Eli Rubel氏は画期的なドキュメント管理ソフトウェアを開発する新興企業Glider社の共同設立者及びCEOです。Glider社は「TechStars」の起業支援プログラムを修了し、「Portland Seed Fund」からも支援を受けました。TechStarsは優れたアイデアを持つ新興企業を3ヶ月間のプログラムで支援する名門ビジネスアクセラレーターです。今回は、そんなスタートアップの最前線で活躍するRubel氏が「失敗しない会議の進め方」を教えてくれました。
私はつい2年前まで「会議なんて単純なもの」と思っていました。とにかくいつも出席して、賢そうなことを言う...それだけで「自分は仕事ができる人間だ」と思い込んでいたのです。今にして思えば、「会議の進め方」が全くわかっていませんでした。おそらく、このようなことは遅かれ早かれ誰でも気づきます。もし、あなたが今この状態でも心配しないでください。私自身も抜け出すのに2年かかりました。
今回、この記事を通してお伝えしたいことは、私自身が過去2年間で学んだ「失敗しない会議の進め方」です。確実に覚えておきたい原則
1. 会議に遅れない会議に少し遅れるだけで「こんな会議はどうでもいい」と意思表示していることになります。どうしても外せない用事がある時は、前もって連絡しておくようにしましょう。ただ、会議が始まる直前になってからではあまり意味がありません。連絡はできるだけ早めに。
2. 出席者について事前に把握しておく会議の場に誰が出席するのか、事前に把握しておくようにしましょう。LinkedIn、Facebook、Twitter、ブログ、個人ウェブサイトなど、たった10分あれば個人について調べられることはたくさんあります。また、彼らの姿勢や普段の行動を知っておくのも重要です。その人が取り組んでいる趣味やボランティア活動があれば、その背景にはどのような行動理由があるのか考えてみましょう。出席者についてよく知っておくと、会議をうまく進めるためのヒントが得られます。
3. 付加価値を出す会議に出席して付加価値を出すのは非常に重要です。若い頃に出会う先輩や上司は何かと助けてくれることが多いですが、あまり甘えないようにしてください。常に会議で付加価値を出すための努力を欠かさずに。
あまり知られていない重要ポイント「上記の内容なんて既に知っている」という方のために、このセクションでは比較的知られていないポイントを紹介します。
1. 議題(アジェンダ)を決めておく私自身も最初は理解していませんでしたが、TechStarsの支援プログラムを始めて3カ月後には「議題の重要性」に気づきました。簡単な箇条書きでも構わないので、事前に議題を決めておくだけで会議はスムーズに進みます。
2. 無駄を省く誰でも無駄な時間にはイライラするものです。会議序盤の挨拶やスピーチなど、省ける部分は思い切って削ってしまいましょう。最悪なのは、参加者みんなが無意味だとわかっているのに「何となく続けている状態」です。現状が変わりそうにないなら、自ら進んで会議進行役を引き受けましょう。形式的な部分は後からにして、単刀直入に議論を進めるのが大切です。
3. 時間はできるだけ短く私がTechStarsの支援プログラムに参加していた頃、有名な起業家で投資家でもあるChris DeVore氏と週1回会って話す機会がありました。ビジネス戦略について数多くの貴重な助言をもらいました。興味深いのは、会議の時間が長くても10~15分程度だったことです(短い時は、5分程度の時もありました)。会議の時間が長かったら、忙しいDeVore氏は会ってくれなかったかもしれません。
4. 相手を立てるこれは当然なのですが、意外と知られていないのであらためて紹介します。他人が思い付いたアイデアがあれば、できるだけ褒めるようにしましょう。例えば、誰かが「A社への営業を強化したほうがいい」と発言したとします。前日に「A社への営業強化」についてすでに話し合っていたとしても、「とても良いアイデアですね!」と反応するべきです。
理由は2つあります。1つ目は人間関係を発展させるため。感謝の気持ちがしっかり伝われば、次に困ったことがあってもまた助けてくれる可能性が高くなります。2つ目はチャンスに繋がる可能性があるため。発言者が素晴らしい具体案を持っているかもしれません。少なくとも、アイデアについて協力してくれる可能性は高いでしょう。
5. 議事録を残す(もしくは録音する)会議中のやりとりは確実に忘れてしまうので、必ず記録をとります。準備に時間をかけた会議ほど記録を残しておくべきです。後から議事録を読み直してみて気づくことも多くあります。2カ月経っても正確に思い出せるように記録を残しましょう。
6. 会議後の進捗管理をする会議が終わったら、次の課題を整理して参加者に配信しましょう。これがないと、会議の価値は半減してしまいます。会議がうまくいかなかったとしても、メールを送って参加してくれたことに感謝しましょう。この際、反省点を整理して次へ繋げることも忘れずに。また、可能ならメールは会議後すぐに、遅くてもその日のうちに送るように。
知る人ぞ知る重要ポイント最後に、知る人ぞ知る重要ポイントを紹介します。上級者向けですが、ぜひ参考にしてください。
1. アイコンタクトアイコンタクトを賢く使いましょう。アイコンタクトとは非言語コミュニケーションのひとつで、調べれば多くのことがわかります。アイコンタクトの方法によって自分の印象は良くも悪くもなります。
2. 相手の仕草を真似る私たちは「自分と似ている他人」に好感を持ちます。バイク好きな相手に「私もバイクが好きです」と伝えても良いですが、もっと穏やかな方法として「相手の仕草を真似る」という手も。相手の体は前のめり? それとも、後方に傾いている? テーブルの下で足を組んでいる? くだらないと思うかもしれませんが、実際に効果があります。
3. 意見が言いやすい環境を作る何かを伝えるのに情熱は必要ですが、感情的にならないように気をつけましょう。会議では誰でも意見を言いやすいようにするのが大切です。否定的な結論はできるだけ早く出しましょう。
4. ツールを使いこなす会議の議事録を残すなら、Evernoteが最も簡単で直感的に使えるツールです。過去の議事録からキーワード検索ができて、iPhoneアプリもあります。とても便利で外出時にも重宝します。私の場合、会議中にメモを取るのが苦手なので、iPhoneアプリで録音して再確認したり、書き起こしたりします。また、スケジュール管理にはiOSアプリ『Fantastical』がオススメです。会議が連続している時など、細かいスケジューリングが必要な場面で効果を発揮するでしょう。
5.常に他の起業家を助ける姿勢を持つ私は1年ほど前にオレゴン州ポートランドに移り住みました。当時は誰も知らない状態でしたが、多くの起業家やメンターが貴重な時間を割いて私を助けてくれました。彼らのアドバイスは私の間違いを正しただけでなく、会うべき人に導いてくれたのです。彼らは何の見返りもないとわかっていながら、私のような新しい起業家を支援しています。もし、十分な時間ができたら、できる限り他の起業家を助けるようにしましょう。そうしないと、この仕組みはすぐに回らなくなってしまうからです。
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Eli Rubel(原文/訳:大嶋拓人)
Image remixed from Jose Vielma (Shutterstock).