お茶は人を良い気持ちにさせる幸せな飲み物であり、同時に大きな癒し効果ももっています。ある種「不思議な飲み物」と思われており、水よりも健康に良い効果をもたらすこともあります。

今回ご紹介するのは、お茶が健康と長寿に与える影響、そして最大限のお茶の楽しみと健康効果を享受する方法です。

楽しみだけではない。お茶がもたらす多くの健康効果

お茶と健康

お茶は水の次に、世界で2番目に消費量の多い飲み物です。 その理由は、様々な飲み方が可能である点にあります。冷たくても熱くても飲めますし、茶葉の種類も豊富なので口に合うお茶を見つけることができます(ハーブティーを除いて、1500以上の種類のお茶があります)。

お茶は、その健康効果を理由に何世紀にもわたって飲み続けられてきました。多くの研究で、お茶、特に緑茶を飲むと病気になりにくくなり、寿命が長くなることが裏付けられています。その理由の1つは、抗酸化作用をもつポリフェノールと呼ばれる物質が大量に含まれている点にあります。ポリフェノールを摂取すると、がん、骨粗しょう症、心臓血管病を患うリスクが低下します。

ポリフェノールは、フルーツや野菜、また穀物に大量に含まれているほか、コーヒーにはお茶以上の量が含まれています。しかし、お茶は特に多くのカテキン(特にEGCG)と呼ばれるタイプのポリフェノールが多く含まれており、その健康効果の向上に貢献しています。

・がんの予防

アメリカがん団体は、次のような説明をしています。

EGCGは、ある特定のタイプのがん細胞を、通常の細胞とほぼ同様に死滅させる効果をもっています。通常の細胞とは異なり、死滅すべきときになかなか消えず、成長と拡大を続けるがん細胞にも効果を発揮するため、このような作用は大きな意味をもちます。

こうした、緑茶はある種のがんの予防に効果があるという主張には、より臨床データの裏付けが求められているものの、既に多くの実験結果でも、緑茶ががん細胞の抑制に効果を発揮することが示されています。たとえば、ある研究では、EGCGは肺がんの細胞の成長を抑制するという結果が示されており、また別の研究では、乳がんの腫瘍を抑制する作用をもつことが示されています。13の研究に基づいた総合的な分析によると、緑茶を日常的に飲む女性は、そうでない女性よりも乳がんを患うリスクが低いという結果が示されています。

とはいえ、ほとんどの科学研究と同様に、紅茶や緑茶は乳がんのリスク軽減に対して大きな効果を発揮しないという、対立する研究結果も存在します。ですので、がんの予防という目的だけを期待してお茶を飲むことはおすすめできません。それでも、お茶には他にも多くの健康効果があるのです。

・心臓病と高血圧の予防になる

緑茶が日常的に消費される国、日本に住む4万530名の人々を対象に行われて研究では、緑茶を飲むと心臓血管系の病気によって死亡する確率が大きく低下するという研究結果が明らかになりました(女性は31パーセントの低下、男性は21パーセントの低下という結果)。心臓発作による死亡リスクの低下率はさらに大きく、女性で62パーセント、男性で42パーセント低下するという結果に。緑茶に含まれるカテキンは、動脈の内膜上にフリーラジカルが生成されるのを防ぐと考えられており、血液の凝固を防ぐ効果もあると言われています。

緑茶またはウーロン茶の定期的な消費が(少なくとも1年間にわたって)、高血圧のリスク軽減につながるという結果も示されています。その軽減率は、1日に2.5杯飲む人で46パーセント、それ以上飲む人で65パーセントだったそうです。

アメリカの栄養学の学術誌に掲載された論文では「緑茶とEGCGは、心臓血管系と代謝の健康を維持する上で非常に有用な要素とみなすことができる」という論が発表されました。

・全般的に死亡リスクを下げる

上に紹介した日本人を対象にした研究では、緑茶の摂取量と死亡リスクの相関関係も調査されました。研究チームは、40歳から79歳の日本人を11年間にわたって調査し、1日の緑茶摂取量が1杯以下と5杯以上のグループを比較しました。

その結果、緑茶を飲むことは、あらゆる死因による死亡リスクに関して、女性は23パーセント低下、男性は12パーセント低下することが判明しました

・脳を活性化させる

お茶を飲むことで、リラクゼーション効果と集中力のどちらもを得ることができます。以下は、「Tea Class」というサイトで紹介されていた内容です。

テアニンはアミノ酸の一種で、茶の木に存在しています。人工的に製造されたサプリメントで摂取しない限り、お茶は唯一テアニンを摂取できる方法です。この強力なアミノ酸を摂取すると、脳内のアルファ波の活動が活発になり、リラックスかつ集中した状態をつくることができます。「静かに集中している状態」です。この鎮静作用は、カフェインの摂り過ぎによって生じる極度にハイな状態、落ち着きのない状態も和らげる効果をもちます。

茶の木に含まれるその他の重要な成分と同様に、テアニンは、若い葉にもっとも多く含まれています。高品質な茶葉には多くのテアニンが含まれており、特に多く含まれているのは緑茶と白茶です。

・お茶の効果はまだまだある!

その他の研究では、緑茶はLDL、つまり「悪玉」のコレステロールを軽減させる、体脂肪を減らす、インフルエンザウイルスを抑制する、歯垢を少なくする、といった効果をもつことが示されています。Nadine Taylor氏による著書『Green Tea』では、さらに次のような効能が紹介されています。

  • 血糖値を正常な状態に保つ
  • 食物由来の細菌を殺す
  • 免疫システム機能を高める
  • 腸内の「友好的な」バクテリアを増やし、腸の調整を促す
  • でんぷんの分解を妨げることで、体重減少の作用をもつ
  • 体内の水分のバランスを保つ
  • ストレスを緩和する

Taylor氏はまた、このように書いています。

地球上のあらゆる物質、最強の効果をもつ薬を含めても、これほどまでに幅広く健康効果を発揮し、副作用がないものはありません。

なお、緑茶の濃縮液やサプリメントを大量に摂取すると副作用が生じます。また、妊娠中の女性も緑茶の飲み過ぎは避けた方が良いかもしれません。

お茶にもカフェインが含まれることは事実です。カフェインに対する反応は人それぞれですが、一般的にお茶に含まれるカフェインはコーヒーよりも少なく、お茶のカフェインはよりゆっくりと代謝されます。そのため、くらくらすることなく、1日中お茶を飲み続けることができるのです。

より良い健康効果を享受するためのお茶の選び方、淹れ方

中国茶

お茶の健康効果の多くを理解していただいたところで、お茶の選び方、また最適な淹れ方の話題に移りましょう。

・お茶の種類

多くの研究は緑茶の健康効果について調査をしていますが、それでは紅茶や他の種類のお茶についてはどうなのでしょうか? 緑茶は大量に含まれるEGCGのおかげで、もっとも多様かつ強力な健康効果をもっていますが、紅茶の健康効果はそれよりもずっと低くなります。それは、製造中に葉が「焼かれ」、酸化することが理由です。それでも、紅茶や他のお茶もまた、身体に良い物質を含み、健康効果があります。

Acne Einsteinは、アメリカ合衆国農務省が測定した、各種のお茶に含まれるEGCGの平均値を紹介しています。

  • 煎じた緑茶:180mg
  • 煎じた緑茶、カフェイン抜き:60mg
  • 煎じた緑茶、フレーバー付き;45mg
  • 既製の緑茶:10mg
  • 煎じたウーロン茶:80mg
  • 煎じた紅茶:20mg

この報告には、緑茶と同程度のEGCGが含まれる白茶の情報は掲載されていませんが、白茶は緑茶ほど生成されていないため、さらに多くの健康効果をもっている可能性があります。しかし、白茶は緑茶よりも希少であるため、多くの研究がなされていません。

また、抗酸化物の含有量は、お茶の種類、ブランド、製造方法によって異なります。

・お茶のブランド

ブランドに関していえば、ConsumerLabは、緑茶のボトル飲料、抽出タイプのお茶、サプリメントを比較して、どのタイプに多くのEGCGとカテキンが含まれるかを検証しました。その結果を、次のように伝えています。

14種類のボトル飲料のお茶のうち、包装に表示されていたEGCGの含有量について、実際の表示量よりもずっと少ない量しか含まれていなかったものは3本のみでした。たとえば、480mlのハチミツ入りHonest Tea Green Teaは、表示されていた190ミリグラムの3分の2の量のみしかカテキンが含まれていませんでした。カテキンにはEGCGとその他の健康に良い物質が含まれています。(専門家の推奨では、1日に200ミリグラムのEGCGを摂取すると、非常に良い健康効果を得られるだろうといいます)

抽出タイプのお茶全てがそうであったように、EGCGの含有量の表示が無い製品については、その結果はより多様でした。茶葉の状態で販売されているTeavana Green Tea Gyokuro Imperialは、1杯あたりEGCGの含有量が86ミリグラムである一方、Bigelow Green Teaのティーバッグ1つあたりに含まれるEGCGは25ミリグラムでした。EGCGの1日当たりの推奨量を摂取するには、前者であれば2杯半、後者は8杯飲む必要があります。(アドバイス:EGCGを十分に抽出するには、熱湯に3~5分茶葉を浸してください)

上に紹介したTeavanaの値段は高めです(200ミリグラムのEGCGを摂るのに2.18ドルかかります。対して、ティーバッグは0.27~0.60ドル程度です)。Bigelowはスーパーで売られているティーバッグ製緑茶の中ではもっともEGCGの含有量が高いです。

・抽出時間、温度

EGCGの量と抗酸化物質に大きな影響を与えるのが、お湯の温度と抽出時間です。良い香を引き出すのに最適な時間と温度というのは存在しますが、より健康に良い効果を引き出すための方法として、Acne Einsteinでは以下のようなアドバイスが紹介されています。

  • より高い温度のお湯でお茶を抽出すると、抗酸化物質が多くなる
  • 抽出時間には3~5分とる

この方法は、お茶によっては、従来最適と言われてきた方法と対立します。たとえば、緑茶は通常、95度のお湯に1分ほど浸すのが良いと言われています。ですので、茶葉の種類によっては、かなり味や苦みが濃くなるかもしれません。一方、ウーロン茶はより長い抽出時間、高い温度でも美味しく飲めると言われます。

・1日何杯が適正か?

多くの研究によれば、お茶はたくさん飲めば飲むほど良いと言われていますが(例:5杯以上)、1日2、3杯のお茶を飲めば十分であるとする研究もあります。2、3杯のお茶は、1日の推奨量であるEGCG200ミリグラム相当のサプリメントに匹敵します。

お茶が好きでなければ、魔法瓶にお茶を入れて、がぶがぶと飲みまくるのは馬鹿らしいことです。コーヒーのようなより強い飲み物があなたの好みだとしても、1日1杯、素敵なお茶を楽しむようにしてみると、意外な効果を得られるかもしれません(健康効果という素晴らしい副作用とともに!)。

Melanie Pinola(原文/訳:佐藤ゆき)