小さいことは美しい。そして効率的。
米メディア「Inc.」が選んだ9つのポッドやドーム型の部屋、仕事場はいずれも、芸術的にも環境的にも卓越しています。
未来の小部屋は必ずしも四角ではありません。オフィスであれ家であれ、クールな"個室"は、電話の音を遮断するプレキシガラスを備えていたり、三角形の窓ガラスがはめ込まれた多角形の部屋だったりするのです。
以下、紹介します。
1.持ち運び可能なプレハブ/どんな季節にももってこいの個室
名称:Archipod
場所:持ち運び可能
デザイナー:Archipod Ltd.
用途:個人的な仕事場として、レクリエーション用として、世界中で
家にオフィスがあればと思うなら、庭に作ってみましょう。Archipodは羽目板と木材の床でできた、ユニークでエコフレンドリーなプレハブのオフィスです。「ポッドファーザー」の異名を持つ Chris Sneeby が2009年設立した会社によるもので、ポッドは1棟約2万ドルです。
例えばロンドンから北へ4時間のところに位置するノースヨークシャーに建てられた Archipods は、エアコンの設備、照明、電気、小さな丸窓、木の床が備え付けられています。暖房は電気パネルで制御し、リサイクルガラスで作られたファイバーグラスにより断熱効果も期待できます。細かなカスタマイズも可能ですが、大きさは2つのバリエーションが用意されており、小さいものは直径約3メートル、大きいものは直径約4メートルです。
2.広いオープンスペース/テントのある島
名称:Pallotta Teamworks
場所:ロサンゼルス(アメリカ)
デザイナー:Clive Wilkinson Architects
用途:共同作業の仕事場
チャリティーイベントを行う団体の拠点として建てられたこの建築物は、もともとはロサンゼルスにあった古い倉庫でした。1フィートあたり40ドルという限られた予算の中で設計を手がけたのは Clive Wilkinson Architects。コンテナを利用したプレハブの部屋を通路が繋ぐデザインです。
コンテナは1つ3400ドル。これらを経済的な、小さな一人部屋に変え、家具を持ち込みました。各部屋をタテに積み重ね、天蓋で覆うことで、この「テントのある島」は、エアコンの使用を最小限に抑えることに成功しています。
3.どこにでも行けるポッド/居心地がよい広々とした空間
名称:Blob vB3
場所:持ち運び可能
デザイナー:DmvA
用途:XfactorAgenciesのオフィス
ベルギーの建築会社 DmvA による blob vB3 は、何か特定の機能を意図したわけではありません。庭の倉庫として、ゲストハウスとして、スタジオとして、あるいは広々とした個室として利用できます。木材とポリエステルで作られた約18平方メートルの白い卵形ポッドには、浴室や台所、収納スペースをつけられます。
Blob vB3 には、会議に必要な機能が備わっています。水と電気は外から持ってこられるし、暖かい日はポッドの「鼻」を開けてみるのもいいでしょう。
4.カメレオンキューブ/持ち運び可能で、近代的
名称:Log Cabin Recording Studio
場所:オランダ
デザイナー:Piet Hein Eek(オランダ人の家具デザイナー)
用途:ミュージシャンが使うパーソナルレコーディングスタジオ
その佇まいは、自然の中に立っているというよりも、自然と張り合っているかのよう。目の高さにある四方の窓を開けると、大量の光が差し込みます。閉めるとただの木のキューブになります。
これは単なるレコーディングスタジオではありません。素朴なキャビンのように見えて、実はプラスチックと鉄でできた、タイヤ付の小さくて持ち運び可能な家なのです。内装は艶のある青色に塗られており、モダンなデスクが配置されています。
5.毎日のルーティンからの避難所/アウトドアにもってこい
名称:Polyhedron
場所:ボゴタ(コロンビア)
デザイナー:建築家 Alberto Gonzalez 、 Manuel Villa
用途:個人的な休養場所
秘密基地のようなリラックスできる空間は、毎日のルーティンから人々を救い、アウトドア活動のすばらしさを伝えようと設計された、日常からの避難所でもあります。 八面体の円錐形の建物には、数学家の心が躍るでしょう。空色で覆われた壁は、太陽を取り込むだけではなく、心を解放させてくれます。
ある面はすべて透明なので、自然との一体感を味わうことができます。また部屋が小さいので、反対側の壁と天井にある小窓で、部屋中の空気をすぐに入れ替えられます。
6.中庭にある球/美しく澄んだ空間
名称:Pons and Huot
場所:パリ(フランス)
デザイナー:Christian Pottgiesser
用途:Pons、Huot のエグゼクティブオフィス
フランスの会社2社(Pons と Huot)の本社となったこのオフィスは、フランス人の建築家 Christian Pottgiesser によって設計されました。空間を漂う階段、レクリエーションルーム、たくさんの室内用イチジクの木があります(19世紀後半の産業用ホールを再現した、ガラス張りのアトリウムが何部屋もあります)。
約1.8平方キロメートルの空間には地下の会議室、ラウンジ、台所があり、1階にオフィスがあります。プレキシガラスが木の表面を覆っています。デスク上に見える風防のようなデザインは「電話のドーム」と呼ばれ、周辺の音をかき消す仕掛けになっています。
7.スライドする仕事場/たくさん収納できてシンプルな作り
名称:Collapsible Workstations
場所:ニューヨーク市(アメリカ)
デザイナー:Taylor and Miller Architecture and Design
用途:マンハッタンにある NPO Environmental Grantmakers Association のオフィス
マンハッタンの住人なら、狭い空間に慣れています。ですから、「たためる仕事場」を設計したデザイナーがニューヨークを拠点に活動していると聞いても驚かないでしょう。Taylor and Miller Architecture and Urban Design が、0.3平方キロメートルのたためるオフィスを開発しました。古い時代に使われていたキャビネットシステムのように機能します。それらを広げるといくつものオフィスができるし、たたむとひとつの大きな空間になります。
この個室には7つの仕事場があり、ひとつひとつはパズルのようなデザインのキューブです。建築家によると仕事場をたたんだり広げたりするのは簡単なのだそうで、「文字通りクランクを指ひとつで動かせます」とのこと。
8.オフィスの"拡張"/モジュールの柔軟性
名称:Tetra Shed
場所:世界中の庭やポップアップオフィス
デザイナー:Innovation Imperative
用途:個人的なオフィス
「ホームオフィス」とは、誰かの家の中にあり、デスクと明るい照明、パソコンが備えられているものだと思い込んでいませんか。Innovation Imperative の Tetra Shed はこの常識を打ち破り、どこにでも(例えばドアの外にも)オフィスを作り出しました。そもそもは家のスペースを広げるためのアイデアでしたが、公共の空間や教室、ショップにも応用できます。
3平方メートルの床があり、ふたりが快適にデスクで仕事できます。モジュール製なので、複数の Tetra Sheds をくっつけられます。壁の内側にはカバノキのベニヤ板、外側には黒いゴムという具合に、単純な素材で現代的な建築方法を採用しているため、値段も手頃です。
9.壁ではなく窓/クリエイティブな快適さ
名称:WorkPods Zurich
場所:チューリッヒ(スイス)
デザイナー:Meury Architektur
用途:OpenSystems AG のオフィス
名前の通り、WorkPods Zurich は個人で働く人やフリーランスに、全く同じ空間を提供します。だけどその空間は見た目より活気があります。床から天井にあるガラスのドアは下にスライドでき、それぞれの個室が広いオープンスペースになります。
Meury Architektur は、今までのオフィスの空間よりも個々人が快適に働けることに重点をおいてデザインしました。つやのあるポッドがスライドして創造的な空間を作り上げます。
The Coolest Cubicles in the World|inc.
Carolyn Cutrone, Christine Lagorio-Chafkin and Eric Markowitz(訳:駒場咲)