Inc.:多くの起業家が、スタートアップを立ち上げた初期の頃に知っておきたかったことを明かしています。スタートアップ関連の読み物でよく目にするのが「たくさん、そして速く失敗しろ」という言葉です。もしくは、こんな言葉。「失敗しなければ、十分な挑戦をしていない」
こうした教訓はおそらく真実でしょう。とはいっても、やはり失敗するのが好きな人はいませんし、失敗から立ち上がるのは簡単なことではありません。今回ご紹介するのは、失敗から学んだ起業家の体験です。これから起業する人、起業したばかりの人には大きな参考になるはずです。
1.会社を始めるのは、終わらせるよりも簡単である
ビジネスといのは、始めるのは簡単です。だから、MyCorporationのようなサイト(中小企業がオンラインでLLCの法人格を取得できるサービスを提供するサイト)が存在しているのです。
Brad Barrett氏にとって大変だったのは、ビジネスをどう畳むかという点でした。彼は10年ほど前、Connect Centerという会社を経営していました。米ダラス空港のヒルトンのようなホテルにおいて仕事スペースを提供するという事業です。
彼はエンジェル投資家から40万ドルを調達し、全ては計画に沿って進んでいるかのように見えました。しかし、その後ヒルトンとの付き合いは無くなり、ドットコムバブルがはじけたあとには、投資も減り、経営は落ち込みはじめました。投資家から調達した資金はまだ残っていたため、彼は挑戦を続けました。「残っていた資金に頼って、他のエンジェル投資家にアプローチをしたり、とにかく事業を続けるためにあらゆることをしました」と彼は言います。しかし、彼のそうした試みは、結局会社を救えませんでした。事業を中止せざるを得なくなったのです。
ですが、この経験は彼を起業から遠ざけることはありませんでした。彼は現在、新しいスタートアップinfrared grilling plateを上手く経営しています。
2.多すぎる資金が仇になることもある
現金は多ければ多いほど、安心できる? Michael Libes氏にとっては、そうではありませんでした。彼が以前スタートアップを立ち上げた際には、初期の段階で多くの資金を調達し過ぎたために、多くの問題が生じました。
「資金によって買えるものは、時間だけです。9人の母親が1ヶ月で赤ちゃんを産めないように、大きなチームでも、どれだけ頑張ったところで、短期間でプロダクトを市場に出すことは無理なのです」。
Libes氏は、資金調達は、既に市場を見つけた会社に必要なものだと考えます。資金が無ければ、会社は機敏に、かつ賢明に動くことが強制されます。資金があると、あまりに急速に人員を増やすことになるため、あらゆる面で複雑さが増し、市場における本当の目的を見失ってしまうのです。
3.立ち上げ初期は特に、メンバーとまめに進捗を共有することが大事
立ち上がったばかりの会社に出資をしている人であれば皆、会社が順調に進展していることを確認したいはずです。一方で経営者側は、大きな進展だけを断続的に報告したいという誘惑に駆られることもあります。投資家を安心させたい、という目的で。しかし、そうした考えに異議を唱えるのは、Iqbal Ashraf氏です。
Ashraf氏は、90年代にNetworkChordというネットワーキングビジネスを立ち上げました。彼は初期の段階から、チームメンバーには必要な時にだけ会って、会社の進捗を報告していました。全メンバーに会社の状態を定期的に共有していなかったのです。その結果、従業員のミーティングへの欠席や仕事量の落ち込みが目立つようになり、リスクが少しずつ雪だるま式に膨らんでいきました。
「毎日メンバーと状況を共有することで、進捗を確認できるだけでなく、将来生じる可能性のある問題を初期に見つけることができます」と彼は言います。その後、彼は週2度の進捗確認ミーティングを行うようになりましたが、そのタイミングは既に遅すぎました。幸いなことに、彼はその経験で学びました。現在は、Mentor's Guildというコンサルティング会社の経営に成功しています。
4.ゆっくり成長し、適切にチームの管理をする
成長することは、ビジネスの成功の鍵です。それが組織において、問題を生じる原因とならない限りは。
Kratee E-commerce and Consultingは、2009年から2011年にかけて営業していたメディア企業です。創設者のAnkur Agarwal氏は、小さなチームの管理に長けていました。会社に利益が出たとき、彼は営業を拡大し、増員する決断をしました。すると、全てがコントロール出来なくなり始めたのです。
「スタッフの仕事の全てを、細かく管理するようにしたことが元凶でした」と彼は振り返ります。「チームが自分の力で考えて実行し、自ら失敗から学べるようにしなかったのです。そのため、自分で多くの仕事を抱えるようになりました」。
彼が現在経営する会社、製品検索サイトPriceBaba.comでは、後輩のスタッフに対して多くの権限を与えるようにしています。
Lessons From 4 Failed Start-upsI Inc.
John Brandon(訳:佐藤ゆき)