Maker Faire Tokyo 2013の会場を歩いていて、正直なところ、呼び込みをしていた『マクロスF』のランカ・リーのコスプレをしていたお嬢さんに引き寄せられたのです。でも、そのブースにはステキすぎるグッズが待っていたのでした。
好きなフィギュアを飾って、手元のスマホアプリから照明を調節したり、舞台を回転させたり、手前に置いたカメラで撮影できたりする「FIGURE☆STAGE」。作り上げたのは、主にウェブサイトやシステム構築を手がけているマインドフリー株式会社です。
でも、なぜウェブ関連の企業がMaker Faire Tokyoにモノをつくって出展したのか。取締役でテクニカルプロデューサーの北口真さんに伺うと、FIGURE☆STAGEの良さはもちろん、少しだけ未来のことも見えてきました。
狙ったのではない。FIGURE☆STAGEを作りたいから作った
FIGURE☆STAGEはボックス中央の台座にフィギュアを乗せ、専用アプリからステージ上の照明などを調整して楽しむグッズ。台座は360度稼働、前後左右にある4つのフルカラーLEDは好みの色味や明るさにできます。ボックス手前にWi-Fiで連携したカメラを設置すれば、撮影もアプリから可能。また、台座を回転させながら連続撮影し、アプリで画像を処理すると、アニメーションGIFとして書き出せる機能も備わっています。機能は公式サイトに詳しいですが、まさに「フィギュアのためのステージ」です。
仕組みは、アプリで出した指示を一旦クラウドで処理、その結果をFIGURE☆STAGEへ送っています。実は、この処理を行うプラットフォームを構築しているのが、マインドフリーのそもそものお仕事。彼らは自分たちで構築したプラットフォームを活用したものづくりをしていたのです。
FIGURE☆STAGE、欲しい人は、すごく欲しいと思います。失礼ながら北口さんに「売れそうなものを作ったのですか?」と単刀直入に尋ねると、「実は開発チームがこういうのを好きで、作りたいから作ったのですよ」と答えてくれました。狙ったのではなく、欲しいもの、楽しいものを作る。DIYの精神でした。ますます、ステキです。
すべてがディスプレイ化した世界でワクワクしたものを作れるか?
SHARE LINKはコンサートでよく見るペンライトをコミュニケーションツールにできないかと考えたそう
私があまりにも「これはいいですね!」と興奮しているのを見て、北口さんは笑いつつも、「真面目な開発経緯はですね...」と話してくれました。「3年前くらいから、きっとこの先5~10年には、机や床、壁など、あらゆるものがデバイス化、あるいはディスプレイ化して、ウェブとつながるはずだと。そんな世界では、あらゆる職種やポジションの人が交わっているだろう。そこでワクワクしたものを作っているのは誰かと思った結果、私たちはハードウェアやものづくりの側にいきたいと考えたんです」。
北口さんは加えて、「自分たちが構築してきたウェブベースの技術やフレームワークの可能性を大切にしながら、新しいユーザー・エクスペリエンスを生み出したい」とも話してくれました。その実験と、自分たちの作りたいものが、FIGURE☆STAGEというカタチになったのです。
クラウドでつながっているということは、友達がアプリで演出をしたものを自宅で楽しんだり、バックに移す映像を制御したりと、発展性もあります。「みんなが使い方をアレンジして楽しんでもらえるものになれば」と北口さん。
ちなみにコスプレをしているおふたりもマインドフリーの社員さん(!)
残念ながら商品化の目処などは立っていないそうですが、「飾って楽しむフィギュア」に、技術とDIYで新たな楽しみを与えたところに良さがあると思います(わかる人にはわかってもらえるかもですが、まるで"リアル版MMD"みたいな可能性を感じました!)。
ウェブとリアルをいかにつなげるか。その試みのひとつにFIGURE☆STAGEもあります。ちなみに、Maker Faire Tokyo 2013は明日も開催。ランカちゃんもいるそうなので、目印にして、足を運んでみてはいかがでしょう。
(長谷川賢人)