すぐに子どもができる人もいますが、もちろんそうでない人もいます。私も妊娠する前は、1ヶ月程度毎晩夫婦の営みを続けるだけで、自分が望めばいつでも子どもができるのだろうと思っていました。しかしヒトのカラダはそんなに都合良くできていません。なので妊娠の予定を立てたいと考えるなら、多少の余裕を持ちましょう。また自分の思い通りにならなくても、ストレスを感じないようにしましょう。このテーマについては、『あなたの受胎能力を管理する』が参考になります。子作りをまだ考えていない人も、女性のカラダについて詳しく知ることのできる良書です。
2.最初の数ヶ月は親に課された試練である「赤ちゃんの泣き声がうるさいのも、睡眠サイクルが気まぐれなのも、授乳が大変なのも、ひとえに親を忍耐強くするためのものではないか」と思うことがあります。正気を失わずに最初の数ヶ月を切り抜けられれば、あとは大丈夫。この期間は睡眠、入浴や一般的な「生活」に時間がとれず、地獄のような日々だからです。
先輩のパパ・ママから「子育ては大変よ」と言われていましたが、毎晩2時間ごとに起こされる生活が数ヶ月続くという状況は、実際に経験しなければわかりません。泣き叫んでいる赤ちゃんをなだめる。ママだけでなくパパにも起こりうることですが、以前より太ってしまった自分のカラダと向き合っていく。「らしくない」自分に数ヶ月間どころか数年間戸惑いを覚えてしまう。
とはいえ、それが悪いものであるほど切り抜けなければなりません。とりわけ、産後うつに苦しむママは助けを求めることを躊躇しないこと。もちろんこの期間には、幸せに満ちあふれた素晴らしい瞬間もあります。時間が経てば懐かしく思い出すこともあるでしょう。この試練に再び出会っても、力強く乗り越えられるほど自分自身が成長しているはずです。
3.睡眠不足に陥ったり、眠れなかったりすることもある乳児期はもちろん未就学期をすぎても、子どもが夜中の悪夢におびえたり、両親のベッドに潜り込んできたり、学校に間に合うように起こすのが一苦労だったりと、睡眠に問題を抱えるかもしれません。私の娘は7歳で、夜はまだ私たち夫婦のベッドに上がってきます。しかしこういったことは徐々に改善されてくるとは思います。
賢明なアドバイス:子どもを夜中に親のベッドにいれてあげるなど、一人前になるまで続けて欲しくない夜の習慣は、最初から子どもにさせないこと。
4.赤ちゃん用のアイテムや洋服はそれほど必要ないベビーカー、チャイルドシート、ベビーサークル、ゆりかご、プレイマット、ハンモック、おしゃぶり、よだれかけなど、赤ちゃんにはたくさんのアイテムが必要だと思いがちです。しかし実際は、おそらく予想の半分も必要ありません。お金は節約しましょう。
多くの新米パパ・ママは、子どもが退屈するのではないかとか、定期的な刺激が必要じゃないかと心配します。けれども現実のお赤ちゃんは、寝ているか、目が覚めて泣きながらおっぱいを要求しているか、満腹になってまた眠るかくらいしかしません。よちよち歩きを始めたからといって、子どもの注意を引くためにやたら多くの手段を持つ必要はありません。なぜなら小さな子どもにとっては「全て」が興味の対象だからです。むしろ、子ども向けの安全対策が重要です。また子どもは、あっという間に新しいおもちゃに飽きて放置しがち。バザーの時期が来るまで赤ちゃんグッズやぬいぐるみでガレージが一杯になった経験があります。今となっては「なぜおもちゃをDIYせずに、ブロックを買ってしまったんだろう」と後悔しています。
同様にこれほど多くのベビー服を買う必要はなかったなと反省しています。少なくとも新品の購入は不要です。家族や友人がかわいい洋服を贈ってくれるし、子どもはどんどん成長するので一度も袖を通さないまま着られなくなるものもあるからです。もう一度子育てするなら、セール品か中古品で、2週間分の洋服を買いそろえる程度にとどめるでしょう。確かに子どもはよく汚すので、もう少し買い足す必要があるかもしれませんが、状況を見極めてからでも遅くはありません。
5.予期せぬ出費に注意最初の数年間、大量に必要となるものがあります。それは、おむつです。そんなことはすでにご承知でしょうが、どれくらいのおむつを買うことになるのかまだ甘くみているかもしれません。おむつの割引クーポンをゲットするためだけに、新聞を購読する価値があるくらいです(海外の新聞にはよく日用品のクーポンが折り込まれています)。
子どもの一生を通して、その他の費用も前ぶれなく発生します。たとえば音楽レッスンには一ヶ月で数百ドルかかりますし、修学旅行の費用、ベビーシッターの費用、薬代、医療費も驚くほどかかります。おそらく一番の驚きは、大学の学費よりも高い保育園の費用でしょう。本業の仕事をやるために保育園に預け、その費用を稼ぐために、副業をやらなければならないくらいです。くれぐれも、赤ちゃんアイテムにかけるお金は少なめにし、予期せぬ出費に備えておきましょう。
6.子どもと一緒に自宅で働くことも可能子どもがいる自宅で仕事をしやすい時期は、歩き始める前と、「お仕事中、パパ・ママは忙しい」ということを理解できるくらい大きくなった後です。一人遊びを上手に楽しめる子どもなら、自宅で仕事をしやすいかもしれません。ただそれでも、仕事と子どもに意識が分散していると、親としての罪悪感を抱くかもしれません。一日に何度も「ダメ、ママ(パパ)は忙しいの」と子どもに言うのは、気が引けるでしょう。
なので、たとえ在宅勤務が可能であっても、子どもが歩きはじめ、誰かが見守ってやらなければならない歳になったら、ベビーシッターなど第三者の手を借りることも検討すべきだと思います。
7.子どもが一般的な成長の目安に満たなくたって心配無用私の娘が歩き始めたのは、13ヶ月になってから。これは多くの育児書で「この時期までに歩かなければ受診を要する」と記述されているくらい、遅いタイミングです。もちろん私はとても心配しました。また、娘は保育園の他の子どもたちよりも、おむつが取れるのにも時間がかかりました。見知らぬ人が、公衆トイレで「その子、おむつをするにはもう大きいんじゃないの?」と注意してきたこともあります。見知らぬ人からのおせっかいな子育てアドバイスも、親が慣れるべきもののひとつです。
しかし振り返ってみると、子どもはそれぞれのスピードで成長していくのだと思います。私の娘は、歩き始めるのは遅かったけれど、その分、話し方を学ぶのにエネルギーを使っていました。話す、歩く、読むを、子どもに急がせないこと。子どもはいずれにしろ、あっという間に成長します。
8.写真や動画はつとめて撮る最初の数年は、子どもの写真や動画を定期的に撮影するでしょう。しかし大きくなるにつれて、その頻度は減っていくものです。子どもはあっという間に成長します。その姿を撮りそびれて後悔することはあっても、撮りすぎて後悔することはありません。意識して、写真や動画を撮るようにしましょう。
写真や動画を撮影したら整理する習慣をつけるといいかもしれません。整理できていないと、受信トレイに溜まった大量のメールのように、画像や動画がぐちゃぐちゃのまま放置されかねません。
さらに重要なポイントは、画像や動画をローカルとオンラインの両方にバックアップすること。子どもの画像・動画ほど貴重なデータはありません。ツールとしては、自動バックアップできる『Crashplan』がおすすめです。
9.外出が以前とは別物になる親になったら、時間の過ぎ方が変わります。走って5分で行けたお店にも、荷物をまとめて、チャイルドシートを調節して、ぐずぐずして、45分はかかります。
外食は、まったく新しい体験になります。床にこぼしたシリアル、テーブルから転げ落ちたクレヨン、怒り顔の店員さんなどに対処しなければなりません。夫婦水入らずでデートできたとしても、結局、子どもの話に終始するひとときとなるでしょう。
10.以前と同じ自分ではいられない子育ては、親を変えます。ある程度の予測はしていましたが、これほど根本から自分が変わるとは思いませんでした。一晩にしてパパ・ママになるわけではなく、自分の価値観、物の考え方や習慣が、子どもというたった一つの生物によって再編成されていくのです。
具体的に言うと、
- 生活習慣がいい方向に変わります。食事の栄養、車の安全運転、賢いお金の使い方、長生き、美徳の実践について、より考えるようになるはずです。
- うんちについて考えるのが、もはやタブーではなくなります。
- 伴侶との関係が変わります。それがよりいいものになるのか、悪いものになるのかはわかりませんが、子育てが伴侶を変え、伴侶に対する見方を変えるのです。
- これまでの娯楽は放棄しなければならないかもしれません。
- 自由な時間は、当たり前ではなくなります。
- 楽しみが増えよりクリエイティブになります。ドッグウェアを開発したり、歩道で絵を描いたり、エンドウ豆を魅力的にする方法を考えるといったタスクは、以前の私のTo-Doリストには、存在しませんでした。
- それまで想像できなかったような愛情や絆を経験できます。
そして、最後にもうひとつ。
ここに書いたものの中には、ネガティブなものもあります。しかし、一見大変そうなことや面倒くさそうなことでも、ずっと自分を苦しめるわけではありません。「親としての自分」から新しい発見がたくさんあるでしょう。自分をより強くしてくれるものや、傷つきやすくするものなどです。作家のエリザベス・ストーン(Elizabeth Stone)氏は、次のように鋭く批評しています。「子どもを持つという決断は重大なものです。それは自分の大事なココロをカラダの外にもうひとつ持つようなものだから」。
未来のパパ・ママも、メンタル面での子育て準備として、この言葉を肝に銘じるべきだと思います。
Melanie Pinola(原文/訳: 松岡由希子)