ライフハッカー編集部さま
カメラに「HDR」というオプションがあるのですが、どう使えばいいのかわかりません。写真がきれいに撮れるかと思ったら、ピンぼけ写真になってしまいました。何がいけないのでしょうか?
携帯カメラに困惑(Confused Cameraphone)より
携帯カメラに困惑さまへ
こんにちは。HDRは、「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ合成)」の略語で、古くからある写真技術です。専用アプリもありますし、最近のiPhoneやAndroid端末のカメラには標準で備わっています。写真をきれいに撮るための技術ですが、場面によって使い分けが必要。今回は、HDRの基礎知識と使い方を紹介します。
HDRのしくみ
HDRは、写真の「ダイナミックレンジ」を広げるための技術です。ダイナミックレンジとは、写真で表現できる明暗の差のこと。より肉眼に近い写真が撮影できます。露出の異なる3枚の写真を撮影し、編集ソフトなどで合成すればHDR写真になり、スマートフォンのHDRモードは、この作業を自動で行っています。
Photo by Mszklanny.
これが一般的な撮影モードよりも時間がかかる理由です。一回のシャッターで、3枚の写真を撮影しているわけです。上の写真を見てください。スマホで撮影したものではありませんが、HDRの仕組みがよくわかります。
HDRを使うとき
HDRは写真をきれいに撮るための技術であり、特定の状況下、例えば次のような場面で効果を発揮します。
Photos by Jacob Reiff.
風景:広大な風景写真では、空と大地のあいだのコントラストが大きくなります。通常の撮影方法ではきれいな写真はなかなか撮れません。HDRを使えば、大地を暗くし過ぎず、空もきれいに撮影できます。その逆もしかりです。
直射日光下でのポートレイト撮影:きれいな写真を撮るには「照明」が大切なのは常識です。しかし、直射日光の下など光の量が多すぎる場所では、影が濃くなり過ぎたり被写体がギラついてしまったりします。HDRならこうした環境下でもきれいな写真を撮影できます。
暗い場所や逆光:明かりの少ない場所や逆光など、写真が暗くなってしまう状況下でも、HDRモードでは白飛びを起こさずに写真全体を明るくできます。
HDRを使ってはいけない時
もちろん、HDRが逆効果になるケースもあります。次の状況下では使うべきではありません。
Photo by William Hook.
動きのある写真:上の写真のように、被写体が動いているときにHDRモードを使うと、写真がブレやすくなります。HDRは3枚の写真を撮るため、その分だけ被写体が動いてしまうのです。
コントラストを強調したいとき:写真によっては、暗部と明部のコントラストが大きいほど、きれいに見えるものもあります。つまり、影やシルエットを強調したい場合です。HDRを使うとそうした効果が弱まってしまいます。
色鮮やかな被写体:暗すぎたり明るすぎたりする場所なら、HDRを使えばより鮮やかな色を再現できます。しかし、すでに十分色鮮やかな被写体を撮るときに使うと、鮮やかさが逆に消えてしまいます。
大抵のスマートフォンのHDRモードでは、同時に2枚の写真を撮ってくれます。HDR写真とノーマルな写真です。つまり、常にHDRモードで撮影しておけば、撮影時間が長くなるものの、あとでノーマル写真と比較できるようになります。
写真撮影はとにかく実験してみるのが一番。実際に何枚か撮影して、仕上がりを確かめてください!
ライフハッカーより
Whitson Gordon(原文/訳:伊藤貴之)
Title photo by Alexis D.