一時、モーツァルトを聞くと集中力があがる、胎教にいい、なんて話がささやかれたことがありました。これはアメリカの学者によるある論文がきっかけになったものでした。ところが、それ以降必要以上に、というかどうもインチキ臭い、音楽効能説がささやかれたものですから、「音楽の脳への効能=ちょっとマユツバ」というイメージになってしまいました。

しかし、近年では、アルツハイマーや、自閉症などに音楽が効くということは立証されつつあり、音楽療法士なんて言葉も出てくるなど、音楽が人間の思考に与える影響の研究は確実に進歩しつつあります。音楽が良い効果を与えると言われているものは、主にふたつあります。

それは、集中力と記憶力です。まずは集中力について。

僕自身は、なんらかの作業を行うときは必ず音楽をかけるようにしています。たいくつな作業(例えば税金のこととか...)であればあるほど音楽が必要ですし、音楽がないと「あー、なんか面倒くさい」となってしまって、やり遂げられないことも多いからです。

作業のときにかける音楽の種類は、自分の場合は歌詞(歌)がなく、遅すぎでもなく、早すぎでもないテンポであること。テクノやロックのようなテンポの早い物はそれだけで疲れてしまいますし、おそすぎると今度は眠くなります。そこで、ジャズやボサノバなんかが重宝することになります。

歌がないほうがいいというのはもちろん、歌詞の意味が直接飛び込んできてしまうと作業の妨げになるからです。ただ、僕の場合は意味の分からない歌詞ならば問題ないらしく、フランス語や、アフリカの音楽ならば無理なく聞けます。テンポが遅めのものならば、アルジェリアのライ・ミュージックなんかがいいですね。そうやって、集中力を高めます。

さて、記憶力については、覚えた記憶とその再現が、そのときかけていたBGMのジャンルに関わりがあるというのがポイントです(そういった記憶のことをContext-dependent memory、<文脈依存記憶>といいます 参考:PDF)。日々同じ作業をする場合は、同じ曲や曲調の近い音楽をかけておくといいようで、例えばイラストレーターをいじるときはジャズ、メールを書くときはクラシックを、など切り替えてみても面白いでしょう。

音楽の脳への効果は少しづつ実証されているとはいえ、まだまだ未知数の部分も多いもの。皆さんの中でも、私はこうしてる、こんな効果が出たなどというアイデアをお持ちならば、ぜひコメントで教えてくださいね。

(早川大地)

Photo by Ferrari + caballos + fuerza = cerebro Humano.

ちなみにライフハッカーではこれまで、作業用BGMを流せるウェブサービス「Shuffler.fm」や「GetWorkDoneMusic」を紹介してきました。あわせて記事をチェックしてみてください。また、こちらの記事では、生産性アップを考えたBGMが手に入るサイトもご紹介しています。(編集部)