自分に磨きをかけるためには、毎週少しでも時間を費やす必要があります。今回は、自分に磨きをかけるための5つの時間の使い方をご紹介します。
実際に仕事をくれる顧客も大切ですが、1日の終わりに、自分にもっと意識を向ける必要があります。ビジネス界の巨匠とも言える投資家のウォーレン・バフェット氏は、自伝『The Snowball』の中で、パートナーのチャーリー・ミュンガー氏を例にあげて次のように言っています。
チャーリーは、まだ弁護士として駆け出しの頃、多分1時間に20ドルくらい稼いでいた。彼は「自分にとって一番大事なクライアントは誰だろう?」と自問自答した。そして、そのクライアントは自分自身だと気付いた。それから、彼は毎日1時間、自分に時間を売ることに決めた。朝1時間早く起きて、建設のプロジェクトや不動産取引をした。このように、誰もが1日1時間だけでも自分のために使うべきだ。
たくさんのリソースを、自分のプラットフォームや製品制作のために割り当てている人がいます。代理店業の人ならこの原則は分かるでしょう。自社の評判を上げるために、有名なブランドとの仕事は安くても(時に無償でも)やります。
小規模な予算しかなかったとしても、チャーリー・ミュンガー氏が実践していた、1日1時間を自分に使うことはできます。フリーランスであれば、自分を高めるために何ができるでしょうか?
1. 企業の求人をチェックする
起業家でありCirca社のCEOでもあるMatt Galligan氏と人脈について話をした時、コンサルタントの仕事の探し方について話しました。Galligan氏は、(コンサルタントに限らず)フリーランスなら専門分野の求人を見るべきと言います。
ほとんどの場合、企業が求人を募集するときは、例えば開発者やデザイナー、マーケターが必要だというような、何らかの必要性があってそうしている訳です。そのような時期に、フリーランスとして会社に接触するのは、とても大きなチャンスになります。
その際、できるだけ率直に「御社や御社のチームにとって、正社員としてフィットする人材にはなれないかもしれない」と断りを入れた上で、今困っていることがあればすぐに力になれることを強調してアピールしましょう。こうすることで、その会社の負担を減らせるだけでなく、会社が求人にかける時間を節約することにもなります。
これが最初のきっかけになります。その会社と一緒に仕事をするのが単発ベースだったとしても、その会社やチームが抱える問題を、会社の内側から見て把握することができます。あなたの能力がその会社の正社員としては欠けていたとしても、会社に貢献する方法を模索できるのです。
2. 将来一緒に仕事をしたいクライアントをリサーチして連絡を取る
フリーランスの大きなメリットは、一緒に仕事をする相手を選ぶことができるということです。このメリットを大いに活かしましょう。『週4時間だけ働く』で有名なティム・フェリスは、「人生は、嫌いな人間と一緒に仕事をするには短すぎるし、嫌いな人間と一緒に仕事をするほど長くない」と書いていました。
一緒に仕事がしたいと思う人にメールを出してみましょう。何らかのつながりがある人や会社の場合はLinkedInを使えば、突然の連絡でも温かく受け入れてくれる可能性が高いです。本当に優秀な人であれば、相手の注意を引くために、自分の実績をそのメールに添付しましょう。マーケターの場合は、連絡相手やその会社のためにスライド資料を作り、そのスライドをSlideshareで共有したり、画像をFacebookに投稿します。ライターの場合は、その相手や会社の宣伝となるような文章やコメントを投稿します(Ramit Sethiのようなテンプレートを使ってもいいでしょう)。これはリサーチ作業でもあります。まず相手の仕事を調べて、最近困っていることを分析することになるからです。その作業の中で、あなたができそうなことがあるかどうかも見えてきます。
この作業に毎週数時間を費やすだけで、週に1社は見込みのあるクライアントと連絡が取れるようになっていきます。このような相手への手土産を作る時間や能力がない場合は、少なくとも週に5人は問題を抱えている人に会い、その問題をあなたならどのように解決できるかを伝えましょう。3. 他のフリーランスから学ぶ
将来一緒に仕事をしたいと思っているクライアントのリサーチに時間をかけるのも重要ですが、一般教養を身につけるのもまた同じくらい大事なことです。独立してビジネスをやっていると、とりとめもない外部からの大量の情報の中から、新しいアイデアを見つけるのも重要になってきます。
フリーランスの場合は、ほとんどいつでも情報に触れることができます。インタビューを見たり、ポッドキャストを聞いたりすることもできます。このような時間に情報を入手するのがポイントです。このような贅沢に思える時間も、フリーランスは自分のことについて考えなければなりません。
今自分が直面しているどんな問題も、誰かが過去に直面した問題とかなり似ているかもしれません。どこから取り組めばいいのかわからない時は、他の人や会社が厳しい条件や限られたリソースの元で作業した前例を見てみましょう。
4. 自分というブランドに磨きをかける
フリーランスにとって評判はかなり重要です。自分の方に流れを引き寄せたり、今の流れに乗っていったり、人脈を作るにも大事です。Carl Lange氏はこのように言っています。
素晴らしいチャンスは、自分のやったことを人に知らせている人に訪れます。起業家精神のあふれる場所にどれだけ出入りできるかということです。何か面白いことをやったら、みんなにそれを知らせるようにしましょう。そうすると、次に誰かがそれに関連する面白いことをしたいなと思った時に、最初にあなたのことを思い出すでしょう。
大多数のフリーランスが、自分が相手のために何ができるかを口で伝えます。しかし、自分のできることを見せることができれば、あなたの言葉はより強力なものになります。例えば、私は数カ月前に「Medium」というプラットフォームを実験的にスタートしました。自分がやりたかったプラットフォームはこういうものですと見せることによって、クライアントにMediumへ時間とリソースを投資してもらえるよう、すぐに訴えかけることができました。
フリーランスでデザイナーをしている場合、最近リリースされたアプリをデザインし直すこともできるでしょう。もしくは、会社全体のブランドを一新するようなアイデアを、自分のフリーランスの仕事の中から取り出して見せてもいいです。
誰かの問題を解決するために、ブログやebookを書くのに時間をかけてもいいでしょう。頭の中で考えていること整理することになるだけでなく、収入源を広げ多様性を持たせることにもつながります。1つのサービスに頼らなくて済むようにもなります。
5. 自分のインフラを整える
親友とランチをしている時に、テクノロジーとインフラの話になりました。私は、この話を個人レベルの話に落としてみるとどうなるかを考えてました。特に、1人の人間が仕事をこなすために使う基本的なシステムについてです。私の場合は、午後6時までFacebookはチェックしませんし、頭をリフレッシュするのに散歩に出かけるようにしています。
自分のインフラを整備する時に大事なのは、新しくて便利なシステムや、ネットで見つけたソリューションを試しに使ってみることです。請求書を送るのにもっと良さそうな方法を見つけたら、それを試してみる時間を取りましょう。
その時間に、さらにもっと仕事を良く、より速く終わらせる方法についても考え、半年〜1年前にやっていたことと比べてどちらがいいかを考えます。目標達成に近づいてきましたか? 夢のクライアントと仕事をするのに少しでも近づきましたか? 近づいていないのであれば、その理由はなぜでしょう?
質問の答えを考えているうちに気付いたことがあるなら、新しい行動を起こすことも検討してください。例えば、時間が無いのが障壁になっているなら、バーチャルアシスタントを雇ったほうがいいか、考えてみましょう。
ここで覚えておいて欲しいのは、これは1日1時間だけのプロジェクトです。新しい生産性を上げるシステムを試してみるのに時間が足りないからと言って、半日使ってはいけません。
最後に、自分にとって自分が一番大事なクライアントだということもお忘れなく。色々な支払いがあるのはわかりますが、頼まれ仕事ばかりをやらないように。1日1時間は時間を空けて、積極的に求人を見たり、誰かの問題を解決したり、将来仕事をしてみたい人や会社に連絡をしたり、他の人のアイデアから学んだりして、自分ブランドに磨きをかけて、インフラを整えましょう。
Herbert Lui(原文/訳:的野裕子)
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