長時間、飛行機に乗っているのが大好きという人は、あまりいないでしょう。今回紹介するのは長距離フライト中も正気を保つための方法です。
一瞬で終わったように感じるフライトもあれば、永遠に続くのではないかと感じるフライトもあります。一方で、フライトごとにその快適さは異なりますし、長距離フライトがより楽になる方法も存在します。
私自身、長距離フライトの経験がかなり多くあります。中でも最悪だったケースは、香港からイスタンブールまで12時間、さらにイスタンブールからロサンゼルスまで13時間も飛んだときのことです。太平洋を越える一般的なルートではなく、逆方向のフライトを利用したのです。乗り継ぎ時間は8時間でした(安かったし、休日のフライトだったのです!)。
あらかじめお伝えしますと、以下に挙げるアドバイスは、エコノミークラスの国際線を利用する人々を対象にしたものです。ビジネスクラスを使われる方は、ワイングラスを片手に、他の記事をご覧いただきますよう。
座席の位置は「通路側」を死守する
どのフライトについても共通して大切なのが、座席の場所です。大陸を越えるフライト、海を越えるフライトであろうと、絶対に通路側の席にすべきです。通路側がどれだけ嫌であっても、12時間のフライトのあいだ、トイレに行くのを誰も邪魔することのない環境に勝るものはありません。
もし3列構成のフライトを使う場合には、中央の列で通路側の席を選ぶといいでしょう。この席を選ぶべき理由はいくつかあります。
まず、席を離れやすい、トイレに行きやすいのと同時に、中央の席に座っている人も席を離れる際に、右側/左側という2つの選択肢があります。それによって、中央の人がどうしても席を離れたいときに、自分の上を乗り越えていく可能性が半分以下になります。これは、両端の列の通路側席にはない利点です。
運動をして血流を促す
永遠に続くかのように感じられるフライト中に、血流をよく保つことは非常に重要です。私自身の経験ではありませんが、ブログ「AllThingsD」のKara Swisherさんは、2~3年前の香港へ向かうフライトの中で、一過性脳虚血発作に見舞われました。脳に血液が一時的に回らなくなることによって起こる症状です。
航空会社によっては、安全に関するビデオの中で、フライト中にできる簡単な運動について紹介しているところもあります。私はいつも、トイレ休憩のついでに足のストレッチをしたり、一番後ろの機内食などが置いてある場所まで歩いたり、通路を数分行ったりきたりします。
搭乗前には軽めで健康的な食事をとる
長時間フライトに乗る当日の搭乗前は、健康的な食事を軽くとる程度にしています。どっしり具の詰まった重いブリトーが胃の中に残った状態で、機内に閉じ込められることほど最悪なことはありません。それに加えて、長時間動かない状態が加わると、余計に気持ち悪くなる可能性が高まります。
人によっては、時差ぼけを避けるために機内食は食べない方がいいと言う人もいますが、それができるかは人によるでしょう(私の場合はおいしそうな匂いを嗅ぐと、食欲が一気に高まります。料理番組を見るだけでも、お腹が空いてくるほどです)。適量を提供する航空会社が多いですので、私はたいてい出された量だけ食べるようにしています。ですが、機内食だけではお腹が満たされない場合に備えて、軽い食べ物を準備しておくのもいいアイデアでしょう。
機内食は、トイレタイムにも関わってくる
機内食サービスの時間は、特に通路側の席が便利になるときです。機内食が乗客全員に配られ、大半の人が機内食を食べ終えようとしているとき、トイレが混みだす時間が近づいています。乗客の人数が多い場合、トイレに行けるまでかなりの時間を要する可能性が高くなります。つまり、不快な状態で待たなければならない時間が延びるのです。
ですが、実はトイレに行くべき最適なタイミングというのものが存在します。短い時間ですが、フライトアテンダントが機内食を配り終えたあと、通路が塞がっていない状態になります。その後、フライトアテンダントが食べ終えたトレーを回収するまでの時間が、まさに絶好のタイミングなのです。
機内食のトレーを片手で支えながら通路に出て、再度テーブルの上にトレーを置くという一連の動作は面倒ではあるものの、その後にトイレを待つ長蛇の列に加わるよりはずっとましなはずです。それだけでなく、多くの人がトイレを使用する前なので、比較的清潔なトイレを利用できるという利点もあります。この利点は、特に最初の機内食サービスについて当てはまります。
アルコールは控え、なんとかして良く眠る
国際線のフライトでは多くの場合、寝付きを良くするために無料のお酒を飲む人は多くいます。ですが、アルコールは憂鬱な気分を高める作用をもつだけでなく、体内の水分を奪う成分も入っているので、機内で飲むことを私は勧めません。さらに、こうしたアルコールの作用は気圧の高い機内ではさらに高まります。実際、シンガポールからオーストラリアまでの9時間のフライトの途中で、通路のど真ん中でばったり倒れてしまった人を見たこともあります。
フライト用グッズに関していえば、安価なアイマスクや耳栓は抜群の効果を発揮します。睡眠の質が向上するだけでなく、光に触れる量を調整することで、体内リズムを調整することができます。一方で、フライト用の枕はそれほど効果がないと思います。機内に備わっている枕だけでも十分です。かつ、機内に持ち込む荷物を1つ減らすことができますし。
睡眠薬は使いよう
実際に睡眠をとる、というのはなかなか難しいことでもあります。完全な睡眠不足の状態でも大丈夫という人もいますが、私はそこまで言い切れません。特に、目的地に着いた直後から何日も仕事をしなければならない場合には。一方、フライト前日の睡眠時間を何時間か削るのは効果的です(直前の荷造りは最高です!)。とはいえ、目的地に着いたら即座に現地の時間に慣れなければとプレッシャーを感じる必要もありません。
頻繁にフライトを利用する人の中には、メラトニンを摂取することが時差ぼけ解消のもっとも自然な治療法だという人もいます。ですが、それは他の薬と同様に、人によって効果が異なります。私の場合、あまり効果がなかったのですが、メラトニンの効果が絶大だと言う人もいます。自分自身、効果が得られるのであれば、積極的にメラトニンを摂取したいと思うのでしょうが、私にはむしろ普通に薬局で買える睡眠導入剤の方が合っているようです(※睡眠薬については、各国によって入手方法、処方のされ方が異なります。詳しくは専門医にご相談ください)。
各種睡眠薬の中では、Ambien(アンビエン。ゾルピデムまたはマイスリーとも)がもっとも人気のある種類かもしれませんが、私自身はUnisom(ユニソムまたはドキシラミン)がもっとも良い効果を得られました。推奨量の半分の量だけで、光の速さで眠ることができました。フライト中は、一錠の4分の1だけ摂ることをおすすめします。個人的には、その睡眠薬の効果を事前に試すことなく、初めてフライト中に使ってみることに抵抗があります。
残念ながら、機内でまったく眠ることのできないという人もわずかながら存在します。私もたまに、まったく眠れないことがあるので、それがどれだけつらいことかはよく分かります。完全な静寂の中で、目の前のスクリーンに映し出される現在のフライト地点をただ見つめるのは拷問のようなつらさです。
乗り継ぐ場合は、長時間のフライトを先にもってくる
フライトは予約の時点から始まります。どうしても乗り継ぎが必要であれば、長時間のフライトが先になるように、予約を試みてください。3~5時間のフライトのあとに、さらに12時間のフライトに乗ることほど、ひどく体力を消耗するものはありません。もちろん、これは住んでいる場所によって、難しい場合もあるでしょう。大都市に住んでいる人ほど、より多くの選択肢に恵まれているはずです。
選択が可能であれば、長時間のフライトを先に持ってくるべきです。最初の長時間フライトに乗る段階ではエネルギーにあふれている状態であり、乗り継ぎをする頃にはクタクタになっているはずです。すると、次のフライトでは、ぐっすり眠ることができます。私も後半のフライトではまったく意識のない状態で眠りに落ちていたことがよくあります。
時差ぼけは到着時間で調整する
そのほか、乗り継ぎの場所とコスト以外の点で、私が重視する主な点は到着時間です。時差ぼけと戦う際に気をつけておきたい点は、夜遅い時間に就寝する方が、朝早く起きるよりもずっと簡単だということです。この法則に従えば、夕方か夜に目的地に到着するフライトの方が好ましいことになります。午前中に到着した場合、さらに起きていなければならない時間が延びます(この場合に重要なのは、到着してから就寝するまで、活動し続けることです。一度休んでしまったら、終わりです)。
フライト中、いつ眠るべきかという点ですが、私は機内に乗ると、すぐに目的地の時間にスマホの設定を変えるようにします。フライト中ずっと眠りたい気持ちに駆られることもありますが、全時間眠ってしまうと、体内時計が狂ってしまう可能性があります。
航空会社はフライト中、照明をうまい具合に調整してくれます。たとえば、休息を取るべき時間帯には照明を暗くしてくれますし、そうでないときには照明を明るくします。重要なのは、そのリズムに身体を完全に合わせられなくてもあきらめず、眠れるときに眠ることです。起きたり、寝たりの繰り返しになったとしても、ひどい時差ぼけにならずにすみます。
長時間フライトを使う場合、6~12時間の時差が生じるケースが多いはず(南北に移動しない限り)。フライト時間の半分または、4分の3の時間を眠れれば、12時間の時差に対応するには十分でしょう。むしろ、6時間の時差の方が順応するのが難しいと感じます。欧州から米国東海岸へのフライトが、これに概要します。
まとめ
上に挙げた方法は、人によって効果がある場合とそうでない場合があるでしょう。いずれにしても、長距離のフライトに慣れるには、時間と練習が必要です。とはいえ、上の方法を実行してみると、フライトのストレスが大きく減るかもしれません。最後に、覚えておくべきもっとも大事なことは、ありがたいことに、長時間フライトには必ず終わりがあるということです。
How To Survive a Long-Haul Flight With Finesse | Map Happy
Erica Ho(原文/訳:佐藤ゆき)