ホラ吹きは、成功のはじまり。

「デキるふり」からはじめなさい』(千田琢哉著、星海社新書)の表紙をめくると、いきなりそんなフレーズが出てきたので思わず笑ってしまいました。しかしこれは、著者の真面目な主張です。

一度も嘘をついたことがない人間など

この世に1人もいない。

それどころか、夢を実現させてきた豪傑はみんな大嘘つきだった。

(序文より)

ここで著者は「この世で神よりも有名になってみせる」と言い切ったマドンナ、「小説くらい書いてみせる」と言ってベストセラー作家となったアガサ・クリスティー、「人も鳥のように空を飛べるはずだ」と大口を叩いたライト兄弟を引き合いに出していますが、要は夢を実現した豪傑たちは「嘘つき」ではなく「ホラ吹き」だったという主張。「ホラ吹きには真実が1%入っているが、嘘には真実が入っていない」というわけです。

だから「ホラを吹こう」というのですが、たとえばどういうことなのか、ビジネスに役立ちそうな「人間関係の10の『デキるふり』」からいくつかを引用してみましょう。

デキる人は八方美人ではない(96ページより)

八方美人は誰からも嫌われないが、誰からも愛されない。だからこそ人間関係の好感度も3割を目指すくらいがちょうどいいと著者はいいます。逆にすべての人に好かれようとすると、すべての人に嫌われてしまうという皮肉な結果にもなるのだとか。

みんなに好かれている人がデキる人なのではなく、好きになってくれた人をとことん愛するのがデキる人だということです。

デキる人は「◯◯がないから無理」とは言わない(100ページより)

デキる人は相手をガッカリさせるような言い方をせず、同じ内容を伝えるときにも希望を与えるような表現をするそうです。だから、デキる人の「プラスの言い方」をマネようという提案。

実はまったく同じことを伝えていたとしても、絶望感を味わわせるのか希望を持たせるのかで評価はまったく逆になるもの。デキる人の伝え方を観察し、「◯◯があればできます」と伝えるべきだといいます。

デキる人は無理にリーダーっぽくしようとしない(108ページより)

デキるふりをすることと、リーダーっぽくすることは別。虚勢を張っても意味がないからです。本当にデキる人は、リーダーになりたがる人を支えるものだそう。なぜなら、小粒化したグループのリーダーが増え、支える人が誰もいなくなるのでは意味がないからです。

つまり、分不相応にリーダーをやりたがるのは、決してデキる人の態度ではないと著者はいいます。

54項目ある「デキる人」の定義は、ときにコミカルで冗談っぽくもあります。しかしその裏側に、気づきにくい真実が隠れているのも事実。楽しみながら読んでみれば、意外な気づきがあるかもしれません。

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(印南敦史)