筆者のCaroline McMillan氏は、ノースカロライナ州シャーロットのローカル新聞『The Charlotte Observer』の記者として、スモールビジネスやアントレプレナーの記事を執筆しています。McMillan氏はノースカロライナ大学チャペルヒル校でジャーナリズムを専攻、在学最後の2年間をデューク大学とUNCの共同出版雑誌「Rival Magazine」の主任編集者として過ごしました。今回はMcMillan氏が「よい文章のための自己編集スキル」について語ります。

多くの新聞記者と同様、私は「書くことが好き」で、「書くことが得意」なので、この仕事につきました。しかし、記者というのは厳しい職業です。あなたが最高傑作だと思う記事を提出しても、編集者から20カ所ものダメ出しが返ってきます。

それでも、そんなことを200回も繰り返せば、すっかり面の皮が厚くなります。また、「自己編集能力」もかなり上達します。これこそが今回みなさんに伝えたいことです。文章をすばやく完璧なものに仕上げる知恵を授けたいと思っています。あなたの文章から冗長な言葉やフレーズを削り取り、磨き上げ、簡潔でわかりやすく、読む人を感嘆させるメッセージに仕上げる方法です。

社内通知、プレゼンテーション、Eメール、報告書など、どんな場面であれ、すばやく自己編集するスキルは役に立ちます。そのスキルが優れていれば、誤解されることも少なくなり、ボスや同僚にあなたが伝えたいことを的確に伝えられます。

では、レッスンを始めましょう。例えば、今年度の業績評価のための自己評価報告書を書いていたところだとします。今、あなたは最初のドラフトを書き上げました。上司に提出する前に、報告書が完璧に仕上がっているか確かめたいですよね。では、これから何をすべきでしょうか?■プリントアウトする

必ずプリントアウトしてください。たしかに面倒です。しかし、例えば業績評価で言えば、プリンターまでのわずかな距離を歩くだけで、昇給率が4〜5%も違ってくるかもしれません。

プリントアウトする理由:ライターや編集者なら誰でも口をそろえることですが、自分の文章よりも、他人の文章を批判的に見るほうがずっと簡単です。他人ならあなたの文章をフレッシュな目で批判できます。自分の文章をチェックしたいなら、他者の視点をシミュレートする必要があります。書いたあなたとチェックするあなたが別人であるかのように振る舞うのがポイントです。

パソコンに入力してあるなら、それを印刷します。ざっと読み通して、赤ペンで添削します(情け容赦なくやってください)。手書きのドラフトなら、パソコンに入力してプリントアウトします。あとは同様に添削してください。いずれにせよ紙に印刷しろということです。

■距離を置く

締め切りが迫っていて時間がない場合は次のステップに進んでください。2~3分の余裕があるなら、一度席を外し、報告書から物理的に距離を置いてみます。そうすることで感情的にも距離を置けます。そして、フレッシュな目で戻ってくれば、不自然な言葉づかいや不要なフレーズ、単純なミスに気づきやすくなります。歩き回ったり、トイレへいったり、同僚と軽く雑談したりしましょう。一晩おけるならそれがベスト。さらに冷徹な目で見直せるはずです。

■声に出して読む

良い文章は声に出して読んでもスムーズに聞こえます。まるで丁寧な言葉づかいでスピーチをしているように聞こえるはずです。実際に自分の耳で聞くことが、耳障りなフレーズを発見するベストな方法です。大きな声で読んでみて、ひっかかったところや、意味がわかりづらいところがあったら、すべて書き直してください。

■相手の立場でロールプレイする

何度も読み返して添削が終わったら、ロールプレイをします。業績評価を例にとるなら、上司になったつもりで報告書を読んでみます。2ページも読まないうちに退屈になりましたか? それともスムーズに読めて、「すばらしい! こいつは昇進すべきだ!」という印象を持ちましたか? 一番印象に残ったところはどこですか? 思いついたことを書き留め、必要な手直しをしたら、最後のステップへ進みましょう。

■冷酷になる

最後のステップは、切り詰め作業です。言葉、文章、段落をできる限り削ってください。気が狂ったかのように、です。この作業が終わるころには、あなたの文章の本質が光を放っているでしょう。

以下に切り詰め作業のコツを書いておきます。

段落を短くする:簡潔にポイントを伝えるためには、3~4つの文があれば十分です。

文を基本要素に切り詰める:明確な主語、力強い動詞、それと目的語。

従属節の乱用は避ける:従属節とは、主語と述語を持ってはいるが、独立した文にはなれない節です。例えば、あなたの報告書の中に次のような文はありませんか?

当初の予定より収益があがらないせいで第4四半期にスタッフの疲労が高まったとき、私は士気を高めるための特命プロジェクトを主導した。

もう少しストレートな言い方に直します。

私は、第4四半期の業績不振によるスタッフの疲労に対処し、士気を高めるための特命プロジェクトを主導した。

形容詞と副詞はできるだけ取り除く:プリントアウトした報告書を手にとり、すべての形容詞と副詞に丸をつけます。そして、絶対に必要なものだけを残してあとは削ります。迷ったときは、動詞を変えてみるのも手です。

責任をもって主張する:大学1年生のとき、論文試験でB評価を付けられたことがありました。私は怒って教授のところへ押しかけ、どういう基準で成績をつけたのかを問いただしました。教授が言うには、私が論文の中で「と思われる」とか「のように見える」などのフレーズを繰り返し使ったことがマイナス評価の要因とのことでした。そして、意見を述べるときは責任をもって主張しなさい、自分の論旨を完全には支持していないような印象を与えてはいけません、と言いました。

このアドバイスは衝撃でした。あなたにも有益なアドバイスのはず。とくに仕事関係の文章を書くときには重要です。「~と信じています」とか「私個人の意見では~」とか「あなたは反対するかもしれませんが...」などの自信のない文章で自分の論旨を弱めないでください。これはとても大切なことです。

自己編集は難易度の高いスキルですが、あなたのキャリアに必ず役立ちます。編集するのは自分自身だとはいえ、間違いなく文章はよくなりますよ。

5 Steps for Editing Your Own Writing | The Daily Muse

Caroline McMillan(原文/訳:伊藤貴之)

Image via Pixsooz(Shutterstock).