『世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業』(狩野みき著、日本実業出版社)の著者は、大学などで約20年にわたり「考え抜く力」を教えてきたという人物。そんなキャリアを軸に、本書では「日本の学校が教えてくれなかった『考え抜く力』を、欧米の学校での教え方をヒントに、大人、主にビジネスパーソン向けにわかりやすく伝授」しているわけです。
まずはLesson 1「『自分の意見の作り方』」に書かれた、すべての基本となる部分を見てみましょう。
ハーバード大学も提唱する「自分の意見の作り方」3ステップ
- <あること>について自分はどれだけ理解しているのか、確認する
- <あること>について理解できていないことは何か把握し、「理解できていないこと」を解決するために、調べる
- 自分の意見を持つ
(14ページより)
次にLesson2「理解を深める」から、「『本当に理解できているのか?』をチェックする7つの方法」から引き出してみます。
Tips1:5歳児に説明するつもりで話してみる
「理解しているつもり」になっていないか自分に問いただすために必要なのが、「情報を、5歳児にもわかるように説明してみる」こと。簡単な言葉で説明することによって、他人の意見や情報だけでなく、自分の意見をちゃんと理解できているかをチェックできるからだとか。(44ページより)
Tips2:カタカナ語を掘り下げる
情報を「きちんと理解する」ためには、何気なく使ってしまうカタカナ語や業界用語にも注意が必要。言葉は、誰が、いつ、どのような場面で、誰に向かってどのように発するのかによって意味が決まるものだからこそ、自分の目の前にある「言葉」の意味について、日ごろからきちんと意識するクセをつけておく必要があるそうです。(46ページより)
Tips3:英語に訳してみる英語(などの外国語)に訳してみることによって、見えていなかった「穴」が見えてくるといいます。(47ページより)
Tips4:理解できていないことを知るための「理解度チェックシート」
「理解していること」と「理解していないこと」をそれぞれ挙げ、リストを作る。具体的にいうと、左側に「検討対象となっている情報や意見について、すでに理解していること」を書き、右側には「検討対象となっている情報や意見について、まだ理解できていないこと、疑問に思うこと」をリストアップ。大切なのは、すべて書き出すこと。「理解していることリスト」の内容に対し、「本当に正しいの?」と自分でツッコミを入れるのが効果的だそうです。(48ページより)
Tips5:5W1Hでツッコミを入れる
手っ取り早くツッコミを入れるためには、5W1Hにきちんと答えられるか自問することが重要。Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)という問いに答えられるか確認してみるわけです。(50ページより)
Tips6:「信号色のマーカー」で、吟味する
情報がある程度まとまった文書として与えられている場合、信号色のマーカーによる色分けが効果的。100%理解できていることは緑、調べた方がよさそうなことは黄色、再検討が必要なことはピンクなど、色分けすれば理解度が確認しやすいからです。(53ページより)
7つめの"Tips"として挙げられた「急に意見を求められたら『よい質問』をする」など提示される"方法"は、自分自身の理解を深めるのにきっと役立つはずです。
(印南敦史)