ディベートや議論は非生産的なものになりがちです。つい感情が高ぶったり、自分のアイデアに固執したり、個人攻撃を繰り返してしまったり...議論は脱線するばかりです。しかし、解決策はあります。生産性向上系のアイデアブログ「99u」によると、映画製作スタジオのPixar社では議論を効果的にするために「プラッシング」という独自のメソッドを使っているそうです。これは、対立意見を建設的に戦わせる「構造的コンフリクト」と呼ばれる技法の一種です。

構造的コンフリクトのアイデア自体は目新しいものではありません。Xerox社など多くの企業で用いられています。それでもやはり議論を生産的にするのは簡単ではないようで、さまざまな模索がなされています。Xerox社では人格攻撃を禁止することで、議論を知的に保つ工夫をしているそうです。片や、Pixar社では独自のプラッシング技法で「闘い」を生産的なものにしています。

Pixarのアニメーターたちがプラッシングと呼ぶ技法は、誰かの作品を批判するなら、その批判は必ず「新しいアイデアか提案」を含んでいなければならないというものです。必ず何かを「プラス」しなければならないのです。プラスがなければ、毎朝のミーティングが否定的で感情的な場へ成り下がってしまいます。プラスすれば、ミーティングが肯定的な雰囲気に包まれ、批判が新しいアイデアへとつながります。議論はいくぶん闘いの様相を見せますが、健全な雰囲気と尊厳に満たされています。クリエイティブチームとしての自覚を持って、創造的な物作りのための「闘い」をするのです。

プラッシングのやり方はシンプルで、誰でも参加できます。ポイントは必ず新しいアイデアを付け加えること。誰かのアイデアを批判するだけで代替案や改善案を出さないのだとしたら、あなたの意見は状況の改善に役立っていないのです。プラッシングでは、チーム全員が議論に積極的に参加し、出されたアイデアを改善する義務を課せられるのです。

どのようなタイプの議論にも適用可能な技法でしょう。あなたの職場でもきっと使えるはずです。

Why Fighting For Our Ideas Makes Them Better | 99u

Thorin Klosowski(原文/訳:伊藤貴之)

Photo by Bex Walton.

2012年10月27日追記:タイトルの誤植を修正しました。