クリエイティブ&マーケティング系のキャリアコンサルタント/ヘッドハンター・小島幸代です。

先日9月27日、国税庁による2011年の民間給与実態統計調査(リンク先:PDF)が発表されました。それによると、平均給与はピークであった15年前の467万円から下がり続けて現在409万円。要するに普通にしていたら給与は下がる状況が続いています。であれば、交渉すれば上がるのか?

年功序列型の賃金制度だとちょっと難しいかもしれませんが、もちろん、交渉次第で条件は変わってきます。実際、私がエージェントとして求職者、求人会社の間に立つ時にとても大事にしている交渉ポイント3つを紹介します。1.お金だけを見ないようにすること

例えば、転職の際の「前職は年収700万だったので、こちらでは750万希望します」。または、給与査定の際の「前年度年収500万だったので5%UPを希望します」という給与交渉。

日常的によく行われている額面だけの給与交渉ですが、ほとんどはうまくいきません。バブル時代と違って、今は数字にシビアです。言葉より強いインパクトをもつ数字を押したところで「金銭に固執する奴だ」ということで印象が悪くなります。

そこで考えてほしいのが、「あなたが欲しいのは本当に、給与の額、『お金』なのか」ということ。

労働条件が良くなれば「『お金』は今のままでいい」という交渉も可能です。会社から大学院に行かせてもらったり、週休を3日にするという交渉方法で成功した方もいます。「お金」を中心に交渉するのを止めると、他に欲しいものが見えてくるはずです。

2.価値を売ること

今でも忘れられませんが、昔ベンチャー企業(現在東証一部上場企業)の社長面接に、候補者とともに同席した時のことです。

「君がうちの会社に入ったらなんのメリットがあるの?」と社長が候補者に質問しました。候補者であった彼は、スムーズにその質問に答えた結果、とてもいい評価でその会社に入社しました。最近も、アメリカ人のクリエイティブディレクターの面接に立ち会いましたが、彼らも積極的に自らが企業に提供できる価値をアピールし、1500万以上の年収で入社しています。

あなたが今の会社に与えている価値は何でしょうか? また、転職先に与えられる価値は何でしょう? うまく交渉の場で話せると評価は必ず上がります。

3.ゴールを共有すること

「お金」を中心に交渉するのを止めて違う提案で交渉することや価値を売ることは、すべてプッシュ型の交渉です。次に紹介するのは、交渉相手が何をもって自分と向き合っているか、プル型で交渉する方法です。

交渉相手が抱えている問題に対して、ゴールまで共に戦うパートナーであるという姿勢が大切です。例えば、交渉相手が経営者なら、問題やゴールはハッキリしている場合が多いです。「●●を達成したら○○という条件で働くことは可能ですか?」という交渉は、比較的通りやすいです。

逆に所属部門の上司であれば「給与が変わらないのにキツいこというな」と感じている場合が多いはずです。一緒に達成できることを聞いてみて、共に給与アップできるようになれば素敵ですね。

交渉というと少しネガティブに感じる人もいるかもしれません。しかし、交渉は互いの理解を明確にする為のコミュニケーションのひとつです。避けて通ってしまうと、後で「いい加減な話し合い」を後悔することも少なくありません。ぜひ、給与の交渉でしっかり相手とコミュニケーション取ってみてください。

(小島幸代)

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