タイトルを見てピンとくる方もいらっしゃるでしょうが、『リーダーならもっと数字で考えなきゃ!』(香川晋平著、あさ出版)は、2012年に『もっと仕事は数字で考えなきゃ!』をヒットさせた著者による第2弾。

リーダーは、チームに求められている結果をきっちり出して、初めて評価される。

逆にいえば、出した数字でしか評価されない。

では、求められている結果を出すために、リーダーはどうすればいいのか?

(4ページ「はじめに」より)

という考え方を軸として、「目標を達成するリーダー」に必要なことを説いています。いくつかポイントをピックアップしてみましょう。

多少は無理な目標にせなアカン。

けど、無茶な目標にしたらアカンで。

(50ページより)

理論や理屈を理解していて、その上で行動するのが「無理」。

理論や理屈を考えることなく、またはそれを知らずに行動するのが「無茶」。

それを踏まえたうえで、目標は手堅いものではなく、高めに設定すべきであると著者は主張しています。たとえば毎月平均50の仕事をこなしているとして、今月も同じように仕事に取り組むと想定し、今月の目標を手堅く50とする。しかし、これを達成しても成長は見られず、「停滞」でしかない。でも無理を承知で60の目標を設定すれば、脳はその目標に向かって動き始め、仮に達成できなかったとしても、50が55になるかもしれない。これは「成長」であるという考え方です。

ただし目標設定が高すぎると、身体的・精神的に破綻してしまう危険性も。「目標の設定は、現状維持でもダメ、高すぎてもダメ。背伸びをすればギリギリ届くくらいがちょうどいい」というわけです。

その計画、6W2H入ってるか?

(74ページより)

「目標」を掲げたら、次は「計画」。そしてこの段階では、「6W2Hを入れること」が大切だそうです。

  1. What

    目標達成に向けて「なにを行なうか」。仕事の種類や性質、具体的な業務内容など

  2. Why

    「What」の仕事を行なう理由。これが明確になっていないと、部下のモチベーションが低下し、やっつけ仕事になってしまう

  3. When

    その仕事を「いつ」、あるいは「いつから、いつまでに」行なうのか。実行する時期、時間などを明確にする

  4. Where

    その仕事を実行する「場所」。車内か、相手先か、どこかの会場かなどを明確にする

  5. Who

    その仕事を「誰が」実行するか。担当者や責任者を決めたりすること

  6. Whom

    その仕事を「誰に」対して行なうか。営業なら、誰にアプローチするか。書類作成なら、誰に提出してチェックしてもらうかなど

  7. How

    その仕事を「どのように」行なうか。営業なら、アプローチは直接訪問か、テレアポか、DMの発想か、など

  8. How much

    その仕事に「いくら」かけるか。予算額や、発注時の単価や数量を決めること

サザエさんを3回超えさせたら、勝手に動き出しよるわ。

(206ページより)

部下に指示を出すときは、「しつこく言い続ける」ことが大切なのだとか。脳科学の世界では、人は21日間同じ行動を続けると、急速にその行動をすることへの抵抗感がなくなり、習慣化する確率が高まるといわれているからだそうです。つまり「サザエさん3回」とは、3週間(21日間)ということ

赤字リーダーは改善策を指示するだけで、部下がやらなくても「指示は出したのだから」と他人事として捉えるもの。一方、黒字リーダーは、部下に改善策を習慣化させようとする。そしてそれが、必ず成果につながる。リーダーたるもの、部下に嫌われることを恐れずに「いい続ける」べきだというわけです。

思わず笑いそうになる関西弁の見出しがそうであるように、口調も軽快。とても読みやすいので、楽しみながらリーダーの心得を身につけることができそうです。

(印南敦史)