誰かの行動にイラッとすること、ありますよね。でも、もしかしたら、自分だって誰かをイラつかせているかもと考えたことはありませんか? 家族や友だち、その他の人が、遠慮してはっきり言わないだけかもしれません。そう考えた私は、対策を立てることにしました。
自己改善について語るのは簡単ですが、実際には、自分の欠点に気付くことそのものが簡単ではありません。問題は、あなたが何かまずいことをしていても、たいていの人は「もうこんなヤツに近づきたくない」という気持ちになるまで、何も指摘してくれないことです。私は自分自身が他人の行動にイラつくことが多いので、友人や家族もそうなんだろうなと思っています。
また、そもそも人間というのは、オフィスやレストラン、あるいは携帯電話の使い方に関しても、他人の行動を煩わしいと感じる生き物なのです。
自分がどういう風に周りの人たちをイラつかせているのかを知るために、意見を聞く場を作りたいと思いました。私がどういう時に人を煩わせているのかを正確に知り、実際に何らかの対策を立てられるよう、友人や赤の他人に私の行動を評価してもらいたかったのです。
以下に、私がやってきたことをまとめていきます。
友人や家族、他人に匿名で批評してもらう
自分自身が変わるという難事業の前に、まずは匿名で意見を集めたり、喫茶店で話し合ったりすることにしました。
友人や知人の大多数については、匿名で意見を聞くのがいちばん良い方法だと私は思いました。そのためにいちばん簡単なのは、ネットを通じて友人や家族から匿名で意見を集めることだと考えました。私は、「Failin.gs」というウェブアプリケーションを利用しました(現在は「YouTell」というサービスになったようです)。
「Failin.gs」はアカウントを作成すると、FacebookやTwitter、あるいは直接電子メールで共有できる、ダイレクトリンクをもらえます。私はリンクをFacebookと電子メールで共有し、「自分が気づかないうちに人をどんな風に不快にさせているか知りたい」ということを説明しました。
少しだけ調査の範囲を広げるため、週末にレストランのウェイターやバーテンダーに手渡す小さなカードも作りました。たいていの人はここまで必要ないと思いますが、私はいつも、自分がどういうタイプの客なのか知りたいと思っていたのです。
じかに会って意見を聞く
親しい友人や家族、あるいは上司なら、匿名で話を聞くのではなく、直接意見を聞くほうがいいという人も多いでしょう。仕事の勤務評定と同じようなものです。私は2人の親しい友人と話してみて、話し合いを有意義なものにするガイドラインをいくつか思いつきました。
・実行可能な意見だけを述べてもらう:自分ではどうしようもないことを責められたら、話し合いはとんでもないことになってしまいます。あなたがどういう意見を求めているのか、最初からはっきりさせておきましょう。もっとも、仲のいい友人なら、「お前の足がでかすぎるから気に入らない」などという意見をあなたが聞きたいのではないことくらい、わかってくれているはずですが。
・批判だけでなく解決策も聞く:実行可能な意見を求めるだけでなく、どうすればその問題が解消できるかも尋ねましょう。自分がいつ、どんな風に、人を不快にさせているかを知るのは、あくまでも解決策を見つけて改善するのが目的なのです。
・口を挟まず相手の意見を聞く:相手の意見を聞いている途中で口を挟まないこと。いろいろと説明や弁解をしたくなるとは思いますが、口を閉じて友人の言葉に耳を傾けましょう。
友人たちの批判は、「Failin.gs」経由で受け取った匿名の批判と同じようなものでしたが、対策を考える上で役に立つ情報も増えました。匿名の意見と、直に聞いた意見の両方が揃ったら、自分がひどい人間のように思えてくることでしょう。それはいいことです。さあ、それでは問題の解決を考える番です。
批判を聞いて、実行可能な対策を考える
大切なのは、あなたがどういう人物なのかについて、完全に第三者的な意見を集めることです。集まった批判の多くは、自分でも気づいている部分に関するものでしょうが、自分の知らなかった癖に気付かせてくれる意見もあるはずです。まずはその意見が、時間をかけて検討するに値するものかどうかを判断し、分類しましょう。「人を不快にする行動」、「風変わりな個性」、「癖」などに分けるといいと思います。
取り組むべき批判を分類する
私に寄せられた23件のコメントのうち4件は、人づきあいに関するものでした。例えば、「週末の昼間には会う約束ができない」とか、「計画を立てておきながら、ギリギリになって取りやめることがある」とかいった批判です。まさに彼の言うとおりなので、これらの意見は「人を不快にする行動」に分類しました。
その他に多かったのは、私があまり感情を表に出さず、不機嫌そうに見えることが多いという批判でした。これは、「ぼそぼそ喋るので注文が聞き取りづらい」というウェイターのコメントと共に、「風変わりな個性」に分類します。
自分でも気付いていなかった奇妙な癖への文句も2件ありました。どうやら私は退屈すると、何かに憑かれたようにヒゲをいじっているらしいのです(髭を生やしている時には、ですが)。そんな風に見られるのはゴメンなので、これは「癖」に分類しておきましょう。
集まったすべての批判についてこの作業を繰り返します。それぞれの意見を真剣に読み、自分にとって本当に問題なのはどれかを判断しましょう。他人にどう思われているかを気にしすぎるのもよくありませんから、直したいものだけ対処を考えます。
解決策を考え、一度に1つずつ対処する
多くの場合、気付かないまま人に不快な思いをさせるあなたの行動は、「指摘してもらった」ということだけで直ってしまいます。例えば、私はしょっちゅう計画を取りやめにするのですが、これなどは自分で計画をきちんと実行するように心がければいい話です。不機嫌そうな顔つきというのも同じです。私はこの2点を忘れないようにして注意を払い、時間をかけて直していくつもりです。
どれを無視すべきか知ることも大切です。批判の中には、見当違いのものや、気にかける必要のないささいなものも交じっています。ある人に「レストランでいつも最初に注文しようとする」と言われました。でも、これはまったく事実ではありません。その証拠に、「あなたは食事を注文する時におとなしすぎて自分から言い出さない」というコメントもあったのです。ある時の状況だけが誰かの記憶に残るのはよくある話です。指摘については考えてみるべきですが、自分を責める必要はありません。
癖というのもなかなか厄介です。もし、誰かを不快にさせたり迷惑をかけたりするような行動を繰り返しているのなら、それを何とかする段取りを立てなければなりません。「悪い癖をなくす方法」は以前に紹介したことがありますが、ここでも同じやり方が役に立ちます。これまでのステップの結果、あなたの癖は「公の話題」となっていますから、次はその癖を徐々にやめていきましょう。私の場合は、ヒゲをいじったら手を顔から払いのけ、週末の昼間にも人とつき合う習慣をつければいいわけです。
結局は、誰かと一緒にいるときには、自分の行動に気を使うのが大切です。友人から聞いた批判は、気づかないうちに人をイラつかせるのを防ぐだけでなく、自分では今まで思ってもみなかったような形で、あなた自身を磨くのにも役立ちます。そもそも、自分では気づきもしないままに人を不快にさせるのは願い下げですからね。
Thorin Klosowski(原文/訳:吉武稔夫、合原弘子/ガリレオ)
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