プライバシーを保護するブラウザ拡張機能はたくさんありますが、いったいどれが「ベスト」なのでしょうか? 自分に必要なツールはどれ? 今回はおすすめのブラウザ拡張機能を紹介します。
プライバシーを守るツールは大きく3つのグループに分類できます。第三者からのトラッキングを回避するアドオン、広告やスクリプトをブロックするアドオン、その他、オンラインの安全性を高めるセキュリティツールです。
スクリプト、ポップアップをブロックする『AdBlock Plus』
AdBlock Plusなどのブロック系ツールは、第三者のスクリプトがユーザーデータを勝手にどこかに送信するのを防ぎます。ただし、使い方を誤るとサイトのレンダリングが崩れることもあるので注意が必要です。
AdBlock Plus(Firefox/Chrome)は、悪意あるサイトへのアクセスを止めたり、第三者の追跡クッキーやスクリプトを無効にしたりします。
メニューから簡単にオン・オフできて、使い勝手のいいアプリです。上級者なら購読リストやアクティブリストを自分流にカスタマイズしてみましょう。初心者は初期設定のままでOKです。
代替ツール
基本はAdblock Plusで十分ですが、同等機能を持つ代替ツールも紹介します。
『NoScript』(Firefox)と 『ScriptSafe』(Chrome):どちらのツールも、許可を与えていないサイトのスクリプトを無効にします。Java、JavaScript、Flashなどをブロック。強力なツールですが、サイトの表示に必要なスクリプトまでブロックすることもあるので注意です。また、フィルターを使えばAdBlock Plusでも同じことができます。
『FlashBlock』(Firefox/Chrome):ウェブビデオなどのFlashをブロックするツールです。ブロックできるのはFlashだけですが、大変人気のあるツールです。例えば、自動再生するYouTubeのビデオを止めてくれます。Flash以外をブロックしたいならAdBlock Plusを使いましょう。
『Better Pop Up Blocker』(Chrome):Chromeの標準機能ではブロックできない新規タブ・ポップアップを止めてくれます。AdBlock Plusにも同じ機能がありますが、しつこいポップアップに悩まされているならBetter Pop Up Blockerを試してみましょう。
トラッキングを回避する『Disconnect』
最近、トラッキングやクッキーをブロックできる拡張機能が充実してきました。以前、ウェブのトラッキングを回避する方法を紹介しましたが、さらに使えるツールが増えています。
Disconnect (Firefox/Chrome/IE/Safari)はおすすめのツールです。便利な機能も増え、データベースも充実。セキュアWi-Fiや帯域最適化機能は他の追随を許しません。
第三者のクッキーをブロックしたり、スクリプトのオンオフを簡単操作で切り替えられたりします。また、FacebookやGoogle、Twitterなどのソーシャルネットワークからのトラッキングもシャットアウト。セキュアWi-Fi機能で、クッキーを盗んでユーザー情報にアクセスするセッションハイジャックも防ぎます。
代替ツール
Disconnectがイチオシですが、同じ機能を持つ他の拡張機能もあります。
『 Do Not Track Me』 (Firefox/Chrome/IE/Safari):サイト訪問時に追跡クッキーやスクリプトが読み込まれると、ブラウザのツールバーで通知してくれます。もちろん無効設定も可能。カラフルなUIで使い勝手も上々です。Do Not Track Meは自動でスクリプトをブロックはしません。スクリプトを無効にするには手動で設定します。
『Ghostery』(Firefox/Chrome/Safari/IE):他のツールと同様、追跡クッキーやスクリプトをブロックします。また、ブロックした内容を表示してくれるので、無害なものは手動で有効にもできます。巨大なデータベースを持っており、有害なクッキーやスクリプトはほとんどブロックできるのです。最近こそアップデートされていませんが、まだ十分に使えます。
『Priv3 』(Firefox):押し付けがましくない「控えめ」なアドオンです。ソーシャルウィジェットやプラグインの読み込みをブロックして、個人データがソーシャルネットワークに勝手に送信されるのを防いでくれます。FacebookやTwitterはサイトを開いていない時でもあなたを追跡しています。Priv3を使えばこれを回避できるのです。
ツールの使いやすさは個人の好みにもよります。いろいろ試して自分に合うものを見つけてみてください!
その他の「必須な」プライバシーツール
このほかにも、オンラインの安全性を守るために必須のセキュリティツールがあります。
『HTTPS Everywhere』 (Firefox/Chrome)も忘れてはいけないツールです。インストールしておけば、SSLが使えるサイトではいつでもSSLに切り替えて接続してくれます。つまり、手間いらずで安全なブラウジングが可能。まれにHTTPS非対応のサイトだと表示が崩れてしまうことも。必要に応じてオン・オフを設定してください。
「Virtual Private Network(VPN)」は、通信経路を暗号化して盗聴を防いでくれます。ログを最小限しか残さず、強力な暗号を使っていて、複数の国で使えるサービスを探してください。もちろんユーザーの評判もチェック。安易に海外のVPNを選ばないほうがよいでしょう。VPNプロバイダーが遠い外国にあるからといって安全とは限りません。無料サービスを試したいなら、「Hotspot Shield」、「Hideman」、「Tunnelbear」あたりから選んでみてください。
アンチウイルスとアンチマルウェア系ユーティリティも忘れてはいけません。また、ソフトは常に最新の状態にアップデートしておくこと。近年、ウイルスやマルウェアの危険性はますます高まっています。必須ではないが推奨できるセキュリティツール
さらに安全性を高めたいなら、次のツールを試してください。
『Web of Trust』(Firefox/Chrome/Safari/IE):サイトの信頼性をランク付けして教えてくれるツールです。また、そのサイトが、マルウェアや追跡クッキー、スクリプトを読み込ませるような悪意あるサイトかどうかもわかります。ブロックはできませんが、サイトの安全性を確認するにはよいツールです。
メールやチャットの暗号化:デスクトップのセキュリティを一段階アップさせたいなら、メールとチャットを暗号化しましょう。おすすめの暗号化クライアントは『Pidgin』(Windows)と『Adium』です。ほかにも以前紹介した『TorChat』があります。Gmailなどウェブメールには『SafeGmail』や『Mailvelope』が使えます。その他のメールクライアントには『PGP』もよいでしょう。
以上、さまざまなセキュリティツールを紹介してきました。よくわからないから使っていないという人は、まずは今回おすすめしたツールを試してみてください。
セキュリティツールを試すのにリスクはほとんどありません。せいぜい、PCが少し遅くなるか、ただ役に立たないだけです。自分に合ったツールを使いこなして快適なウェブライフを過ごしてください。Alan Henry(原文/訳:伊藤貴之)
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