FarnamStreet:一生懸命やっているのに、全然うまくいかないことってありますよね。ハードな練習を重ねているのに、ピアノがなかなか上達しないとか...。Bob Sullivan氏とHugh Thompson氏によると、それは「プラトー」(一時的な停滞)と呼ばれる現象だそうです。
両者は共著『The Plateau Effect(プラトー現象)』の中で、「ただ頑張り続けるのは間違った戦略です」といっています。「宇宙は毎日、頑張ることが答えだと人々に信じ込ませようとしています。私たちが伝えたいのはそのことです」
頑張ることが答えでないとしたら、何が答えなのでしょうか? Thompson氏とSullivan氏は、プラトーが起きる8つの要因を挙げ、それを乗り越える方法を教えています。
要因 1:免疫
生活習慣、人間関係、ビジネス、どんな領域でも、同じやり方やテクニックを続けていると、免疫ができてしまいます。免疫はプラトー現象が起きる主な要因の1つ。たとえば結婚生活、イタリアンレストランのニンニクの匂い、2杯目以降のビールなど...。免疫は行き詰まりを生み出します。昨日効果があったことも、今日は効果がなくなっているのです。
解決策:多様性をもたせる免疫への特効薬は多様性です。わざと物事をかき乱してみます。ラディカルになってください。新しいやり方やテクニックを積極的に試すことで、免疫のプラトーから抜け出せます。
要因 2:貪欲アルゴリズム
「貪欲アルゴリズム」は数学用語です。長期的な成果よりも、常に短期的な成果を追求する態度のことです。人生においても、数学と同じく、短期的な成果の最大化が、長期的な成果の最大化にはつながらないことが多いのです。貪欲アルゴリズムで動く人は、部分最適ばかりを探して、全体最適を無視してしまいます。
解決策:視野を広げる短期の貪欲さは悪ですが、長期の貪欲さは良い結果を生みます。貪欲アルゴリズムから脱却して、大きなタイムスケールで問題を見てください。たとえば、貪欲アルゴリズムに支配されている人は、決して医学部には行きません。医学部に行くと、何年もの間、無収入で借金だけを重ねることになるからです。1~2年のスパンではなく、10年のスパンで考えられる人だけが、将来、何億というお金を手に入れられるのです。
要因 3:タイミングが悪い
努力しているのに行き詰まっているなら、休憩が必要な時なのかもしれません。何かをやるタイミングと同じくらい、「やらないタイミング」も重要です。「どれだけ努力するか」だけでなく「いつ努力するか」もコントロールしてください。
解決策:待つタイミングが悪いせいでプラトーに陥っている場合は、待つことの大切さを思い出しましょう。休憩と静止の時間も、努力と活動の時間と同じくらい重要です。音楽における、音符と音符の間の静寂のようなものです。
要因 4:流れが悪くなる
順調に行っているように見えたのに、突然流れが悪くなることがあります。一般的に、以下の4つのパターンがあります。
資金、時間、人材など、必要なリソースが枯渇することがあります。浸食のプラトーは、重要なリソースが欠乏することで起こります。
解決策:枯渇したリソースを補えるものを見つけてください。もし、代わりのリソースが見つからないとしたら、それはもはやプラトーではありません。もしかすると、最終地点まで行き着いてしまったのかもしれません。何かを少しだけ付け加えたいのに、一定量以上の単位でしか追加できないことがあります。これは「階段関数」と呼ばれる現象です。投資を増やしているのに、少しも改善しないとしたら、階段関数によるプラトーかもしれません。
解決策:階段関数をなだらかにします。補完してくれる人やビジネスを見つけましょう。リソースをプールできるなら、うまく分散して傾斜をゆるやかにします。チョークポイントは、故障し、システム全体をスローダウンさせている部分のことです。チョークポイントがあると、物事の流れが極端に悪くなります。
解決策:チョークポイントを見つけ出し、創造力を使ってそこを迂回してください。謎の混入物の特徴は、シェフでさえそれが何であるか知らないことです。謎の混入物は、マーケットの状況や、職場の人間関係、メンバーの士気に影響を与えます。
解決策:謎の混入物を見つけるのは大変ですが、じっくり目を凝らせば次第に見えてきます。時には、謎の混入物の存在を認めること自体が重要なこともあります。見えているものが全てではないのです。要素 5:歪められたデータ
人は歪められたデータを元に行動しがちです。それは、鏡でできた大広間を歩き回りながら、あり得ないほど太った(または痩せた)自分の姿を見て重要な決断を下すようなもの。人はよく、評価対象を間違えたり、リスクを不適切に見積ったりします。また、心理的な罠にも陥ります。たとえば、一番新しく耳に入った情報からより大きく影響を受けたり、サンクコストにとらわれたり、データを思い込みで解釈したりします。
解決策:繰り返し検証する啓蒙時代、賢人たちは自分の目が信頼できないことを知るがゆえに、科学を発達させました。ポイントは、自分が世の中を色眼鏡で見ているのを理解し、データのカオスから真実を取り出すよう努めることです。
要素 6:注意力散漫
人は、マルチタスキングへの幻想から、注意力散漫に陥ります。集中力の欠如は状況への適応力を下げ、あなたをプラトーへと導きます。
解決策:ラディカル・リスニング「yes...and」戦略を通して、他者の言葉の中に真実を見つけてください。私たちはこのスキルを「ラディカル・リスニング」と呼んでいます。周囲の状況に積極的な姿勢で参加し、調和し、耳を傾け、適応するのです。
要素 7:ゆっくり失敗する
事態が少しずつ悪化していくと、なかなか気がつかないもの。事態の悪化は、しばしば精神物理学者が最小可知差異と呼ぶ単位よりゆっくり進行することがあります。最小可知差異の概念は、なぜ私たちはプラトーにつかまりながら、同じ行動をとり続けるのかを説明してくれます。つまり、努力するほど事態が悪くなっていることに気がつかないのです。
解決策:失敗を可視化する最小可知差異を理解すれば、その影響を打ち消すことができます。明確な指標を設定し、自分がどれだけ進んだかを客観的に観察してください。何がうまくいき、何がうまくいかないかを見極め、軌道修正しながら進みます。失敗を可視化することで、路線変更の必要があることがわかるのです。
要素 8:完璧主義
完璧主義は、物事を始めるきっかけを奪います。スタートするのに完璧なタイミングなどありません。また、スタートできたとしても、ハードルが高すぎれば、次の一歩が出なくなります。結局は何も進みません。完璧主義からくるプラトーは、怠惰からくるプラトーとよく似ているのです。
解決策:一歩づつ進む完璧などありえないことを受け入れてください。最初の一歩に集中して、踏み出したら、また次の一歩に集中します。To-Doタスクを細かく分割したり、わざと厳しい締め切りを設定するなど、いろいろ工夫してみましょう。
The 8 Causes of Plateaus | Farnam Street
Shane Parrish(訳:伊藤貴之)