何か楽器が弾けるようになりたい、またはもっと上手になりたいと思っている方は多いようですが、そのためには地道な努力が必要とされるわけです。
でも、時間がなかなか取れないと悩んでいる方におすすめしたいのが、音楽家 Dick Hensold が提案する「短時間の練習でも上達できる!」とウワサの戦略的な練習方法です。
このメソッドの核となっているのが彼が"Proper Cultivation"と呼ぶ、身に付けたテクニックを「正しく洗練させていく」方法です。
「正しく洗練させていく」とはどういうことでしょうか? 簡単に言うと、正確に、安定した状態で繰り返し行い、完璧なテクニックを保持していくことです。
詳しく説明し始めると...それだけで一本の記事となってしまうのですが、あるテクニック、または楽曲の演奏速度を速める練習を行う場合、その短い部分をゆっくりと練習することです。その際、曲が認識できる程度のスピードで演奏することを心がけてください。と同時に、下記の項目に対して細心の注意を払いましょう。
- テクニックが常に完璧であること
- 正確さ
- パフォーマンスの一貫性を保つ
(これら3つの定義は下記に)
いくつかの音符程度の短さから8小節ほどの長さを選択して演奏することにより、自分の技術向上の進捗具合を詳細に監視することができます。
Hensold が言う「完璧なテクニック」とは楽器を演奏する場合の技術的な方法という意味でのテクニックのことです。例えば、「楽器を持った状態で最小限の力で動き、体をニュートラルなポジションにキープしている」などです。
「正確さ」というのは他人に聞いてもらいたい状態で音楽を奏でることができているかどうか、ということです。特にテンポに気を付けましょう。そしてもちろん音階が正しいことも重要です。
「一貫性」とは上記の1と2の両方に注意を払いつつも、可能な限りミスを減らした状態で演奏ができる、ということを指します。Hensold は練習する際に最も大切なのはこの3つのポイントであると語っています。
しかし、この練習方法によってすぐに奇跡が起こるとは思わないでください。上達という現象は実は練習中ではなく練習と練習の間の時間、つまりあなたが休んでいる時にこっそりと訪れるからです。
短いフレーズなどの部分練習を上記のポイントに集中しながら繰り返し行います。スピードアップしないように気を付けて、(もし必要であれば)メトロノームを使ってテンポをキープしてみてください。きちんと集中した状態で行えば20回程度、時間にして数分程度の練習で成果が現れるはずです。
でも、上記のポイントにしっかりと集中できていないとそれほどの成果は望めません(ひとつひとつに焦点を絞ってやるのではなく、同時にやることによって効率化を図るわけなので)。
これを数日に一度繰り返します。そうすると数回のセッションを重ねることで、進捗が感じられるようになるはずです。上達というご褒美は練習中ではなく、練習と練習の間にこっそりとやってくる、と信じることが重要です。この長所としては、テクニックの習得が自然と自分の速度で加速していく、ということです。
逆に短所としては、締め切りなどがある場合、早い時期から準備を始めない限り、上達が見えてくるまでに時間がかかる、ということです。上達へのショートカットを求めることによって、逆に練習の効率は下がり、演奏の質も下がってしまいます。
下記リンク先の記事(英文)では逆に演奏スピードをアップする方法や子供と大人の練習方法の違い、先生がいない状態で演奏技術を身につけるための条件などについても書かれているので、興味のある方は読んでみてください。
How to Play Music Faster: Ideal Practice Methods for Adult Musicians |Dick Hensold
画像 by gagilas.
Melanie Pinola (原文/訳:まいるす・ゑびす)