いま、本屋の音楽関係のコーナーに行くと、増えてきたなーと思うのが、音楽療法関連の本。日本では1990年ごろから医療関係者の間で話題にあがるようになってきた比較的新しい概念ですが、ここ数年さらに注目をあびています。
音楽療法の概念はもともと米国、英国発の物で米国ではMusic therapyといって、1945年頃から、いくつかの大学で学位が制定され、心理学、また一般的なセラピーに対する関心の深さとも相まって発展してきました。
日本では、医学の分野ではなく(医療保険等の対象にならない)ので、主に教育、福祉の分野で活用されています。
音楽療法の範囲は幅広い
音楽療法というと、「治療」という感じがしますが、原語はMusic Therapyですし、音楽心理学や、ライフスタイル構築とも絡んで、もっと広い概念です。高齢者、自閉症患者、発達障害者、などをターゲットとしたものが多いですが、健常者へのリラクゼーションセラピーとしても行われています。
音楽療法士になるには
日本音楽療法学会の認定校で一定のカリキュラムを修了すると、音楽療法士試験の受験資格を得る事が出来ます。学会員は現在6000名ほどで、その内、2000名ほどの資格保持者がいます。また兵庫県、岐阜県など、地域で独自の養成・認定システムを行っているところも有ります。
職業としての音楽療法士
音楽療法士として、生計をたてるのは現状ではなかなか難しく、医療機関、福祉機関の職員として、音楽療法を担当したりというパターンが多いようです。またフリーでセラピーや指導をおこなう方もいます。
どんなことをするの?
たとえば、高齢者に子供の頃に聞いていた歌を唄わせることで、記憶力によい効果があるといったことが知られています。また音楽演奏を通じてのコミュニケーション、自己実現は脳神経に関わる疾患への改善を行うことが出来ます。このように、大きくは音楽を聴く、体験する「受容的音楽療法」と楽器を演奏したり、唄ったりする「能動的音楽療法」のふたつに分かれます。療法士はこれらを組み合わせ、体験者にとって、もっとも良い方法を取っていきます。
すでに日本は世界最高レベルの高齢化社会になりつつ有りますし、また自閉症や、うつといった心理的な部分とも密接に結びつく障害もここ数年、よりしっかりと認知されるようになってきて、音楽療法の世界はこれからまだ注目を浴びそうです。
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音楽にはまだまだ私たちの知らない価値が秘められているのでしょうね。
(早川大地)