交渉の中で議論がヒートアップしたときには、その相手と目を合わせるのさえもほとんど不可能と思えるほどに、相手との距離を感じてしまうことがあります。しかし最近の研究で、交渉の際に敵対する人と一緒に食事をすると、コミュニケーションが少しスムーズになるということが明らかになりました。スタンフォード大学の研究者は、食べ物が運ばれてくる中で参加者に様々な交渉をしてもらうという実験を行いました。

「私たちは、競争的あるいは協力的な状況下で交渉を行うと参加者に説明し、その次に、みんなで分け合う形式で出された食事、または個別に出された食事を食べながら交渉してもらいました。

実験の最後には、この交流に対する彼らの認識を計測し、2つの集団の間に形成された結びつきの強さを調べることにより、この交渉の成果を評価しました。ある調査ではりんごとカラメルソースを、また別の調査ではチップとサルサを用いました。

この実験の結果、私たちが見出したのは、競争的な状況下で交渉が行われている場合、食べ物を分け合うことにより(これはただ食べるということではなく、みんなで分け合うことを意味します)、著しく成果を上げることができたということです。一方、協力的な状況下で交渉している人々においては、成果は少なくなりました」

その研究によると、食事を共にしながら行う交渉がより高い成果を上げたのは、食事という社会的儀式と、交渉の競争的な性質が並列して起こったためだと考えられるそうです。一緒に食事をすることにより、参加者はお互いについて更に注意を払うようになり、いつもなら見過ごしているような、価値を創造するような機会に気づくことができたと言えます。

興味深いのは、この方法は競争的な交渉、つまり自分自身にとって何が最適かについてのみに関心があるようなシナリオの時に最も有効であるということです。

次回、交渉で誰かと向き合う際には、近所のレストランを考慮に入れて前菜を分け合うようにしましょう。

Researchers: Does Breaking Bread Help Make a Negotiation a Success?|Stanford Business

Patrick Allan(原文/訳:Conyac

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