとから作られるものです。適切な行動パターンを身につけ、習慣をつくることで、よりプロフェッショナルな存在になれるのです。

Why some people remain cool at work while others fall apart? I Productivity Blog

Haim Pekel(訳:佐藤ゆき)

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