スゴ腕クリエイターやビジネスマンに学ぶ仕事術シリーズ、第4弾です。ライフハックの超実践者・サーストン氏に続く今回は、ジーナ・トラパーニさん(Gina Trapani)にインタビュー。
彼女が米Lifehackerを立ち上げたのは、7年前のこと。サイトを運営するかたわら、『Lifehacker: The Guide to Working Smarter, Faster, and Better(ライフハッカー:賢く、素早く、よりよい働き方ガイド・英書)』を執筆し、複数のオープンソースプロジェクトも立ち上げてきました。また、米・ホワイトハウスでも使われているというソーシャルメディア分析エンジン『ThinkUp』や、テキストベースのタスクマネジメントツール『Todo.txt』、男女の賃金格差の現状をデータでまとめたウェブサイト「Narrow the Gapp」を開発しているほか、ウェブベースとオープンソースのソフトウェアに関するポッドキャスト「In Beta」や、クラウドとGoogleの最新ニュースを網羅するウェブ番組「This Week in Google」も主宰しています。
次々と新しいツールやサービスを生み出し、より便利で楽しい世界づくりに貢献するジーナさんは、一体、どうやって一つひとつを実現してきたのでしょう。
「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは何ですか?
- 氏名:ジーナ・トラパーニ(Gina Trapani)
- 職業:『ThinkUp』や『Todo.txt』の開発者。ポッドキャスト「In Beta」およびウェブ番組「This Week in Google」の主宰者
- 居住地:米カリフォルニア州サンディエゴ、ニューヨーク市ブルックリン
- 現在のモバイル端末:Galaxy NexusとiPhone 4S(AndroidとiOSの両方のプラットフォームで自分のアプリを試用するため)
- 現在のコンピューター:MacBook Pro(15インチ)
- 仕事スタイル:慎重にこなす
ジーナ:スマホやタブレットでは、Gmail、Twitter、Foursquareを使う時間がほとんどですね。読み物にはInstapaper、レシピではEvernoteを愛用しています。方向音痴なので、Google マップなくしては生きられません。特に、Androidのナビ機能は必須です。
JavaやPHPは、オープンソースの統合開発環境(IDE)である『Eclipse』でコーディングしています。『TextMate』はお気に入りのテキストエディター。『Git』はバージョン管理システムに使っています。『GitHub』は、自分のオープンソースコーディングプロジェクトの中で一番よくできたものです。
動画や音声をポッドキャストするときは、Countryman(カントリーマン)社の小型コンデンサーマイク「E6 earset」とLogitech(ロジテック)社のHDウェブカメラ「C510」を利用しているほか、Ecammコールレコーダー(Call Recorder)で音声を録音しながら、Skypeを使っています。リスナーさんたちは、番組をライブストリームしつつ、IRC内でチャットもできます。ちなみに、私が気に入っているIRCクライアントは『Textual』です。
コーディングもポッドキャストもやっていないときは、ウェブを使っています。メインブラウザにはChromeを利用。Android上でもよく動作しますし、デバイス間で同期できるからです。Mac上のChromeでは、Gmail、Googleカレンダー、Google Voiceのタブを固定させています。デスクトップでは、ToDoリストを管理したり、gitコマンドを走らせたり、サーバーを管理したりするのにコマンドラインをよく使っているので、ターミナルエミュレータ『iTerm2』を常に起動させています。
その他、LastPass、KeePassX、Dropbox、TweetDeck、Quicksilver、テキスト拡張ツール『TextExpander』、オンラインバックアップサービス『Mozy』は、私にとって必須アイテム。また、『RescueTime』には、自分がどのアプリにどれだけの時間を費やしているかを教えてもらっています(RescueTimeについては、ライフハッカーアーカイブ記事もご参考までに)。
時間節約のためのショートカットやライフハックで、ベストなものを教えてください。
ジーナ:忘れっぽいので、「memex」というテキストファイルに日常の種々雑多なことをまとめて記録しています。例えば、虎の巻やチェックリスト、プロジェクト、ToDo、いつかやる別リスト、語彙、好きな引用句、尊敬する人々など、「連絡先リストやカレンダーといったツールには当てはまらないけれど、残しておきたいようなもの」を入れています。
このテキストファイルのフォルダはDropboxに保存しているので、デバイス間で同期できます。番組で新しいエピソードを始めるとき、自分のアプリを新規リリースするとき、何ヶ月も触っていないサーバーで曖昧なシスアドタスクをやらなければならないとき、お気に入りの引用句を探したいとき、「memex」をチェックしています。
愛用のToDoリストマネージャーは何ですか?
ジーナ: 私は6年間ToDoアプリ『Todo.txt』を開発してきたので、すっかりこれに慣れています。コマンドラインのインターフェイスで、最近では、Android版やiOSアプリ版もリリースしました。これからやるタスクをまとめた「todo.txtファイル」と、完了したタスク用の「done.txtファイル」は、いずれもDropboxに保存しています。優先順位の高いタスクは『GeekTool』を使ってMacのデスクトップに表示しています。
ちなみに、2006年からこのシステムを使っているので、「done.txt」にアーカイブしたタスクはたくさん。どのテキストエディターとも互換性のあるファイルひとつに何年分ものタスクが保存されていて、検索できる点が気に入っています。
仕事場はどんな感じですか?
ジーナ:幸い、自宅の仕事部屋は広いので、スタンディングデスクと座り用のテーブルの両方を置いています。スタンディングデスクは、1年半くらい前に替えて以来、主な仕事場になっています。
ジーナさんのスタンディングデスク
とはいえ、一日中立っていると体がキツいので、昼食後2~3時間はMacBookをテーブルに移動させ、足を休ませています(スタンディングデスクに関するジーナさんの感想は、以前「1年間立って働いた編集者による『スタンディングデスク』の感想」でも紹介しました)。
ジーナさんの仕事場に飾られたジョーイ・ロスのポスター
仕事部屋は、考えたり、動いたり、モノを広げるスペースがあるのがいいですね。部屋の大きい壁はコルクボードで覆っているので、着手中のものや、インスピレーションを得たものは、そこにとどめています。また、部屋に最近加えたものは、工業デザイナーのジョーイ・ロス(Joey Roth)の「Hustle」ポスター。あと、Apple 1のポートレートも壁に飾っています。
仕事中は何を聴いていますか?
ジーナ:何をやっているか、エネルギーレベルがどれくらいかによります。スタンディングデスクでコーディングをして気分がよいときは、アップビートのポップミュージックを流しています。物を書いていて、歌詞のあるものが聴けないときは、チルアウトやアンビエントですね。ちなみに今は、スタートレックのジャズトリビュート『Smooth Federation』を繰り返しかけています。
スマートフォンとコンピューター以外で「これは必須」のガジェットはありますか?
ジーナ:歯ブラシとティースティック(茶こし)ですね。あとは、スパイラルノート、フィッシャーのスペースペン(ボールペン)、タブレット端末「Nexus 7」。これらすべてを、自分好みにカスタマイズしたTimbuk2社のメッセンジャーバッグ「Eula Messenger」に入れて持ち歩いています。
今はNexus 7にハマっています。起きて最初に手に取るのも、寝る前に最後に置くのもこのデバイス。Wi-Fiがつながるであろう場所なら、どこにでも持ち歩いています。最近、プレゼントにNexus 7のカバー「DODOcase」をいただきました。それまでは「モレスキンスタイルのタブレットカバーがいいかな」とも思っていたのですが、すっかり気に入っています。
日常のことで「これは他の人よりうまい」ということは何ですか?そのコツは?
ジーナ:サンディエゴに引っ越して以来、風のあるビーチでもすぐにたき火をできるようになりました。ライターオイルや点火装置も必要ありません。コツは、丸めた新聞紙の層から始め、たきつけを格子型に整え、気流が最大化するよう丸太を支えること。マッチ一本ですぐに火が付き、一晩中、燃えています。
今までもらったアドバイスの中で最も役立ったものは何ですか。
ジーナ:「欲しいものがあれば、追いかけなさい」という父の言葉です。
Tessa Miller(原文/訳:松岡由希子、補:ライフハッカー[日本版]編集部)
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