すっかり慣れきってしまった感および頼り切ってしまっている感はふんだんにありますが、よくよく考えてみるとスマートフォンやGPSユニットというのは一般的に普及してからそんなに歴史が長くないアイテムだったりします。頼り切っているだけに、ネットがつながらなかったり、バッテリーがなかったり、ちゃんとした道路がないところで迷ってしまったりした場合の焦燥感は半端ないものがあります。
そんな緊急事態に役立ってくれる正しい方向の見つけ出し方を今回はご紹介してみたいと思います。
どこでも使えるナビゲーショントリック
道に迷いやすいところと言えば、やはり森の中や砂漠などが代表的かと思います。道路や標識のない世界では全てが同じに見えてしまうものです。ですが、幸運なことに自分の進みたい方向を教えてくれる手がかりというものはそこここにあるものです。
太陽から方角を知る方法
サミュエル・L・ジャクソンの目の前でパソコンを再起動させたことがある方であれば、太陽を頼る、というのは最初の手段であるべきだということを知っているかと思います。太陽が出ている時に東西を結ぶ線を見つけ出すことは比較的簡単ですが、この線は季節によって変動し、世界のどこにいるかによっても異なってきます。
日の出・日の入りも緯度および時期によって変わってきます。緯度が大きければ大きいほど、そして夏至冬至に近ければ近いほど、日の出、日の入りはより東へ、より西へと進んで行きます。極端な例を上げると6月の北極圏では東の極北から日が昇り、西の極北に沈むのですが、これらの点は重なり合っているので、実際には太陽は決して沈むことはありません。
3月または9月に日が昇る方向へ向かって歩き出し、日暮れの時間帯に日が沈む方向へ向かって歩くと、行きは東、帰りは西、と最終的にはほぼ歩き始めた地点へ戻れるはずです。真夏または真冬に同じことをすると、開始地点に戻ることはできません。真冬に朝日に向かって歩き始めた場合、帰りは左肩越しに日が沈むのを見る状態で戻れば同じところへ戻れるはずです。この場合、南東に向かって歩き、北西に戻ってきた、ということになります。
自分の地域で太陽が移動する線が明確になったら、1年のうちのいつの時期なのかを合わせて考えることによって自分が歩いているのがどの方角なのかを知ることができます。
夜空の星から方角を知る方法
昼間には太陽がありますが、夜には星があります。星座に詳しい方であれば、釈迦に説法なガイドかと思いますが、星座のいろはもわからない方でも概ね常に見えている主要な光をいくつか手がかりにして方角を調べることができます。
ランドマークを記憶し、当てもなく歩かないこと
道に迷ってしまった場合、どこにいるのかがわかるまで動かないでいることが得策です。明確な当てがない状態で移動すれば移動するほど、文明から遠ざかってしまう可能性があるからです。後で参考になりそうな覚えやすいランドマークを認識しておきましょう。木に切れ込みを入れたり、マークを付けたりするのは通常は奨励された行為ではなく、キャンプ場などでは罰則の対象ともなり得ますが、布の切れ端を木に結び付けておくなどしておけば自分がどこで方向転換をしたのか、またはあなたを探しにきた人たちに対する目印にもなり得ます。
町の中で自分の現在地を知る方法
ここまで紹介してきた方法は全て空が見える状態であることが前提でした。ですが、森の中で迷う可能性よりも、構造が複雑で名前に一貫性のない(例えばアトランタなどの)町で現在地がわからなくなる可能性の方が実際にはずっと高いはずです。幸いなことに、町中で使えるトリックもいくつかあるのです。
シティーストリートをナビゲート
市街地の通りのレイアウトには大きく分けて「グリッド型」と「オーガニック型」という2つの種類があります。
グリッド型は例えばマンハッタンのように比較的簡単にナビゲートできるようになっていて、全ての通りは2方向のいずれかに向かっています。
オーガニック型の町は長期的構造計画ではなく必要に応じて町が大きくなっていったという行き当たりばったりな町の造りとなっています。オーガニック型の場合、車で南に向かっていると思っていたのに、軽く右に入ってしばらく行くと北上していた、ということがままあります。この場合、他の方法で方角を確かめる必要があります。
どんな場所であれ、自分がどこにいるのかはランドマークを意識的に見ておくなどをし、自分の周りに何があるのかを認識することによってかなりの確率で把握しておくことができます。ひとまず我慢して自分がどこへ向かおうとしているのかを突き止め、自分がどこにいるのかを理解してから移動を始めてください。迷ってしまった時の対策として、自分の町の道を覚えたいのであれば、GPSをわざとオフにしておく、というのも1つの賢い方法です。
Eric Ravenscraft (原文/訳:まいるす・ゑびす)
Photo by gr33n3gg, W. Tipton, and Garry Knight.