いよいよSpotifyの日本上陸が間近になってきましたね。こんばんは、編集委員の早川大地です。筆者も一音楽ファンとして、一音楽家として非常に楽しみなサービスです。筆者も以前、Spotifyの有料版を使っていたことがあって、サブスクリプションの魅力と便利さに取り付かれてしまったため、即入会してしまうでしょう...。

ただ、サービス開始が非常に楽しみでもあるは反面、これによって新たなアーティストの収益構造は生まれるものかしら、と心配するところも有るのです。

ヘビーなリスナーの場合

現在アーティストにSpotifyから支払われるお金は、一回0.006~0.0084ドル程度だそうです。つまり約0.6円~0.8円。この値段は妥当なのでしょうか? 正直ピンときません。

たとえば、CDを買ったとして。3000円のCD1枚に仮に10曲として、1曲300円。それをいったい何回ずつ聞いたでしょうか。多分、100回以上聞いたのもあるし、1回ないし、一度も聞かなかった物すら有ると思います。ただ、それらを平均して音楽ソフトの収益は成り立ってきたわけです。

さて、そこで、ざっくりと今まで聞いてきた音楽は1曲につきいくらだったのか?というのを計算してみることにしました。

前提1)1992~2007(15~30歳)までの15年間で試算

筆者は現在36歳ですが、ここ数年のCD購買量はグンと下がっているので、一番音楽をきいたであろう、15-30歳までの15年間を基準としてみます。

前提2)平均で1日CD4枚分の曲を聴くとする

通勤通学とか、家にいる暇な時間とか考えるとまあ、これくらいかなと。

前提3)持ってる、持ってたCDは通算して、約600枚。洋楽だともっと安かったり、レンタルや中古も多いから、平均1000円で手に入れたとする。

さて、これらのことから計算してみると、今まで聞いてきた曲数は、1日で40曲なら年間で14600曲、15年分でのべ219000曲となります。

これに対し、CDに費やしたお金は、「1000 × 600 = 600000」で、つまり年間4万円。おお、これは体感的にも合う感じです。これから、1曲を聴くのにかかった費用を求めると、「600,000 ÷ 219,000」で1曲あたり、2.73円。なるほど。いままでは音楽を1回聴くのに、2.73円払っていたのですね

ライトなリスナーの場合

しかし、これはヘビーリスナーである筆者自身の場合です。ちょっと、(いや、かなり?)数字が偏っているかもしれません。そこで、ライトリスナーの場合も考えてみました。

1日平均CD1枚分の10曲、通算でCD200枚を持っている、と仮定して計算してみよう。

200 × 1000 ÷ 10×365×15

200,000 ÷ 54750 = 3.6円

ふむ。なるほど一曲あたり3.6円の支払い。ヘビーリスナーよりはやっぱりちょっと高くなりますね。それに対し、前述した通りSpotifyは0.6円から0.8円。

うーん、なかなか厳しい数字だけれど、物のコストがかからないこともありますし、また、サブスクリプション自体の普及とともに、これがいずれ上がったいくことを前提とすれば、意外と成り立つかもしれない。どうだろう? いや、成り立ってほしい...。

もう一個おまけ

Spotifyの月額premiumは9.99ドル、ユーザーの2~3割が有料を見込んでいるとのこと。すると、平均収益は一人当たり250円程度で、これをアーティストに払うロイヤリティ0.6円で割ると、416曲。月に平均416曲以上聞かれると、赤字になるわけだ(無料ユーザーの場合は広告課金モデルだけど)。平均1日に10曲聞く、と仮定すると、月に300曲。おお、いい線かもしれませんね。

というわけで、少々乱暴な計算でしたが、いかがでしょうか。

さて、いよいよSpotifyサービス開始で、戦国時代になりそうなサブスクリプション制度。しかし、収益性云々よりもなにより一番大事なのはユーザーの利便性だと思う訳で、これにより、音楽ファンが増えて、win-winな関係になってくれればなによりですが。そうすれば、Spotifyの登場はiTunes以上の革命になるかもしれない。そんな気がしています。

(この数字はあくまでも、筆者の音楽ライフスタイルにそった数字なので、皆さんとは違うと思います。興味持っていただけたら、ぜひ皆さんも計算してみて、コメント欄で教えてくださいね)

(早川大地)

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