家の引っ越しなら、郵便局に行って転居届を出すだけで、あとは郵便局に任せておけば問題ありません。でも、メールアドレスを変更する場合は、そう簡単にはいきませんね。
仕事用のアドレスを取得したり、新しいサービスに乗り換えたりと、アドレスを変更する理由はさまざまですが、その後の処理は予想以上に面倒です。では、メールアドレスの変更が簡単になる方法を紹介しましょう。
長く使えるアドレスを選ぶ
何はともあれ、変更するなら実用的なメールアドレスにしましょう。最適なアドレスは、メールを使う目的によって変わってきます。
理想としては、自分の名前を用いたオリジナルのドメイン名とメールアドレスを持つことでしょう。「yourname@compuserve.com」より、「yourname@yourname.com」というアドレスのほうがずっと長く使えます。また、プロバイダと縁が切れるので、2度とアドレスの変更を心配する必要はありません。そこまで大げさにしなくても、とお思いでしょうが、利用価値の高いドメインサービスもありますし、手続きもそれほど複雑ではありません。オリジナルのドメイン名ならGoogle Apps(GmailなどのGoogleプロダクトを独自ドメインで使えるようにするサービス)を簡単に利用できるので、Google愛好家の方にもうってつけです。おまけに、万が一Google Appsが時代遅れになる日(もしくは、利用をやめたい時)が来ても、アカウントを解除して別のサービスに移行するだけで済みます。
どうしてもドメイン名にお金を使いたくないなら、『Gmail』や『Outlook.com』のような大手プロバイダをおすすめします(米Lifehackerでは以前、この二大サービスの比較を試みましたが、両者それぞれに長所がありました)。
基本的には、所属する学校やプロバイダが指定するメールアドレスや、会社のアドレスは使わないほうがいいでしょう。学校や職場のメールアドレスも悪くはないのですが、一生使えるわけではありません。いつになっても使えるアドレスがあったほうが良いでしょう。
実際のメールアドレス名については、なるべく覚えやすく、「大人として節度のある」ものにしましょう。「thorinsparkles@gmail.com」(キラキラ系のもの)や「zeldafan1969@outlook.com」(好きなゲームをもじったもの)など、気恥しくなるようなものはやめ、できる限り実名に近いアドレス名を設定するのが良いと思います。それが不可能なら、名前に何かをつけ足しましょう。ただし、恥ずかしい言葉や個人情報がバレる内容は避けてください。生まれた年や支持政党、応援しているスポーツチームをつけ足すのはやめたほうが無難です。
古いメールを新しいアカウントに移動する
ほとんどの場合、過去のメールや連絡先を新しいアカウントに移行するのはとても簡単です。とはいえ、すべてのウェブメールやプロバイダの方法をひとつ残らずここで説明するわけにはいかないので、GmailとOutlookの場合を取り上げましょう。ほかのサービスもそれほど違いはないと思います。
■Gmailに移行する
新しくGmailアカウントを設定したら、Googleの「Mail Fetcher」を使って、すでにあるメールや連絡先をインポートしましょう。とても簡単ですよ。
- Gmailアカウントにログインしたら、歯車アイコンをクリックして、「設定」を選択します。
- 「アカウント」タブを開きます。
- 「POP3を使用して他のアカウントのメッセージを確認」の「自分のPOP3メールアカウントを追加」を選択します。
- 古いメールアドレスを入力して「次のステップ」をクリックしたら、パスワードを入力します。
- 希望するオプションを選択します(「受信メッセージにラベルをつける」や「受信メッセージをアーカイブする」など)。
- 「アカウントを追加」をクリックします。
これで、古いアカウントにあるメールが、すべて新しいほうに移し替えられるはずです。新着メールもすべて受け取れるので、自分で転送する必要はありません。ただし、Mail Fetcherが転送してくれるまで若干のタイムラグが生じますから、新着メッセージを早く確認したい方は、古いメールアカウントで転送設定を行ってください(詳しい方法はあとで説明します)。
■Outlookに移行する
古いアカウントのメールデータをOutlookに移す作業はとても簡単ですが、古いアカウントの種類によって方法が違ってきます。Gmailから移行するケースが多いと思うので、ここではGmailから移す方法を説明しましょう。
- Outlookアカウントにログインします。
- 「メールアカウントのインポート」を開き、希望のオプション(この場合はGoogle)を選択します。「GmailをOutlookにインポート」をクリックし、Gmailアカウントを開きます。
- Gmailにログインすれば、インポートがスタートします。
Gmail以外のアカウントから移行する際は、やり方が少し違います。また、メールを個人的にバックアップしておくのも一案です。不具合が起きた時に、バックアップしておいたデータをインポートできるからです。そうしておけば、どんなプラットフォームを選んだとしても、古いアカウントのメールデータに常にアクセスすることができます。
OutlookもGmailも使っていない方は、「Yippie Move」のようなサービスを利用してメールを移し替えてください。ただし、メール1件につき15ドルかかるので注意が必要です(あっという間にコストがかさみますね!)
古いアカウントを生かしたまま、転送サービスを利用する
次に、古いアカウントに届いたメールをすべて新しいアカウントに転送できるように手続きをしましょう。この設定は、古いアカウントで行います(Gmailへ移行する場合は、先述したMail Fetcherを使った方法で、すでに設定されています)。ただし、メールプロバイダによってやり方が異なるため、ここではGmailとOutlookからメールを転送する設定方法をご紹介します。
■Gmailアカウントからの転送を設定する
Gmailからほかのサービスに切り替える場合は、メール転送の設定をしておきましょう。やり方は次の通りです。
- Gmailアカウントにログインし、歯車アイコンをクリックします。
- 「設定」を選択します。
- 「メール転送とPOP/IMAP」タブを開きます。
- 「転送先アドレスを追加」をクリックします。
- 新しいメールアドレスを入力します。
- 新しいアドレスに「転送の確認メール」が届いたら、リンクをクリックして承認します。
これで、誰かがGmailのアドレスにメールを送っても、新しいアカウントで受信できます。転送するメールを選択したい時は、転送メールにフィルターをかける設定を行ってください。そうすれば、迷惑メールやスパムメールまで転送されずに済みます。
■Outlookアカウントからの転送を設定する
Outlookのメール転送設定は極めて簡単です。
- 歯車アイコンをクリックし、「メールの詳細設定」を選択します。
- 「電子メールの転送」を選択します。
- 「別の電子メールアカウントにメールを転送する」にチェックを入れ、転送先のメールアドレスを入力して「保存」をクリックします。
これで、古いOutlookアカウントに届くメールは、すべて新しいアドレスに転送されます。ほかのメールサービスの場合も、たいていはGmailやOutlookと似たようなやり方になっているはずです。
各種ウェブサービスのアカウントのメールアドレスを更新する
新しいアドレスを取得すると、Facebookからオンラインバンキングに至るまで、登録している各種サービスのアカウント情報をすべて更新しなければならないのが悩みの種です。全部にログインしてアドレスの変更処理をしなければいけませんが、正直に言って、登録したサイトをすべて覚えておくのはなかなか難しいものです。
方法はいくつか考えられますが、『LastPass』などのパスワード管理ツールを利用しているなら、登録しているサイトが全部リストアップされているので、更新作業がとても簡単になります。LastPassの場合、ログインしてLastPassの「Vault」を開けば、自分がアカウントを持っているサイトを確認できます。少し時間を割いて、すべてのサイトにアクセスして登録アドレスを更新しましょう。その際は、LastPass自体の登録アドレスも忘れずに変更してくださいね。
パスワード管理ツールを利用していない方は、登録サービスすべてを把握するのが難しいかもしれません。一番ラクなのは、受信トレイで「承認メール」や「メールマガジンの購読を解除」「登録ありがとうございます」「新規アカウント」といった言葉を検索する方法です。そうすれば、アカウントを取得したりメールマガジンの購読を登録したりしたサイトがほぼ正確にわかるはずです。
Thorin Klosowski(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)
Photos by Jeremy Keith.