ウェブ用の文章を書く、というスキルは簡単に学習することはできますが、極めることはとても困難です。最も難しいのが素晴らしい「リード」を作り上げることです。書き手と読者を結ぶ架け橋になるのがこのリードという存在です。このリードの存在によって、読者であるあなたはこの記事を読んでいるわけです。
リードとはなんぞや?
リードというのは「イントロ」と呼ばれる場合もあり、この文章の冒頭にある言葉の集合体のことを指します。それはイントロダクションであり、切り込み隊長であり、読者をより深い世界へと誘って行く招待状でもあります。リードは基本的に全てのメディアに存在していて、通常はリードがないことは罪な行為であると考えられています。
リードはその後続の文章のエッセンスを伝える、という重要な役割を担っています。従来のジャーナリズムの発想であれば、誰が、何を、いつ、なぜ、どのように、というのを伝える必要がある、ということになるのですが、ウェブ用に文章を書く場合はそれとは少し違うアプローチが必要となってきます。
下記のTipsには良質なリードを作成するために必要不可欠なエッセンスがふんだんに含まれています。しかしながら残念なことに、人生においての多くのことと同じように、数をこなしていくことでしか上達は望めません。この記事を出発地点として考え、数年後の未来に自然な発想で良質なリードが書けるようになるまでのガイドとして使っていただければ幸いです。
#1 短いことはいいことだ
人の注意力をキープするのはどんな状況であれ難しいことですが、ウェブサーフィンしている時の人間の注意力というのはなかなか他には例を見ない短さであると言えます。
感心を引く記事、そして派手な特集記事、見る価値が十分にあると考えられるウェブサイトが次から次へと眼球に映り込んできます。そんな中で長いリードを読む人がこの世に果たしているでしょうか? その長いリードから記事にたどり着き、全文を読み通してくれる人がどのくらいいるでしょうか? 結論だけを簡単に言うと、まず誰も読まないでしょう。
なので、リードは1段落から2段落程度にまとめておくことがとても重要です。平均的な読者はこの長さのリードには喜んで目を通してくれます。腕力の強いタイトルとセットで攻めれば、読者がその先を読みたいかどうかを判断するために十分な情報を提供することができるでしょう。
#2 読者の気を反らすな
1段落、または2段落というスペースは短く、人を長文記事へと誘うためには無駄にできるスペースはありません。冒頭で読者の心を掴む必要があります。その目的を達成するために、多くのウェブサイトは「驚きへの曖昧な約束」を提供するという戦略を使います。ですが、これらの安い戦術は読者と長期間に渡る関係性を築いていこうとする場合にはかえって逆効果です。
読者に世界を提供するのではなく、続きを読みたくなるような簡潔なアピールを提供しましょう。読者とは曖昧な約束ではなく、意味のある約束をしましょう。この記事を読むことによって読者が何を得ることができるのか、その要約を提供しましょう。どんなことを学び、どんな風に楽しむことができるのかを伝えましょう。彼らがうさぎの巣に頭から入り込んでくれるように、美味しそうなエサを用意するのです。
#3 形式にとらわれず情報を提供しよう
従来のニュースルームと比較してウェブは自由な環境だと言えます。ビッグスクープを手に入れた新聞記者はストーリーの全貌をオープニングの段落で開示しなくてはならないのに対して、ウェブで記事を書く場合、このルールに必ずしも従う必要はありません。というよりそもそもウェブで記事を書く場合にはルールというものは存在しません。そこにはいくつかの忠告があるだけです。
ルールがない、ということは関連ある情報を全て読者候補に向けて発信したい、という欲望を我慢することもできる、ということです。もちろん、記事のエッセンスの部分を伝える必要はありますが、それに付随する事実や数値などは後で実際の記事の中で開示されればよいわけです。
#4 フックを賢く使え
リードの後に続く実際の記事に書かれている内容はネットに投稿し、それを読んだ誰かにとって有益であるとあなたは考えている、ということを前提としています。ですが、優れたリードを書くことによって、より多くの人に読んでもらえることになります。どんなに優れた記事であろうとも、読んでもらえないことには全く意味がないのです。
記事の冒頭のフックには文字通り様々な形状、そして大きさのものがあります。ですが、ひとつの共通点を持っています。それは人にもっと読みたいと思わせるために存在している、というその存在意義です。文章の途中で終わってしまい、まだ先があることを示唆する方法、記事を読み進んで行かない限りは関連性がわからない、文脈的に成立しない引用を冒頭に持ってくる方法、記事の続きで明らかにされる驚くべき新発見を示唆する方法、などその例も様々です。
#5 リード文は最後に書け
最も重要なことは、記事を書き終わるまでリード文は書かない、ということです。おかしな忠告のように思えるかも知れませんが、これが自作のリードでできることは全て成し遂げたかどうかを知ることができる唯一の方法なのです。
記事やブログを書き始めた時に既にどんなリードを書くのか、というのは頭の中にある程度アイデアとしてあるかと思います。ですが、画面や紙にまだ書くべきではありません。記事が完成してからリード文に取りかかってください。記事が完成して初めて、記事のエッセンスがどこなのかを知ることができ、どんなトーン、スタイル、または構造でリードを書くべきかを判断するに必要な材料が揃います。
結論
この記事はリードについての記事なので、結論というセクションを設けて完結させる、という行為は不要なのかも知れません。ここまで読んでくれた方はリードの書き方についてさっきよりも多くの知識を持ち、優れたリード文を生み出すのに必要な武器をいくつか手に入れたことかと思います。それではここで記事が終了となりますので、この記事の忠告に従って、この記事のリード文をこれから書いてみようかと思います。いかがでしたでしょうか?
How To Write A Great Lede When Writing For The Web|MakeUseOf
Dave Parrack (訳:まいるす・ゑびす)
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