気まぐれな夢を描いたり、何の根拠もない希望を持ったり、非現実的な目標を立てたりすると、「私生活」に悪影響があることを私たちはよくわかっています。

なので、家にいるときは理性的に物事を判断し健康に配慮します。無理のない目標を立て、健康的なライフスタイルを目指します。

ところがひとたび仕事となると、無理な目標を掲げ、現実にそぐわない予測を立て、健康に悪い選択をしてしまいがちです。こうした選択が積もり積もって行き着く先は、ネガティブ思考と失望の泥沼です。暮らし方と働き方、この2つにそれぞれ違ったルールを当てはめてもメリットはありません

それぞれを違った原則とやり方で過ごすなんて、たとえて言うなら、砂糖を使ったお菓子を自宅から一切排除しておきながら、オフィスの休憩室ではドーナツをひとつ(...のつもりが、ついつい3つも)平らげているのと同じこと。しかも、そのおかしさに気づいてもいないような状態です。

何が問題なのか

私たちは、仕事用に異なるルールを、「意識して」設けているわけではありません。3個目のドーナツを口に運ぶときに、「ダイエットなんか止めてやる」と意識しているわけではないのと同じです。

ではなぜこんなことをしてしまうのでしょう。私たちは行動を起こす前に立ち止まってじっくり考えたりはしません。つまり、わざと不合理なことをしているわけではなくて、そもそも意識が行き届いていないのです。

ならば対策は「覚醒」あるのみ。禅の思想に触れたことのある人ならおわかりだと思いますが、努力から最大の成果を引き出すには、常にあらゆる物事に意識を向けるよう心がけることが重要です。

いつも意識を研ぎすまして、自動操縦のような無意識の行動をストップさせなければ、どんな努力も水の泡になってしまいます。

禅の思想を仕事に活かすには

このシンプルな「気づき」の習慣を通して、最近ある発見をしました。私は禅の理想を私生活にだけ取り入れようとしていましたが、実は仕事にも非常に役立つということです。以下に、私が得た5つの発見を紹介します。

1.「あるべき姿」にとらわれない

どの業界であれ、会社などの組織は「我が社のあるべき姿」「自分の仕事は、人からこんな風に見られている」というようなイメージができあがっているものです。

あなたが起業家の場合でも、「エナジードリンクを箱買いして、ひたすら働き続ける」というような、ステレオタイプなイメージを持たれがちです。

あるべき姿を気にして、自分の仕事を「お決まりの型」にはめ込むのはもうやめましょう。貴重な時間が無駄になります。「あるべき姿」など存在せず、自分のやり方を貫くだけです。周囲の雑音に耳を傾けるのはおしまいにして、行動を起こしましょう。

2.適切な目標かどうかを吟味する

私たちは非現実的な目標を立ててばかりいますが、そういった目標はそもそもどこから来ているのでしょうか。私たちは多くの場合、外に目を向けて、他人のサクセスストーリーを目安に目標を決めてしまいがちです。

しかしそれは、自らの内面に語りかけ、自分にとって正しい目標を選択しているわけではないのです。他の人にとって正しい選択が自分にとっても正しいことなど、ほとんどないといって良いでしょう。

他人の成功や失敗の要因が、自分自身にも当てはまることも決してありません。他人の成功例を雛形にして目標を定めるのはたしかに楽ですが、そんな目標にはまったく根拠がないですし、それどころか危険な道かもしれないのです。目標を定めるときにはよく考え、自分に正直になりましょう。本気で達成しようと思っているならなおさらです。

また自分が成し遂げた業績を振り返ってみましょう。きちんと目標を立てた結果でなくても、ひとつひとつのささやかな成果を評価してください。

やらなかったことに目を向けるのではなく、これまで自分がやってきたことすべてを認めてあげるのです。

3.変化を生み出す

5分おきに計画を変えろと言いたいわけではありませんが、「変化のチャンスを生み出す道」は積極的に模索しましょう。過去に立てた目標が、今でも重点的に取り組むべきものかどうか、再考してみるのです。

以前からのワークフローが今でも合理的であるかの確認も大事。自分が取り組んでいる仕事の中身とその理由をよく考え、思い切って変えてみましょう。こうした「変化」はやればやるほど簡単になり、上手くできるようになっていくものです。

4.慎重に見積もり、安請け合いをやめる

私たちは常日ごろから、物事を過小に見積もり、過剰に引き受けがちです。こうした行動の影響は、自分以外にも及んでしまいます。部下の期待を裏切り、クライアントを失望させてしまうかもしれません。

見積もりを慎重にし、安請け合いもやめれば、肩の荷が下りてずっと楽になります。なくても良い外圧から解き放たれ、素晴らしい成果を上げるチャンスが手に入るでしょう

5.意図を見失わない

自動操縦のような行動はやめて、そのときそのときにやろうとしていることについて真剣に考えましょう。どのような状況であっても、自分がそこに存在して、何かをやろうとしているのには、大なり小なりの理由があるのです。

自分の意図は何なのか、できるだけ頻繁に思い起こしてください。定期的にリマインダーをセットしても良いでしょう。こうすることで、自分の言動をうまく制御できるようになるのは間違いありません。今取り組んでいることにも、その作業を一緒にやっている相手にも、きちんと注意を向けられるようになります。そして、自分の生み出した成果に、もっと満足できるようになるでしょう。

私生活でも仕事でも、何かを改善したいと願うなら、努力が必要なのを忘れてはいけません。自分を幸せにできるのは自分だけ。努力すれば、素晴らしい成果が生まれるはずです。

Zen for Non-Hippies: How I Optimize for Happiness at Work | Medium

Joelle Steiniger(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)

Image via Andrey Popov.