でも、「頭を使わない英語勉強法」とは具体的にどのようなものなのでしょうか? ポイントは、次の3つだそうです。
1.訳さない(9ページより)
「英語を正しい日本語に訳す」能力が求められた従来の英語勉強法を、著者は真っ向から否定しています。それどころか、「訳」は脳に負担をかけるだけで、効率がとても悪いのだとさえいいます。つまり、こういうことです。
バイリンガルたちのやり方に答えがありました。バイリンガルたちのしてきた勉強法は「真似をする、声に出す、繰り返す、ひたすら声に出す」というものです。(中略)「体を使って覚える」ことが学習のメインだったのです。
(27ページより)
だから、「文法のルールを理解していなければ、英語をできるようにはならない」という"文法神話"はナンセンス。その証拠に、バイリンガルたちも文法のルールを知らないそうです。
2.暗記しない(9ページより)
英語を学ぶに際し、暗記力があるかないかは無関係。むしろ、暗記しようとすればするほど、効率は落ちるといいます。でも、頭を使わずに脳をだます方法を使えば、おぼえやすくて忘れにくく、使いやすい英語を身につけられるとか。ポイントは、著者の塾に来てから1週間で信じられないほどの上達を遂げた、俳優のえなりかずきさんの言葉に表れているそうです。
「先生が吹き込んでくれたセリフを何回も聞きながら、話せるようになっている自分を想像して、あとはそれを立って体を動かしたり、人に見てもらったりしながら、覚えてきただけです」
(78ページより)
暗記するのではなく、演じるようにしゃべって心に刻めばいいというわけです。
3.興味がないことはやらない(10ページ)
大切なのは「一生使うことのない英語」をおぼえることではなく、自分が話す可能性のあることだけを、きちんと話せるようになること。そうすれば、段違いに「ペラペラになる」スピードが速くなるといいます。たとえば「一石二鳥の英語勉強法」として著者が紹介しているのが、好きな英語の歌を一緒に歌って、歌詞をすべておぼえること。誰しも中学生時代に経験があるに違いない、あの方法です。
英語の歌を学習に取り入れるメリットは、リズム、発音、イントネーション、アクセントなどの発音に関わるすべての要素が上達することです。
(105ページより)
突き詰めていけば、著者の主張は基本的にオーソドックスです。つまりは、従来の"常識"から離れ、ちょっとヒネリを加えれば予想以上の効果が生まれるということなのかもしれません。
(印南敦史)