企画書作成のたび、頭を抱えてしまう方は決して少なくないはず。しかし『社会人1年目からできる! 企画立案の教科書』(齊藤誠著、阪急コミュニケーションズ)は、なんらかの糸口になるかもしれません。
「企画を立てるためのネタの集め方」と「情報を形に変える企画のまとめ方」について、細かくまとめられたわかりやすい内容。きょうはPart4「読まれる企画書にする表現力21」のなかから、いくつかのポイントを紹介したいと思います。
1.「When」を売りにする(192ページより)
相手が気づいていない「なぜ今なのか」を説明できていれば信頼感が得られるため、"When"、タイミングを売りにしたストーリーを考えるべき。また季節を打ち出せば、逆算して企画のスタート時期が読め、提案した企画の採用決断を促しやすくなるそうです。
そして「◯◯ぶり」という情報も、希少価値を感じさせて有効。たとえば「5月21日には金環日蝕を観測できる」を「5月21日、129年ぶりに金環日蝕を観測できる」とすれば、「見逃せない」という次期限定の必須感につながるというわけです。同じく、なにかしらの記念日をみつけることも大切。
(1)When=タイミングを売りにしたストーリーを考える
(2)歳時記(季語)を見出しに使う
(3)「◯◯ぶり」で希少価値をつける
(4)記念日を見つける
2.「Who」でストーリーをつくる(196ページより)
ストーリーは"Who"、人の要素を入れると簡単につくれるそうです。企画内容や相手のキャラに合わせて登場させる人を選び、その人の経験をストーリー化して「その苦労の時を救ったのが、この商品」というような流れをつくるわけです。メジャーな人物を絡められれば企画の威力が高まるため、著名な人物を(仮)として書き入れ、その人のパーソナリティを伝えるとさらに効果的。
(1)Who=ヒトを売りにしたストーリーを背景に入れる
(2)人の経験をストーリー化する
(3)知名度のある登場者を(仮)で入れる
(4)その人のパーソナリティを伝える
3.「Why」で提案の根拠を売りにする(200ページ)
なぜ、今この企画なのか? 理由や根拠を論理的に説明すれば、企画のストーリーができあがるそうです。理由に説得性がない場合は、背景に「意外性」を入れると驚きを与えられるのだとか。たとえば、「お値段すえおきで機能が向上」など、アンビバレント(相反する状況)が意外性となるわけです。また、なんらかのかたちで「世の中をよくしたい」という思いを伝えると、意義が企画の「押し」になるといいます。
(1)Why=理由や根拠を売りにしたストーリーをつくる
(2)意外性を見つけて書く
(3)「世の中をよくしたい」思いを伝える
4.「What」でモノ・コトを売りにする(202ページ)
似ている商材が並ぶなかでイメージを差別化するなら、"What"モノ・コトを売りにしたストーリーが最適。たとえばウーロン茶なら、「中国四千年の歴史」をストーリーに入れるなど。また、耳に残るようなネーミングも重要。
それから「世界初」「新記録」「最速」など、「初・新・最」をつけるとナンバーワンな企画だと思われて効果的。さらに企画屋商品の対象者が自分だと気づかせるような「あなた向け」がわかるカテゴリー分けも大切だといいます。
(1)What=モノ・コトを売りにしたストーリーを考える
(2)ネーミングを工夫する
(3)「初・新・最」をつける
(4)ターゲットをカテゴリー分けする
5.「Where」で場所を説得材料にする(205ページ)
「◯◯といえばここ」と、商品やサービスのゆかりの地(場所)を書き入れると、"Where"場所を売りにしたストーリーがつくれるそうです。また会社や自宅での日常風景を取り入れ、「この場所で、この瞬間に、こんなことで困った。だからこんな企画がいい」と具体的に書かれていると、共感を得やすいのだとか。
同様に、「お年玉商戦に妙案あり」など場面の特性がわかるまで落とし込んで書けば、企画の舞台がイメージで来て説得力は倍増。
(1)Where=場所を売りにしたストーリーを考える
(2)会社や自宅での日常の場面を盛り込む
(3)絵づくりを意識する
(4)舞台を設定する
本書には他にも、すぐに役立つアイデアがたくさん盛り込まれています。企画で悩んでいる方は、一度手にとってみてください。
(印南敦史)