先週は毎日、仕事場近くのカフェで1時間、メールなどの処理をして過ごしてみました。その後で職場に戻ると、当然、Eメールのチェックもあまりせずに済みました。このことから私が学んだのは、働く環境を一新することで、集中力と生産性が増す、ということ。
これは一定時間に区切ってやるべきタスクに取りかかる「タイム・ボクシング」の概念に似ていますが、より物理的な性質を反映させて「ロケーション・ボクシング」と呼ぶ方が適切でしょう。
能力を必要なところに集中させるのは難しい
まず、普段、どのように思考しながら仕事に取り組んでいるかを考えてみます。筆者の場合は、次の4つのタイプに分けられました。
- デザイン思考:視覚的なデザインを描いたり、ユーザー体験について考えるとき
- コード化思考:新しい性能を加えたり、技術的問題を解決するとき
- 実務的思考:社内コミュニケーションや面接をしたり、販売促進の電話をかけるとき
- サポート思考:間違いを修正したり、RescueTimeを使っている人からの質問に答えるとき
タイム・ボクシングは結構使えるアイデアですが、少し注意散漫な性格の筆者には難しいようです。たとえば、何か作業しているときにメールが飛び込んできて何時間もそれに費やすことになり、せっかく苦心して組んだ予定が崩れることもあります。また、カスタマーサポートモードからデザインモードに思考のスイッチを切り替える、というのもそう簡単にはいかないのが現実です。
これに対する解決策となるのが、ロケーション・ボクシング。場所によって仕事内容を限定するというわけです。物理的環境を変えると、頭の中での仕事内容も切り替えやすくなります。理由は以下の通り。
各作業に合った仕事場所は、すぐ近くにある
1つのことにかなり集中しないといけないときは、カフェでは少し気が散ります。しかし、短時間で終わる繰り返しの多い仕事には、この場所はもってこいです。1日中受信し続けるEメールをチェックするには、カフェラテがよく合います。
対して、コード化やデザインの仕事をするときは、2つのモニター画面で作業しないと、うまくいきません。モニターが2つあれば集中できるのです。13インチのラップトップ画面は、コミュニケーションに適していますが、他の作業には向きません。
周囲の環境を変化させると、それまで行っていた仕事の余韻を静め、新しい作業に集中できます。
しかし、各々の仕事によって場所を変えるのは、現実的ではありません。その日の残りの時間を使って、ほかの仕事から切り離して違う場所で行える作業を1つ見つけるくらいが、最も効果的なのかもしれません。
いつもの職場でロケーション・ボクシング
ただ、時には職場を離れられないこともあるでしょう。以下に紹介するのは、そんな時に周囲の環境を変える秘訣です。
・机の上のものの配列を変える
仕事内容を変えるタイミングで、モニタを動かしてみてください。きれいで散らかっていない机で行いやすい仕事もあるでしょうし、写真や小物でいっぱいの机の方がやりやすいこともあるでしょう。机のものの配列を変えるだけで、脳を刺激して違うモードに切り替えられます(*)。たとえば、私の机は高さを変えられます。コード化思考は立ちながら行い、デザイン思考は座って行います。
*作家でありデザイナーでもあるグラハム・ヒルは、「ものは少なく汎用的である方が快適さに繋がる」と言っています。彼の提唱するConvertible Tricks(参考・英文)は、本稿でふれている「機能的な職場環境」として理想的なもののひとつといえるでしょう。・空いている席を見つける
ラップトップで仕事をしているなら、会社で使われていない部屋を見つけ、頭を混乱させることなく、思考モードを切り替えることができるでしょう。
・場所を移動するだけでもスイッチを切り替えられる
環境を変えられないなら、単にその時いる場所から離れ、歩くなど違う行動を取り、脳に今までと違う思考をするよう合図を送ってください。
Eric Ravenscraft(原文/訳:駒場咲)
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