デジタル一眼レフカメラは、コンパクトカメラに比べて写真品質が優れ、より柔軟な撮影が可能なのはご存知ですね。しかし、多くの人がせっかくのハイエンドカメラの機能を使いこなしていません。

念願のデジタル一眼レフを買ったのなら、カメラを持って外に飛び出す前に、以下に紹介する6つの機能を十分に理解してください。

1.プログラムモード

プログラムモード

これは何ですか?

オートモードとマニュアルモードの中間に位置するもの、それがプログラムモードです。オートモードと同じく、プログラムモードは写真の露出を自動でやってくれます。シャッタースピードや絞り、ISOを自分で調整する必要はありません。

オートモードとの違いは、設定のいくつかを撮影者が自由に調整できることです。たとえば、フラッシュを禁止したり、ISOやホワイトバランスを調整したり、露出をわざとアンダーやオーバーにするなど、さまざまなコントロールが可能です。プログラムモードの詳細はこちらの記事も参考に。

どのデジタル一眼レフで使えますか?

プログラムモードはあらゆるデジタル一眼レフカメラに搭載されています。

使い方は?

モードダイヤルを回してプログラムモードに合わせるだけ。機種によって違いますが、大抵はPマークで表示されます。ダイヤルをプログラムモード合わせたら、上記の各種設定をマニュアルモードのように自由に調整できます。

2.カスタム機能

カスタム機能

これは何ですか?

カスタム機能とは、いわばデジタル一眼レフのショートカットです。モードダイヤルを回すだけで、露出、ISO、ノイズリダクション、色の調整など複数項目の設定を一括で変更できます。すべての項目を手動でひとつずつ設定する手間を省けます。モードダイヤルをカスタム機能に合わせるだけで、あらかじめ登録しておいた設定を一発で呼び出せます。

どのデジタル一眼レフで使えますか?

今回はCanonのデジタル一眼レフを例に説明しますが、他社のカメラにも同じ機能があるはずです。

Canonのデジタル一眼レフ

使い方は?

最近のCanonのカメラなら、メニューにあるオレンジ色のカメラのマークか、黄色いレンチのマークの配下にカスタム機能の設定項目があります。機種によってはメニューの場所が異なります。カスタム機能にはC1、C2、C3の3つのオプションがあります。この記号はモードダイヤルのラベルと対応しています。どれかひとつを選び、後から呼び出すための設定を保存します。呼び出すときは、モードダイヤルをそのラベルに合わせるだけでOKです。

3.被写界深度プレビュー

被写界深度プレビュー

これは何ですか?

カメラのファインダーを覗くと写真のおおよその仕上がりが確認できますが、実際に撮影される写真は少し異なります。なぜなら、被写界深度には様々な設定が影響を及ぼし、いくつかの設定はシャッターを押す時にはじめて適用されるからです。そのため、ファインダーで見たイメージと、実際の仕上がりが違ってくるのです。とくに、被写界深度が浅い場合(フレーム内の一部にしかフォーカスが当たらない)、仕上がりを想定しながら構図を決めるのが困難になります。できればシャッターを押す前に実際の仕上がりイメージを確かめたいですよね。被写界深度プレビューはそのための機能です。

どのデジタル一眼レフで使えますか?

ほとんどのデジタル一眼レフには被写界深度プレビューボタンがついています。ただし、目立たない場所にあるので気づかない人も多くいます。

使い方は?

被写界深度プレビューボタンを見つけたらとりあえず押してみましょう。大抵のカメラはレンズの左側にあります。ファインダーを覗きながらボタンを押せば何が起きるかわかるでしょう。

4.ピクチャースタイル

ピクチャースタイル

これは何ですか?

Instagramはカッコいいフィルタ機能で有名ですが、デジタル一眼レフカメラもこのトレンドに乗っかったようです。なかには時代遅れのフィルタもありますが、色調を変えるだけで写真の印象が劇的に変わることも。モノトーンやセピアなどをうまく使えば、クールな写真に仕上がります。

どのデジタル一眼レフで使えますか?

ミラーレスカメラを含め、ここ数年で発売されたデジタル一眼レフのほとんどはピクチャースタイル機能を備えています。機能の呼び方はカメラによって異なりますが、すぐに見つかるでしょう。古いカメラでも何らかのスタイル機能は使えるでしょう。Instagramほど豊富なフィルタは備えていませんが、試してみる価値はあります。

使い方は?

ピクチャースタイル機能をオンにして好きなスタイルを選ぶだけです。メニューの場所はメーカーおよび機種によっても異なります。通常、専用ボタンはないのでメニューからたどってください。見つからないときはマニュアルを参照。古いカメラなら、白黒写真を撮る方法のページを探してみてください。カメラによっては自分でスタイルを作成できるものもあります。

5.背面ボタンフォーカス

背面ボタンフォーカス

これは何ですか?

デジタル一眼レフでシャッターボタンを半押しにするとオートフォーカスが起動するのはご存知ですね。通常はこの方法で問題ありませんが、状況によっては別のやり方が適していることも。カメラ背面にある「AF-ONスタートボタン」(親指AF)を使えば、シャッターボタンはシャッターを切るのに専念できます。

なぜこのボタンが必要なのか? シャッターを押すたびにオートフォーカスが作動するのを回避するためです。写真を撮ろうとしたときにフレームの中に人が入ってくると、オートフォーカスが混乱することがあります。これがミスショットの原因になります。また、スタジオ撮影などで、最初にフォーカスを合わせて、あとは構図だけを変えながら撮影したい場合があります。構図を変えるたびにオートフォーカスを起動したくないときにもこの機能が使えます。

もちろん、オートフォーカスをオフにしたり、AEロックを使ってもいいのですが、背面ボタンフォーカスを使えば両方の利点を生かせます。使いたいときだけオートフォーカスを使い、マニュアルフォーカスとシャッター専用ボタンでスムーズに撮影を続けられます。

どのデジタル一眼レフで使えますか?

Canonのデジタル一眼レフのほとんどは背面ボタンフォーカス機能が使えます。なぜなら、Canonが開発した機能だからです。Nikonのデジタル一眼レフの多くも背面ボタンフォーカス機能がありますが、少し使いづらい印象。他社のカメラも大抵はこの機能を備えていますが、すべてではありません。Canonのカメラには専用ボタンがあります。他社のカメラはカスタム機能ボタンなどに割り当てて使います。

使い方は?

専用ボタンがあるカメラでも、ないカメラでも、あらかじめ背面ボタンフォーカスをオンにする必要があります。

Nikonユーザーはこちらのガイドを参照。他社のカメラはそれぞれのマニュアルを読んでください。

6.カスタムファームウェア

カスタムファームウェア

これは何ですか?

カスタムファームウェアを使えば、デジタル一眼レフに、オリジナルにはない機能を追加できます。大抵のカメラには隠された機能があるものです。カスタムファームウェアはそうした隠れ機能を使えるようにします。マイナス面は? カスタムファームウェアをインストールするとメーカー保証が利かなくなる場合があることです。

どのデジタル一眼レフで使えますか?

Canon、Nikon、Panasonicのいくつかの人気機種はカスタムファームウェアが使えます。自分のカメラで使えるかは「DIY Photography」のユーザーボイスをチェックしてください。

使い方は?

ファームウェアのインストール方法はカメラによって違います。大抵は公式ファームウェアのアップデートと同じようにロードするだけです。既存のファームウェアを上書きするものや、「Magic Lantern」のように一時的にロードして使うものもあります。いずれにせよ、カスタムファームウェアを使うとメーカー保証が利かなくなったり、カメラが壊れるリスクがあります。くれぐれも自分のカメラに対応したファームウェアをインストールしてください。また、注意深くインストールマニュアルを読み、それに従ってください。

この記事では、あまり知られていないデジタル一眼レフカメラのクールな機能を紹介してきましたが、この他にも隠れた機能はたくさんあります。カメラの性能を最大限に引き出したいなら、探究心を持っていろいろ調べてみてください。カメラのマニュアルを見れば細かい操作方法がすべて載っています。せっかくのデジタル一眼レフなのですから、コンパクトカメラ並の使い方で終わらせるのは残念です。宝の持ち腐れにならないように!

Adam Dachis(原文/訳:伊藤貴之)